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38、リオンとエリック
私の事とエリック様の事で、ずっと苦しんでいらしたリオン様。このままでは、後悔すると思います。
「エリック様と、お会いして来てください」
「ティアナ? なぜ、そのような事を?」
このご様子だと、やっぱりリオン様はもうエリック様とお会いする気がなかったようです。
「きちんとお話してきてください。リオン様は、今もエリック様の事を友だと思っていますよね? リオン様のお気持ちを、ぶつけて来てください」
もしも、エリック様と私が上手くいっていたら、リオン様はずっと気持ちを隠していたでしょう。
こんな事になってしまったけれど、リオン様はエリック様を大切に思っています。
「……ありがとう。行ってくるよ」
リオン様は立ち上がると、そっと私を抱きしめた後、部屋から出て行きました。
*****
エリックは地下の取り調べ室で、取り調べを受けていた。
キイと、取り調べ室のドアが開き、リオン王子が中へと入って来る。
「少し外してくれ」
取り調べをしていた兵士を部屋の外に出すと、リオン王子はイスに座った。
「理由を聞いてもいいか? なぜ、ティアナを大切にしなかった?」
リオン王子はエリックの顔を真っ直ぐに見て、質問をぶつけた。
「……大切にしたかった。大切にしようと思えば思うほど、遠ざけていた。傷付けてしまう……傷付けたくない……そう思い、ほかの女に逃げた。ティアナに離縁して欲しいと言われ、抑えていたはずの感情が爆発してしまいました。彼女を失いたくない一心で暴力をふるい、彼女を傷付けてしまった。
あんなに憎んでいた父上のように、成り下がってしまいました」
話をしながら、エリックの手はブルブルと震えている。
「なぜ、相談してくれなかった!? 俺はお前を、ずっと友だと思って来たんだぞ!?」
リオン王子は感情的になり、声を荒らげた。それほど、エリックを大切に思って来たからだ。
「……殿下のティアナへのお気持ちに、気付いていたからです。ティアナを殿下に奪われてしまうのではと、ずっと怯えていました」
「隠せては、いなかったんだな」
「殿下には、感謝しております。こんな俺を、友と呼んでくださり、側に置いてくださった。
何もかも失ったのは、自業自得です。愛する人さえ傷付けてしまった俺には、友と呼ばれる資格なんてありません。
もうここへは、来ないでください」
エリックは俯いたまま、リオン王子に別れを告げる。
「……悪いが、今でもお前は俺の友だ。来世でまた会おう」
リオン王子はイスから立ち上がり、ドアのノブに手をかけた。
「……ありがとうございます。ティアナを、よろしくお願いします」
「ああ」
リオン王子はドアを開け、取り調べ室から出て行った。
「ティアナ、君が生きていてくれて、本当に良かった……」
エリックの言葉は、誰にも届く事はなかった。
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