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幼い頃の出会い
しおりを挟む何が起きてるの?なんで私は王子様に抱きしめられているの?
「ホーク、リーアが戸惑ってるわよ。」
マリヤの言葉でホーク王子は冷静になり、リーアから離れた。
「ご、ごめん!あまりにも嬉しくて…。俺の事、覚えてない?」
「えっと…」
王子様の知り合いなんていない…はずだけど…。
「10年前にモミナラの森で、俺は君に助けられたんだ。」
「10年前…モミナラの森って…まさかあの時の泣き虫君!?」
「泣き虫君て……ははっ。確かにその通りだけど。」
「す、すみません!」
覚えてる…ううん、忘れた事なんてない。
**********************
10年前、国の外れに住んでいた村の近くのモミナラの森で叫び声が聞こえ、リーアがその方向へ向かってみると、1人の男の子が魔物に襲われていた。この国には、大聖女が国全土に結界を張っていたが、モミナラの森はちょうど国を出た所にあった。
「うわぁー!!く、来るなー!!」
男の子は木の枝で必死に、魔物を追い払おうとしていたが、木の枝などで追い払えるはずもなく、魔物の爪が男の子を切り裂こうとしていた!
「ダメーーーーーーーーーッ!!」
リーアの身体から光がほとばしり、その光は何本もの鋭い剣へと形を変え、魔物の体を貫いた!!
ズババババババババババババババッッッ!!
光の剣で突き刺された魔物の体は、粉々になり消滅した。
「だ、大丈夫?」
「ありがとう…僕…僕……うわぁぁぁぁぁぁん!」
声をかけると、男の子は大きな声で泣き出した。リーアは男の子が泣き止むまで、ずっと背中をさすってあげていた。
「ごめん、もう大丈夫。君、強いんだね!」
「強い?私にもよく分からないの。あんなこと初めてで……ただ、あなたを助けたいって思っただけで……」
リーアが初めて聖女の力を使ったのがこの時だった。
「君は聖女なの?」
「聖女?それはないよ!家族はみんな普通だもん!ねえ、なんでこんな所に1人でいたの?この森は魔物が出るから、奥に入ったらダメなんだよ?」
男の子は悲しそうな表情になり、
「母上が心臓の病気なんだ。お医者様にも治すことができなくて……。だからこの森の何にでも効くっていう薬草を取りに来たんだ!」
「そうなんだ…でも、その薬草は怪我には効くけど病には効くかどうか……」
「分かってる。でも、母上の為に僕が出来ることがこれくらいしか思い付かなくて……。」
「お母様の病気、良くなるといいね!あなたの気持ちはきっと届いてる!」
男の子の手を握り、慰めることしか出来なかった。
「…………様ー!」「……ク様ーー!」
男の子を探しに来たらしい。
「私、もう行くね!森の奥に入った事がお母さんにバレたら怒られちゃうから!」
リーアは立ち上がり、村へと走り出す。
「待って!君の名前は?」
リーアは振り返り、
「リーア!またね!」
笑顔でそう言って走り去って行った。
*********************
あの時の男の子が、ホーク王子だったなんて……。
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