〖完結〗拝啓、愛する婚約者様。私は陛下の側室になります。

藍川みいな

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私が側室!?


 「私が、陛下の側室にですか!?」
 
 いくら断る為だったとはいえ、1度口にしてしまったら、撤回する事は出来ません。
 私が陛下の側室にならなかった事を、ドレステードが知ったら、同盟が破棄されるかもしれない。
 ドレステードの国王は、それ程気性の荒い方だと聞いています。
 そんな事になったら、せっかくカイト様が必死で戦って終わらせた戦争がまた始まるかもしれない。ドレステードとの同盟は、とても大切なものだということは、私にも分かります。
 私には、断る選択肢が残されていません……

 「陛下がお前の為を思って決断した事だ。」

 陛下は私の為を思ってしてくれた事……それは分かっております。
 他国の国王の側室になるよりも、この国で生きたい……そう思いました。
 
 「……分かりました。陛下の側室になります。」

 私は心を決めました。

 カイト様を、ずっと待ち続けたかった。
 どこかで必ず生きてる……そう信じてる。
 でも、私は陛下の側室になります。カイト様、お許しください。


 こうして私は、陛下の側室になる事になりました。ドレステードに側室にするつもりだと話した手前、早めに式を挙げた方がいいという事になり、お話を聞いてから1週間で挙式を挙げました。
 あまりにも急に事が進み、心の準備も出来ないまま王宮の隣りの敷地にある離宮へと移り住む事になりました。

 「君の住む部屋はここだ。何かあったら、すぐに私に言いなさい。」

 用意された部屋は、離宮で一番大きな部屋でした。陛下の側室は、私を含めて3人います。後から側室になった私が、このような豪華な部屋をいただいてもよろしいのでしょうか?

 「陛下、ここは私には贅沢過ぎます。私に気を使ったりしないでください。」

 きっと陛下は、拒否する事が出来なかった私に、気を使ってくださったのですね。

 「いや、君の部屋はここだ。この部屋は、王宮から一番近いから、君の顔が見たくなったらすぐに会いに来られる。毎日様子を見に来る。」

 いつも優しくしてくださる陛下に、私は甘えてばかりですね。側室になったのだから、甘えてばかりはいられません。
 今はまだ、カイト様への想いを消すことは出来ませんが、この気持ちは封印しなければなりません。
 

 「今日からリサ様のお世話をさせていただく、メイドのルビーと申します。
 私はリサ様の専属ですので、ご用があれば何なりとお申し付けください。」

 ルビーは陛下が選んでくれたようです。とても気のつく子で、何でも器用にこなすスーパーメイドでした。

 陛下は言葉通り、毎日会いに来てくださいました。
 
 「ここの暮らしには慣れたか?」

 2週間が過ぎた頃、陛下にそう尋ねられました。

 「そうですね。皆さん良くしてくださいますし、陛下も私を気遣ってくださいますし、慣れて来ました。」
 
 陛下に嘘をつきました。本当は、慣れそうもありません。
 他の側室の方は口も聞いてくれませんし、王妃様は毎日嫌味を言いに来ます。
 この部屋に住んでいることも、陛下が毎日会いに来ることも、他の方から見たら気持ちのいいものではないようです。
 私と陛下はまだそのような関係ではありませんが、はたから見たら許す事が出来ないのでしょう。

 「そうか! それはよかった!!
 君がここの暮らしを、好きになってくれたら嬉しい。」

 こんなに嬉しそうにしてくださっている陛下に、話す事は出来ませんでした。
 今は陛下が私を気にしてくださっているだけで、その内陛下が私に会いに来なくなったら、皆さんの態度も変わるかもしれません。
 今はその事よりも、カイト様の事を考える時間が辛い。待つ事が出来なかった私を、カイト様は許してくれるでしょうか?
 陛下の側室になったのに、陛下に尽くすどころかカイト様の事を考えてしまう。
 これでは、カイト様に叱られてしまいますね。
 今の私は陛下の側室なのだから、沢山の事を学ばなければ。
 急に側室になり、離宮へと移り住む事になったので、ここでのマナーやしきたりなどを学ぶ時間がありませんでした。
 私の事を考えてくださる陛下の為にも、少しでもお役に立てるように頑張ろうと思います。

 ルビーに頼んで、色々な資料を用意してもらった。ここには、この部屋以外に私の居場所はないので、ずっと閉じこもっています。
 パーティーや夜会などの何かの集まりには、顔を出さなければならないので、先に王室のマナーを学び始めました。
 学んだことは、すぐに役に立つことになりました。
 王妃様から、側室全員がお茶会に誘われたのです。
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