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5.happy and happy!
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コーディリアのなだらかな肩の曲線から、つま先まで、オーランドの眼に入る。
「恥ずかしい・・・」
コーディリアは、頬を赤く染めて、顔を伏せた。
「君は、きれいだよ」
オーランドは、コーディリアの首筋に口づけ、両方の乳房を揉み、乳首を優しく摘まんでから、人差し指でそっとなぞり始めた。
コーディリアは、溜まらずに吐息を漏らす。
オーランドは、コーディリアの首筋に唇をあてながら、時折、耳たぶをはみ、優しく、早くも勃ち上がったその先端だけを、指で撫でた。
「ああ・・・、」
それだけのことで、何故、こんなにも味わったことのない快感を覚えるのかしら?
母からは、オーランドに任せておけばいい、と。
オーランドは、あなたを傷つけるようなことは決してしないから、その時には全てを委ねて、オーランドに応えればいいと言った。
母の言葉通り、コーディリアは、攻めあがって来る悦びに、大きな喘ぎ声を上げた。
「気持ちがいい?」
擦れた声で、オーランドが囁く。
「ええ・・・、とても・・・、とても気持ちがいいわ・・・、ああ、ダーリン」
コーディリアは、夢中で答えた。
オーランドは、コーディリアに腰を持ち上げるよう促すと、コーディリアの身体の下から、ナイトドレスを引き抜いた。
「ああ・・・、オーランド」
身体を包む生地が全て取り払われたコーディリアは、まだ自分の背後にいるオーランドを求めて、腕を伸ばした。
ほんの僅か、コーディリアから離れたオーランドが、再び逞しい腕をコーディリアに回して来た時、オーランドの肉体を覆う縮れ毛が直接肌に触れて、オーランドも脱いだのだと知った。
乳房への愛撫を続けながら、もう一方のオーランドの指は、コーディリアの腹部を滑らかに這い、柔らかな色合いの茂みに伸びる。
「オーランド・・・」
待って、とでも言うように、コーディリアは自らの下腹部に伸びるオーランドの腕に縋りついた。
そのコーディリアの耳に、オーランドは、大切にする、約束するよ、と囁き、優しく身体を擦った。
「脚を開いて・・・」
気が付けば、コーディリアはオーランドの言葉に従っていた。
オーランドは、コーディリアの花芯に中指を這わせ、突起を優しく押してから、前後にゆっくりとなぞり、軽い挿入を試みる。
「ああ・・・、いや、あ・・・あ」
未知の快楽に襲われ、いつの間にか羞恥を超えて、コーディリアは愉悦に溺れ始めていた。
絶え間ない花芯への甘い愛撫に、愛液が滴れ始め、抑えきれないコーディリアは、喜悦の声を上げ、ハニーブロンドの長い髪が、乱れた。
そして、指に絡みつき、糸を引く愛液と、コーディリアの喘ぎに、オーランド自身も酷く昂り、硬さが増していく。
オーランドは、コーディリアの反応を探って、自身の屹立を、コーディリアの腰にぐっと押し当てる。
「本当は、直ぐにでも君に・・・、入りたいんだ」
くぐもった声で、オーランドが呟いた。
コーディリアはオーランドの興奮を腰に感じて、下腹部が疼いた。
もっと・・・、もっと、私たちの間に何か、もっと。
ずっと、そう望んできたコーディリアだった。
自分が望んでいたのは、こういうことだったのだと、コーディリアは、ようやく気づいた。
「オーランド・・・」
「何?」
愛撫を続けながら、オーランドが首筋に、唇をあてた。
「わたくしも・・・、早く、あなたが欲しい」
その言葉に触発されたオーランドは、コーディリアをベッドに仰向けにすると、その身体に覆いかぶさって、縋りつき、喘ぐコーディリアの身体中に、夢中で唇を這わせ、乳首を含み、存分に味わった。
けれども、抑えきれない自分の衝動が、コーディリアを傷つけてしまいそうで、
「・・・大丈夫?」
心配そうに、そう尋ねる。
愉悦を漂うコーディリアは、眼を開き、
「あなたと、ひとつになりたいの・・・」
うっとりと艶めかしく微笑み、オーランドに手を伸ばす。
再び、コーディリアの身体に向かったオーランドは、コーディリアのしなやかな脚を持ち上げ、つま先から中心へ向かって唇を這わせていく。
もしかして、と、コーディリアが一瞬の躊躇を見せた瞬間、オーランドの舌先は、コーディリアの秘部を捉えていた。
これまでとは違う刺激に、思わずシーツを掴んだコーディリアの身体が、大きく反る。
けれども、既に、羞恥よりも、オーランドと分かち合いたい想いの方が、遥かに強くなっていた。
オーランドになら・・・、もう何をされても構わない。
お尻を抱え上げられて与えられる、生温な快感に声を上げ、オーランドの髪に指を絡ませて応えつつ、コーディリアの頭の片隅にそんな想いがよぎった。
コーディリアの脚を大きく開いて、潤いを確かめた後、オーランドは挿入を始める。
「痛い?」
「少し・・・でも、大丈夫・・・」
奥まで進みかけて、出血してる、と、一度、離れていくオーランドが、コーディリアはたまらなく寂しく感じた。
「続けれそう?無理なら・・・」
「続けて・・・、続けてほしいの」
初夜のために用意された布でコーディリアの出血を拭い、気遣うオーランドに、コーディリアは懇願する。
オーランドは、その頬にそっと口づけて、再び、挿入を始める。
時間をかけ、オーランドは、コーディリアの奥にまで収まり、繋がった。
「君の中は・・・、ああ・・・、最高だ」
オーランドは、抽送の前に果てそうな自分を、全力で抑えた。
「オーランド・・・」
コーディリアは、オーランドを迎え入れた悦びで胸がいっぱいになり、眼を閉じて、その想いに浸った。
動き始めたオーランドは、急速にせりあがって来る衝動に従って、抽送を始める。
けれども背に回ったコーディリアの反応の乏しさに気づいたオーランドは、ふたりで一緒に達する場所を探した。
そうする内に、コーディリアの唇から、思わず、大きな喘ぎが零れる場所があった。
オーランドは、そのまま抽送の速度を上げ続け、オーランドのリズムに合わせて、コーディリアも絶頂へと向かい始める。
けれども、その瞬間を迎える前に、コーディリアは、一度、オーランドのリーフグリーンの瞳に見つめられたいと思った。
「わたくしを見て・・・、オーランド」
うっとりと揺蕩うコーディリアの望みに応え、オーランドのリーフグリーンの瞳は、コーディリアのアクアマリンの瞳を捉えて、愛しているよ、と、呟く。
そして、そのままコーディリアの唇を塞いだ。
コーディリアの想像を超える強さで、コーディリアの口の中で、オーランドの舌と、絡み合う。
コーディリアの喘ぎはくぐもった声になって、オーランドの口の中に収まった。
抽送が、速度と強さを増す。
「あっ、ん・・・んんっ、あ、ああ、んっ、あっ!」
互いの絶頂の瞬間に向かって、薄暗い寝室には、コーディリアの声が響き渡った。
このまま、あ・・・あ、このまま・・・、ああっ!
「いく・・・、いくよ」
コーディリアはオーランドにしがみついた。
そして、オーランドが奥まで強く差し込み、精を放ったその瞬間、ふたりで官能の波に攫われ、コーディリアは絶叫した。
「あ・・・あああっ・・・!!」
ふたりは抱きしめ合ったまま、そのまましばらく動けずに、大きな呼吸を繰り返す。
そうして、ゆっくりと繋がった身体を離した。
オーランドは・・・、満足したかしら?
まだぼんやりとした脳の片隅に、そんな想いが掠めたコーディリアに、
「・・・満足した、コーディリア?」
オーランドが、指を絡めつつ訪ねて来る。
オーランドも同じことを思っていたのだと、コーディリアは微笑んだ。
「ええ・・・、とても満足よ。あなたは?」
「なんて言ったらいいか・・・、わからないよ。この気持ちは・・・、言葉にならない」
オーランドは、感極まった様子で、コーディリアを抱き寄せ、唇にそっと口づける。
間違いなく、俺は最高に幸せな男だ、愛している・・・、コーディリア、と、そして、わたくしも、愛しているわ、と、互いに、愛を囁き合い、触れ合いながら、それからの時間を過ごした。
そして、再び愛を確かめ合ってから、緩やかで甘い夜は、ようやく眠りについた。
「サディアス様、ラバダ・コテージから伝言が届いています」
オーランドとコーディリアが、ラバダ・コテージから明日には帰って来るという日の夕刻、外出先から戻り、自室へと階段を上りかけていたサディアスは、使用人に呼び止められ、ラバダ・コテージからの伝言を受け取った。
不測の事態でもあったのかと、急いで封筒を開いたサディアスだったが、一読して馬鹿らしくなった。
「何かあったの?」
物音を聞きつけたキースが、二階から顔を覗かせる。
サディアスは答えずに、キースに伝言を差し出しつつ、
「来年の今頃は、家族が増えているかもしれないな」
そう告げた。
オーランドからの伝言には、新婚夫婦にはありがちな事情の為、帰宅が一日遅れると記されてあった。
「ああ、なるほど・・・、そういうこと」
一読して、キースも、直ぐに事情を理解した。
「アイリスのエサか?」
キースが手にするラタンの小さなバスケットを見て、サディアスはそう察した。
それは、アイリスのエサを入れるためにコーディリアがラタンで作った、小さなバスケットだった。
「そう、これからね」
「アイリスも可哀想に。すっかり、オーランドをコーディリアに取られた」
サディアスもアイリスのエサ遣りに付き合う気になったようで、オーランドのいない間、アイリスを預かっている、キースの部屋へと向かう。
「最近は、オーランドより、コーディリアに懐いている気もするけどね。だけど、あいつ、太り気味なんだよなあ。多分、オーランドがエサをやりすぎなんだよ。ちょっと、ダイエットさせないといけないんだけど」
キースが自分の部屋のドアを開け、アイリス、メシだぞ、と声を掛けながら、サディアスとふたり、ゲージへと近づいて行く。
そして、ゲージを開けた瞬間、キースは、その存在に気づいて、
「ああっ、お前!!」
思わず、叫び声を上げた。
キースの叫び声で、一体、何ごと、と覗き込んだサディアスも、
「お前、いつの間に・・・」
「その存在を眼にして、呆気にとられた。
「太ったように見えたのは、このせいだったのか・・・」
アイリスの腹の下には、小さな卵が五つ、産み落とされていた。
けれども、産卵ということになれば、交尾が絶対条件で、オーランドに大切に飼育されているアイリスに、そんな機会があるとは、到底考えられなかった。
「いつ、そういうことになっちゃったんだろう?」
キースは、生まれたばかりの卵をしげしげと眺めつつ、首を傾げる。
その時、記憶を巡らせていたサディアスの頭に、二カ月近く前のコーディリアの声が甦った。
「実は、今朝、ほんの少し眼を離した隙に、どこかへ行ってしまって。わたくし、吃驚して、慌てて探したら、本棚の陰から、ひょっこり顔を覗かるのよ。だから、それからはずっと、ゲージの中で過ごしてもらっているの」
「ああ・・・、あの時か!」
そう思い当たったサディアスだった。
ふたりの男の驚きなど、気に留める様子もなく、出産を終えたアイリスは、どこか泰然としている風にも見えた。
「オーランドが知ったら、なんて言うかな?ショックを受けると思う?」
「まさか。自分たちも、せっせと励んでいるんだ。アイリスのことが言えるか」
はん、と、サディアスは鼻で笑う。
「そりゃあそうだよね」
アイリスは、きゅっと首を持ち上げると、自分をしげしげと見つめる男二人を、したり顔で見つめ返す。
まだまだね、あなたたち。
アイリスの大きな黒い瞳は、そう言っているような気がした。
<完>
「恥ずかしい・・・」
コーディリアは、頬を赤く染めて、顔を伏せた。
「君は、きれいだよ」
オーランドは、コーディリアの首筋に口づけ、両方の乳房を揉み、乳首を優しく摘まんでから、人差し指でそっとなぞり始めた。
コーディリアは、溜まらずに吐息を漏らす。
オーランドは、コーディリアの首筋に唇をあてながら、時折、耳たぶをはみ、優しく、早くも勃ち上がったその先端だけを、指で撫でた。
「ああ・・・、」
それだけのことで、何故、こんなにも味わったことのない快感を覚えるのかしら?
母からは、オーランドに任せておけばいい、と。
オーランドは、あなたを傷つけるようなことは決してしないから、その時には全てを委ねて、オーランドに応えればいいと言った。
母の言葉通り、コーディリアは、攻めあがって来る悦びに、大きな喘ぎ声を上げた。
「気持ちがいい?」
擦れた声で、オーランドが囁く。
「ええ・・・、とても・・・、とても気持ちがいいわ・・・、ああ、ダーリン」
コーディリアは、夢中で答えた。
オーランドは、コーディリアに腰を持ち上げるよう促すと、コーディリアの身体の下から、ナイトドレスを引き抜いた。
「ああ・・・、オーランド」
身体を包む生地が全て取り払われたコーディリアは、まだ自分の背後にいるオーランドを求めて、腕を伸ばした。
ほんの僅か、コーディリアから離れたオーランドが、再び逞しい腕をコーディリアに回して来た時、オーランドの肉体を覆う縮れ毛が直接肌に触れて、オーランドも脱いだのだと知った。
乳房への愛撫を続けながら、もう一方のオーランドの指は、コーディリアの腹部を滑らかに這い、柔らかな色合いの茂みに伸びる。
「オーランド・・・」
待って、とでも言うように、コーディリアは自らの下腹部に伸びるオーランドの腕に縋りついた。
そのコーディリアの耳に、オーランドは、大切にする、約束するよ、と囁き、優しく身体を擦った。
「脚を開いて・・・」
気が付けば、コーディリアはオーランドの言葉に従っていた。
オーランドは、コーディリアの花芯に中指を這わせ、突起を優しく押してから、前後にゆっくりとなぞり、軽い挿入を試みる。
「ああ・・・、いや、あ・・・あ」
未知の快楽に襲われ、いつの間にか羞恥を超えて、コーディリアは愉悦に溺れ始めていた。
絶え間ない花芯への甘い愛撫に、愛液が滴れ始め、抑えきれないコーディリアは、喜悦の声を上げ、ハニーブロンドの長い髪が、乱れた。
そして、指に絡みつき、糸を引く愛液と、コーディリアの喘ぎに、オーランド自身も酷く昂り、硬さが増していく。
オーランドは、コーディリアの反応を探って、自身の屹立を、コーディリアの腰にぐっと押し当てる。
「本当は、直ぐにでも君に・・・、入りたいんだ」
くぐもった声で、オーランドが呟いた。
コーディリアはオーランドの興奮を腰に感じて、下腹部が疼いた。
もっと・・・、もっと、私たちの間に何か、もっと。
ずっと、そう望んできたコーディリアだった。
自分が望んでいたのは、こういうことだったのだと、コーディリアは、ようやく気づいた。
「オーランド・・・」
「何?」
愛撫を続けながら、オーランドが首筋に、唇をあてた。
「わたくしも・・・、早く、あなたが欲しい」
その言葉に触発されたオーランドは、コーディリアをベッドに仰向けにすると、その身体に覆いかぶさって、縋りつき、喘ぐコーディリアの身体中に、夢中で唇を這わせ、乳首を含み、存分に味わった。
けれども、抑えきれない自分の衝動が、コーディリアを傷つけてしまいそうで、
「・・・大丈夫?」
心配そうに、そう尋ねる。
愉悦を漂うコーディリアは、眼を開き、
「あなたと、ひとつになりたいの・・・」
うっとりと艶めかしく微笑み、オーランドに手を伸ばす。
再び、コーディリアの身体に向かったオーランドは、コーディリアのしなやかな脚を持ち上げ、つま先から中心へ向かって唇を這わせていく。
もしかして、と、コーディリアが一瞬の躊躇を見せた瞬間、オーランドの舌先は、コーディリアの秘部を捉えていた。
これまでとは違う刺激に、思わずシーツを掴んだコーディリアの身体が、大きく反る。
けれども、既に、羞恥よりも、オーランドと分かち合いたい想いの方が、遥かに強くなっていた。
オーランドになら・・・、もう何をされても構わない。
お尻を抱え上げられて与えられる、生温な快感に声を上げ、オーランドの髪に指を絡ませて応えつつ、コーディリアの頭の片隅にそんな想いがよぎった。
コーディリアの脚を大きく開いて、潤いを確かめた後、オーランドは挿入を始める。
「痛い?」
「少し・・・でも、大丈夫・・・」
奥まで進みかけて、出血してる、と、一度、離れていくオーランドが、コーディリアはたまらなく寂しく感じた。
「続けれそう?無理なら・・・」
「続けて・・・、続けてほしいの」
初夜のために用意された布でコーディリアの出血を拭い、気遣うオーランドに、コーディリアは懇願する。
オーランドは、その頬にそっと口づけて、再び、挿入を始める。
時間をかけ、オーランドは、コーディリアの奥にまで収まり、繋がった。
「君の中は・・・、ああ・・・、最高だ」
オーランドは、抽送の前に果てそうな自分を、全力で抑えた。
「オーランド・・・」
コーディリアは、オーランドを迎え入れた悦びで胸がいっぱいになり、眼を閉じて、その想いに浸った。
動き始めたオーランドは、急速にせりあがって来る衝動に従って、抽送を始める。
けれども背に回ったコーディリアの反応の乏しさに気づいたオーランドは、ふたりで一緒に達する場所を探した。
そうする内に、コーディリアの唇から、思わず、大きな喘ぎが零れる場所があった。
オーランドは、そのまま抽送の速度を上げ続け、オーランドのリズムに合わせて、コーディリアも絶頂へと向かい始める。
けれども、その瞬間を迎える前に、コーディリアは、一度、オーランドのリーフグリーンの瞳に見つめられたいと思った。
「わたくしを見て・・・、オーランド」
うっとりと揺蕩うコーディリアの望みに応え、オーランドのリーフグリーンの瞳は、コーディリアのアクアマリンの瞳を捉えて、愛しているよ、と、呟く。
そして、そのままコーディリアの唇を塞いだ。
コーディリアの想像を超える強さで、コーディリアの口の中で、オーランドの舌と、絡み合う。
コーディリアの喘ぎはくぐもった声になって、オーランドの口の中に収まった。
抽送が、速度と強さを増す。
「あっ、ん・・・んんっ、あ、ああ、んっ、あっ!」
互いの絶頂の瞬間に向かって、薄暗い寝室には、コーディリアの声が響き渡った。
このまま、あ・・・あ、このまま・・・、ああっ!
「いく・・・、いくよ」
コーディリアはオーランドにしがみついた。
そして、オーランドが奥まで強く差し込み、精を放ったその瞬間、ふたりで官能の波に攫われ、コーディリアは絶叫した。
「あ・・・あああっ・・・!!」
ふたりは抱きしめ合ったまま、そのまましばらく動けずに、大きな呼吸を繰り返す。
そうして、ゆっくりと繋がった身体を離した。
オーランドは・・・、満足したかしら?
まだぼんやりとした脳の片隅に、そんな想いが掠めたコーディリアに、
「・・・満足した、コーディリア?」
オーランドが、指を絡めつつ訪ねて来る。
オーランドも同じことを思っていたのだと、コーディリアは微笑んだ。
「ええ・・・、とても満足よ。あなたは?」
「なんて言ったらいいか・・・、わからないよ。この気持ちは・・・、言葉にならない」
オーランドは、感極まった様子で、コーディリアを抱き寄せ、唇にそっと口づける。
間違いなく、俺は最高に幸せな男だ、愛している・・・、コーディリア、と、そして、わたくしも、愛しているわ、と、互いに、愛を囁き合い、触れ合いながら、それからの時間を過ごした。
そして、再び愛を確かめ合ってから、緩やかで甘い夜は、ようやく眠りについた。
「サディアス様、ラバダ・コテージから伝言が届いています」
オーランドとコーディリアが、ラバダ・コテージから明日には帰って来るという日の夕刻、外出先から戻り、自室へと階段を上りかけていたサディアスは、使用人に呼び止められ、ラバダ・コテージからの伝言を受け取った。
不測の事態でもあったのかと、急いで封筒を開いたサディアスだったが、一読して馬鹿らしくなった。
「何かあったの?」
物音を聞きつけたキースが、二階から顔を覗かせる。
サディアスは答えずに、キースに伝言を差し出しつつ、
「来年の今頃は、家族が増えているかもしれないな」
そう告げた。
オーランドからの伝言には、新婚夫婦にはありがちな事情の為、帰宅が一日遅れると記されてあった。
「ああ、なるほど・・・、そういうこと」
一読して、キースも、直ぐに事情を理解した。
「アイリスのエサか?」
キースが手にするラタンの小さなバスケットを見て、サディアスはそう察した。
それは、アイリスのエサを入れるためにコーディリアがラタンで作った、小さなバスケットだった。
「そう、これからね」
「アイリスも可哀想に。すっかり、オーランドをコーディリアに取られた」
サディアスもアイリスのエサ遣りに付き合う気になったようで、オーランドのいない間、アイリスを預かっている、キースの部屋へと向かう。
「最近は、オーランドより、コーディリアに懐いている気もするけどね。だけど、あいつ、太り気味なんだよなあ。多分、オーランドがエサをやりすぎなんだよ。ちょっと、ダイエットさせないといけないんだけど」
キースが自分の部屋のドアを開け、アイリス、メシだぞ、と声を掛けながら、サディアスとふたり、ゲージへと近づいて行く。
そして、ゲージを開けた瞬間、キースは、その存在に気づいて、
「ああっ、お前!!」
思わず、叫び声を上げた。
キースの叫び声で、一体、何ごと、と覗き込んだサディアスも、
「お前、いつの間に・・・」
「その存在を眼にして、呆気にとられた。
「太ったように見えたのは、このせいだったのか・・・」
アイリスの腹の下には、小さな卵が五つ、産み落とされていた。
けれども、産卵ということになれば、交尾が絶対条件で、オーランドに大切に飼育されているアイリスに、そんな機会があるとは、到底考えられなかった。
「いつ、そういうことになっちゃったんだろう?」
キースは、生まれたばかりの卵をしげしげと眺めつつ、首を傾げる。
その時、記憶を巡らせていたサディアスの頭に、二カ月近く前のコーディリアの声が甦った。
「実は、今朝、ほんの少し眼を離した隙に、どこかへ行ってしまって。わたくし、吃驚して、慌てて探したら、本棚の陰から、ひょっこり顔を覗かるのよ。だから、それからはずっと、ゲージの中で過ごしてもらっているの」
「ああ・・・、あの時か!」
そう思い当たったサディアスだった。
ふたりの男の驚きなど、気に留める様子もなく、出産を終えたアイリスは、どこか泰然としている風にも見えた。
「オーランドが知ったら、なんて言うかな?ショックを受けると思う?」
「まさか。自分たちも、せっせと励んでいるんだ。アイリスのことが言えるか」
はん、と、サディアスは鼻で笑う。
「そりゃあそうだよね」
アイリスは、きゅっと首を持ち上げると、自分をしげしげと見つめる男二人を、したり顔で見つめ返す。
まだまだね、あなたたち。
アイリスの大きな黒い瞳は、そう言っているような気がした。
<完>
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