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第十二話 暗中
暗中 一
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昨今はジェンダーフリーを唱える世の中で、女が外で働き、男が家を守ることがふつうだそうです。わたしの周りにはそんな家庭ひとつもありませんが、そういうことになってるらしいです。
すばらしい世の中ですね。かつてはそんな自由ありませんでした。そもそも女性が男と対等に話すことさえ許されなかったと聞きます。
それだけ余裕があるということでしょう。毎日山ほど食品を捨て、だれもが高級な電話機を持ち歩く時代です。不安なのは、男も女も働いたら、ひとりあたりの給料が半分になっちゃうんじゃないかってことくらいです。
ぜひわたしも有能な女人にめとってもらって、家庭を守りながらのんびり小説を書きたいものです。ドカタ仕事は疲れます。
しかし男がそれでいいんでしょうか。
いいんです。だって女性のみなさんがそうおっしゃるんですから。
第十二話 暗中
「あら、おかえりなさい」
レオの館の庭で紅茶をすすっていたアクアリウスが言った。
彼女はぼくらが海に旅行に行っているあいだ館の留守を守ってくれていた。
「ただいま帰りました」
森の小道から顔を出したレオが深く頭を下げながら応えた。レオはだれに対しても偉そうにするが、アクアリウスだけには礼儀正しい。なにせいのちの恩人だし、魔法や呪術を教えてくれた師匠だ。それに何年も生活の世話もしてくれた、半ば血のつながっていない姉のような存在でもある。だから敬いながらも気の置けない仲で、こういった頼み事もできたのだろう。
「数週間ものあいだ、ご迷惑をおかけしました。本当にありがとうございます」
「ううん、いいのよ。かわいいあなたの頼みだもの」
「痛み入ります」
とレオはあくまで慇懃だが、アクアリウスは気さくだった。
「あら、すごい量の魂ね」
アクアリウスは”かご”を見て言った。
ぼくと使い魔たちはレオのうしろにおり、レグルスが巨虎の姿でかごをくわえていた。大型犬のケージほどもある大きなかごは重く、人間の姿では運ぶのが大変だ。馬車でここまで来られれば楽だったけど、森の中には入ってこれないので、こうしてレグルスが運んでいる。
ちなみにレオはものを軽くする魔法が使えるが、あらゆる物体の中で銀だけは魔法が効かない。魂を入れるかごは銀製だからこうするほかなかった。
「どれも白色なのね」
「はい。海の悪霊の魂です」
「ああ、そういうこと。でも軽い薬を作るのにはちょうどよさそうだわ」
「そうでしょう。今回の礼と言ってはなんですが、アクア様にもお分けさせていただきます」
「まあ、うれしいわ。ありがたくいただきましょう」
ふたりはレグルスを連れて商品倉庫へと向かった。魂は適切な方法で保管しないとどんどん消えてしまうから、まずは倉庫へと向かったのだろう。
「ぼくらも荷物を片付けようか」
ぼくはうしろを振り返り、デネボラとゾスマに言った。ゾスマはひとの姿だが、デネボラは馬の姿で背に荷物をどっさり乗せていた。アルテルフは街まで馬車を返しに行っている。
「ひいん! ひひいん!」
デネボラは荒っぽくいななき、重い馬体を館へと進めた。運動ぎらいの彼女にとって、荷物を背負うことほどいやなことはなかった。
やがてぼくらは荷を片付け、全員でみやげものを広げた。一階の大リビング、その中央の巨大なテーブルの端を埋め、ひとつひとつ並べていく。
「まずこれはアクア様へのおみやげです」
「まあ、どんなものをくれるの?」
「はい。魚の開き、乾燥貝柱、それと美しいアクア様にお似合いの真珠の指輪です」
「あら! ステキね! それにひさびさに海のものが食べられてうれしいわ」
「乾き物ですので、お帰りになってからお召し上がりください。今夜はこちらの冷凍した魚介類を焼いていっしょにいただきましょう」
「まあ~、カニさんにエビさん、それから魚の切り身もあって、いいわねぇ。たくさんあるし、これなら焼くより”土鍋”にした方がいいんじゃない?」
「は、土鍋とは」
「鍋で煮ながらつまむのよ。薄口に味をつけて、酸味のあるタレで食べるの。ここにある”芋酒”なんかよく合うと思うわ。ね、そうしましょう」
「ほう、芋酒と……それはたのしみです。ぜひそういたしましょう」
レオはゴクリとのどを鳴らし、
「おい、デネボラ。あとでアクア様に土鍋の作り方をご教授いただいて準備しろ」
「はぁい、お任せくださぁい」
デネボラは道中買ったクッキーを食べながら言った。彼女は客の前だろうがお構いなくおやつを食べる。もちろんレオはすぐに叱ったが、アクアリウスが、
「いいのよ。デネボラちゃん気にしないで」
と許したので、あるじの険しい視線も気にせず堂々としていた。
……それにしても土鍋か。いったいどんな料理なんだろう。なにせぼくら内陸の人間は海のものに疎いからなぁ。
その点アクアリウスは各所を旅しているからさまざまな調理法を知っている。土地土地の食材の、地元民しか知らないような食べ方を覚えている。
今回ぼくらが行った漁港では土鍋なんて見なかったから、レストランでは出さないような郷土料理か、よほどまれな技法なのだろう。ぼくは旅に興味はないけど、こういうのがあるとちょっとうらやましいと思っちゃうな。
ぼくらは食材の整理を終え、こんどは雑貨品を並べはじめた。
「その、ひもで繋がった貝殻はなあに?」
「ああ、これはわたしの水着です」
「水着? いいわねえ、それ。おっぱいも下も、ホタテの貝殻だけで隠すの?」
「ええ。近々これでアーサーを誘惑しようと思っています」
「ま、やらしい! アーサー君ったらしあわせものね! このお!」
とアクアリウスがぼくにウィンクした。そ、そうかもしれないけどさ……こんなみんなの前で言わないでほしいなぁ。なんでテーブルの上に置くのさ。恥ずかしいよ。
「まあ、真っ赤になっちゃって。あら、レグルスちゃんも真っ赤ね」
「あ、は、その……ひぃ」
レグルスは性的なことが大の苦手だ。言葉を聞いただけで恥ずかしくなり、下手をすれば泣いてしまう。もしかしたらレオが貝殻水着でぼくを誘惑するところを想像してしまったのかもしれない。彼女は肩をすぼめ、目を白黒させていた。
「これを着たらきっと魅力倍増よ。ねえ、レオ。レグルスちゃんにも貸してあげなさいよ。かわいくてスタイル抜群だから似合うわよ~」
「そうですね。健康的な黒い肌に白い貝殻、きっと似合うに違いありません。ぜひそうしましょう」
「えっ!? そ、そんな破廉恥なものを!?」
「わたし見たいわぁ。ねえ、荷物の整理が終わったら着て見せて。ね、いいでしょ? お願い」
「ぜ、ぜ、ぜ、絶対にいやです!」
レグルスはそう言って立ち上がり、いまにも泣きそうな赤面で逃げ去ってしまった。あーあ、かわいそうに。でもたぶんアクアリウスは悪気なんてないんだろうなぁ。
「あらあら、ウブねぇ。でもそこがあの子のかわいいところなのよね」
ほら、やっぱり。からかって遊んでるんだ。レオもそうだけど師匠もたいがいだよ。いや、この師匠にこの弟子ありってとこか。
と、ぼくがそんなことを考えていると、
「ただいまー!」
馬車を返しに行っていたアルテルフが帰ってきた。彼女は鷹だ。行きは馬の速度で、帰りは飛べるからうんと早い。
「アクア様おひさしぶりですー」
「あら、おひさしぶり」
彼女は律儀に挨拶をし、レグルスがいた席にぴょこんと座った。そして、あれはわたしのだとか、これはだれのだと、率先してものの整理をはじめた。
アルテルフはけっこう仕切り屋だ。それにレオの使い魔のリーダーでもある。といっても最初にレオに仕えたというだけで、自分で勝手にそう決めているだけらしいけど。
そんなアルテルフがなにげなく言った。
「それにしてもアクア様よく我慢できましたねー」
我慢?
「だって、アクア様はかなりの男好きでしょー? それなのに館にこもりっ切りじゃーつまんなかったでしょー」
「こら! アクア様に失礼だぞ!」
レオが手を上げそうないきおいで叱りつけた。しかし、
「いいのよ、ホントのことじゃない」
アクアリウスはにこやかだった。ちょっとくらいの失礼じゃ彼女は怒らない。アルテルフもそれがわかっているから軽口を叩くのだろう。
「すみません、うちのバカが」
「ううん、謝ることないわ。その通りだもの。実際男漁りもしてたしね」
「る、留守中にですか?」
「ああ、安心して。連れ込んだりしてないわ。うちの使い魔に留守を頼んで、近くの街や村にナンパされに行ってたのよ。田舎の男はがっついてるから簡単だったわ」
「は、はあ……」
さすがのレオもこれには呆れ気味だった。自身の淫乱ぶりを平気で話すなんてまともな精神じゃない。豪胆ともとれるが、それは男に限っての言葉だろう。
「でも失敗したわ。あの子がいればそんな必要なかったのにね」
「あの子?」
「ほら、名前なんていったかしら。アーサー君のお友達で、元騎士で、魔術師団を抜けてわたしの弟子になった子」
それって……まさかコジャッブ!?
「そうそう、コジャッブ君。あの子はこの館に来れたでしょう。捨てなければよかったわ。それにあの子の”アレ”すごく大きかったしね。まあ、テクニックはいまいちだったけど」
そういえば忘れていた。ぼくの親友コジャッブはアクアリウスの弟子になって旅立ったんだ。でも、レオが言っていた。アクアリウスは男を取っ替え引っ替えするから、きっとすぐに捨てられてしまうって。あのときは一日心配したけど、ぼくって忘れっぽいから次の日には記憶から消えてしまっていた。
ああ、コジャッブ。君はいまどうしているんだ。”捨てられた”って、どんな状態になっているんだ。ぼくに劣らない力の剣と、まだ新人とはいえ魔法の才能があるから、そう簡単にくたばることはないと思うけど……
すばらしい世の中ですね。かつてはそんな自由ありませんでした。そもそも女性が男と対等に話すことさえ許されなかったと聞きます。
それだけ余裕があるということでしょう。毎日山ほど食品を捨て、だれもが高級な電話機を持ち歩く時代です。不安なのは、男も女も働いたら、ひとりあたりの給料が半分になっちゃうんじゃないかってことくらいです。
ぜひわたしも有能な女人にめとってもらって、家庭を守りながらのんびり小説を書きたいものです。ドカタ仕事は疲れます。
しかし男がそれでいいんでしょうか。
いいんです。だって女性のみなさんがそうおっしゃるんですから。
第十二話 暗中
「あら、おかえりなさい」
レオの館の庭で紅茶をすすっていたアクアリウスが言った。
彼女はぼくらが海に旅行に行っているあいだ館の留守を守ってくれていた。
「ただいま帰りました」
森の小道から顔を出したレオが深く頭を下げながら応えた。レオはだれに対しても偉そうにするが、アクアリウスだけには礼儀正しい。なにせいのちの恩人だし、魔法や呪術を教えてくれた師匠だ。それに何年も生活の世話もしてくれた、半ば血のつながっていない姉のような存在でもある。だから敬いながらも気の置けない仲で、こういった頼み事もできたのだろう。
「数週間ものあいだ、ご迷惑をおかけしました。本当にありがとうございます」
「ううん、いいのよ。かわいいあなたの頼みだもの」
「痛み入ります」
とレオはあくまで慇懃だが、アクアリウスは気さくだった。
「あら、すごい量の魂ね」
アクアリウスは”かご”を見て言った。
ぼくと使い魔たちはレオのうしろにおり、レグルスが巨虎の姿でかごをくわえていた。大型犬のケージほどもある大きなかごは重く、人間の姿では運ぶのが大変だ。馬車でここまで来られれば楽だったけど、森の中には入ってこれないので、こうしてレグルスが運んでいる。
ちなみにレオはものを軽くする魔法が使えるが、あらゆる物体の中で銀だけは魔法が効かない。魂を入れるかごは銀製だからこうするほかなかった。
「どれも白色なのね」
「はい。海の悪霊の魂です」
「ああ、そういうこと。でも軽い薬を作るのにはちょうどよさそうだわ」
「そうでしょう。今回の礼と言ってはなんですが、アクア様にもお分けさせていただきます」
「まあ、うれしいわ。ありがたくいただきましょう」
ふたりはレグルスを連れて商品倉庫へと向かった。魂は適切な方法で保管しないとどんどん消えてしまうから、まずは倉庫へと向かったのだろう。
「ぼくらも荷物を片付けようか」
ぼくはうしろを振り返り、デネボラとゾスマに言った。ゾスマはひとの姿だが、デネボラは馬の姿で背に荷物をどっさり乗せていた。アルテルフは街まで馬車を返しに行っている。
「ひいん! ひひいん!」
デネボラは荒っぽくいななき、重い馬体を館へと進めた。運動ぎらいの彼女にとって、荷物を背負うことほどいやなことはなかった。
やがてぼくらは荷を片付け、全員でみやげものを広げた。一階の大リビング、その中央の巨大なテーブルの端を埋め、ひとつひとつ並べていく。
「まずこれはアクア様へのおみやげです」
「まあ、どんなものをくれるの?」
「はい。魚の開き、乾燥貝柱、それと美しいアクア様にお似合いの真珠の指輪です」
「あら! ステキね! それにひさびさに海のものが食べられてうれしいわ」
「乾き物ですので、お帰りになってからお召し上がりください。今夜はこちらの冷凍した魚介類を焼いていっしょにいただきましょう」
「まあ~、カニさんにエビさん、それから魚の切り身もあって、いいわねぇ。たくさんあるし、これなら焼くより”土鍋”にした方がいいんじゃない?」
「は、土鍋とは」
「鍋で煮ながらつまむのよ。薄口に味をつけて、酸味のあるタレで食べるの。ここにある”芋酒”なんかよく合うと思うわ。ね、そうしましょう」
「ほう、芋酒と……それはたのしみです。ぜひそういたしましょう」
レオはゴクリとのどを鳴らし、
「おい、デネボラ。あとでアクア様に土鍋の作り方をご教授いただいて準備しろ」
「はぁい、お任せくださぁい」
デネボラは道中買ったクッキーを食べながら言った。彼女は客の前だろうがお構いなくおやつを食べる。もちろんレオはすぐに叱ったが、アクアリウスが、
「いいのよ。デネボラちゃん気にしないで」
と許したので、あるじの険しい視線も気にせず堂々としていた。
……それにしても土鍋か。いったいどんな料理なんだろう。なにせぼくら内陸の人間は海のものに疎いからなぁ。
その点アクアリウスは各所を旅しているからさまざまな調理法を知っている。土地土地の食材の、地元民しか知らないような食べ方を覚えている。
今回ぼくらが行った漁港では土鍋なんて見なかったから、レストランでは出さないような郷土料理か、よほどまれな技法なのだろう。ぼくは旅に興味はないけど、こういうのがあるとちょっとうらやましいと思っちゃうな。
ぼくらは食材の整理を終え、こんどは雑貨品を並べはじめた。
「その、ひもで繋がった貝殻はなあに?」
「ああ、これはわたしの水着です」
「水着? いいわねえ、それ。おっぱいも下も、ホタテの貝殻だけで隠すの?」
「ええ。近々これでアーサーを誘惑しようと思っています」
「ま、やらしい! アーサー君ったらしあわせものね! このお!」
とアクアリウスがぼくにウィンクした。そ、そうかもしれないけどさ……こんなみんなの前で言わないでほしいなぁ。なんでテーブルの上に置くのさ。恥ずかしいよ。
「まあ、真っ赤になっちゃって。あら、レグルスちゃんも真っ赤ね」
「あ、は、その……ひぃ」
レグルスは性的なことが大の苦手だ。言葉を聞いただけで恥ずかしくなり、下手をすれば泣いてしまう。もしかしたらレオが貝殻水着でぼくを誘惑するところを想像してしまったのかもしれない。彼女は肩をすぼめ、目を白黒させていた。
「これを着たらきっと魅力倍増よ。ねえ、レオ。レグルスちゃんにも貸してあげなさいよ。かわいくてスタイル抜群だから似合うわよ~」
「そうですね。健康的な黒い肌に白い貝殻、きっと似合うに違いありません。ぜひそうしましょう」
「えっ!? そ、そんな破廉恥なものを!?」
「わたし見たいわぁ。ねえ、荷物の整理が終わったら着て見せて。ね、いいでしょ? お願い」
「ぜ、ぜ、ぜ、絶対にいやです!」
レグルスはそう言って立ち上がり、いまにも泣きそうな赤面で逃げ去ってしまった。あーあ、かわいそうに。でもたぶんアクアリウスは悪気なんてないんだろうなぁ。
「あらあら、ウブねぇ。でもそこがあの子のかわいいところなのよね」
ほら、やっぱり。からかって遊んでるんだ。レオもそうだけど師匠もたいがいだよ。いや、この師匠にこの弟子ありってとこか。
と、ぼくがそんなことを考えていると、
「ただいまー!」
馬車を返しに行っていたアルテルフが帰ってきた。彼女は鷹だ。行きは馬の速度で、帰りは飛べるからうんと早い。
「アクア様おひさしぶりですー」
「あら、おひさしぶり」
彼女は律儀に挨拶をし、レグルスがいた席にぴょこんと座った。そして、あれはわたしのだとか、これはだれのだと、率先してものの整理をはじめた。
アルテルフはけっこう仕切り屋だ。それにレオの使い魔のリーダーでもある。といっても最初にレオに仕えたというだけで、自分で勝手にそう決めているだけらしいけど。
そんなアルテルフがなにげなく言った。
「それにしてもアクア様よく我慢できましたねー」
我慢?
「だって、アクア様はかなりの男好きでしょー? それなのに館にこもりっ切りじゃーつまんなかったでしょー」
「こら! アクア様に失礼だぞ!」
レオが手を上げそうないきおいで叱りつけた。しかし、
「いいのよ、ホントのことじゃない」
アクアリウスはにこやかだった。ちょっとくらいの失礼じゃ彼女は怒らない。アルテルフもそれがわかっているから軽口を叩くのだろう。
「すみません、うちのバカが」
「ううん、謝ることないわ。その通りだもの。実際男漁りもしてたしね」
「る、留守中にですか?」
「ああ、安心して。連れ込んだりしてないわ。うちの使い魔に留守を頼んで、近くの街や村にナンパされに行ってたのよ。田舎の男はがっついてるから簡単だったわ」
「は、はあ……」
さすがのレオもこれには呆れ気味だった。自身の淫乱ぶりを平気で話すなんてまともな精神じゃない。豪胆ともとれるが、それは男に限っての言葉だろう。
「でも失敗したわ。あの子がいればそんな必要なかったのにね」
「あの子?」
「ほら、名前なんていったかしら。アーサー君のお友達で、元騎士で、魔術師団を抜けてわたしの弟子になった子」
それって……まさかコジャッブ!?
「そうそう、コジャッブ君。あの子はこの館に来れたでしょう。捨てなければよかったわ。それにあの子の”アレ”すごく大きかったしね。まあ、テクニックはいまいちだったけど」
そういえば忘れていた。ぼくの親友コジャッブはアクアリウスの弟子になって旅立ったんだ。でも、レオが言っていた。アクアリウスは男を取っ替え引っ替えするから、きっとすぐに捨てられてしまうって。あのときは一日心配したけど、ぼくって忘れっぽいから次の日には記憶から消えてしまっていた。
ああ、コジャッブ。君はいまどうしているんだ。”捨てられた”って、どんな状態になっているんだ。ぼくに劣らない力の剣と、まだ新人とはいえ魔法の才能があるから、そう簡単にくたばることはないと思うけど……
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