【完結】知らざる乙女は闇の蔓に囚われる~忘却の乙女と約束の箱庭~

琴葉悠

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散らす、壊す

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 ヴァインは未だここから逃げ出そうと考えているメルを見つめた。
 早々に逃げ出すことを諦めてくれればいいのだが、メルは諦めない。

 何せ子どもの頃、かくれんぼで鬼になった場合ヴァインを自分で見つけるまで納得しないのだ。
 わざとらしく隠れると怒り、再度隠れるよう要求する、なので子どものメアが見つけられる程度の場所に隠れるのにいつも苦労させられた。
 見つけられないのが続くと泣き出すから余計苦労した。

 精神的に成長しているから、自分の前で泣く様な事はしてくれないだろうとヴァインは思った。
 が、できるだけ早く折れて欲しいのも事実だった。
 折れて、諦めて、壊れてくれるのが最善だとヴァインは思っていた。

 だが、己の駒にした連中のような行為をメルにはヴァインはしたくなかった。
 別に他の連中にする分は何も思わないが、メルにはしたいとは思わなかった。

 できる事なら、愛でたい、慈しみたい。
 だが同時に、汚したい、犯したい、壊したかった。
 どうすれば堕ちてくれるだろう、壊れて、自分だけにすがってくれるようになるだろうか。
 歪んだ感情の方が勝ってしまうが、何とかそれを納得させつつ、他の連中とは差別した行動をとっている、今は。


 メルを椅子に座らせ、テーブルの上に蜂蜜色の液体で満たされたスープボウルとスプーンを置く。
 メルはアナルプラグが椅子の所為で余計喰いこむ感触に、もぞもぞとしている。
 顔が若干赤いから不快感ではなく、快感を得ているのが分かる。
「メル様、お食事です、どうぞ」
「……」
 手を付けようとしない、アナルプラグの所為も少しはあるだろうが、それ以上に警戒しているのが分かる。
「毒は入っておりませんよ」
「……」
「――食欲がないのですか? では少し体を動かしましょうか?」
 ヴァインは一度テーブルの上の物を消して、メルをベッドに連れて行った。


「……」
 ベッドに寝かせても、メルは無言のままだ、反抗できない抵抗できないからこその「抵抗」なのがヴァインには理解できた。
「メル様、こちらは随分お気に召したようですね?」
「っ……!!」
 ショーツ越しにプラグをぐりぐりと押し、わずかに抜き差ししてやれば、メルは唇を必死に閉ざそうとしながら、シーツを掴んで快感に耐える。
 じんわりと、薄いショーツが濡れ始める。
 ぐりっと押し込んでから、ショーツに手をかけると、さすがに抵抗してきた。
 が、能力がないメルは普通の人と変わらない、抵抗を気にせずショーツを脱がし、黒い手袋から、薄手のゴムの手袋に利き手を付け替えて、ローションで手袋を濡らす。
「昨日は此処がお預けでしたからね。ご安心ください、メル様が許可を下さらない限り、私のは、挿れませんから」
 能力で無理やり足を広げさせて拘束して、秘所が丸見え状態なのを隠したくても隠せないメルにそう言いながら指で秘所を広げながらローションを塗り込み、ゆっくりと指を挿れた。
 昨日の媚薬で散々焦らされた其処は初めて何かを受け入れるというのに、柔らかく、そしてきつく締め付けてきた。
 優しく指の腹で膣肉を撫でてみる。
「~~~~!!」
 堪えるような反応、声と共に、ほのかに血の臭いが漂う。
 メルを見れば唇から血が滲んでいた。
 挿れられる快感は何とか耐えたものの、撫でられる快感が強すぎて、それを認めたくない結果唇を噛んで、そして血が出てしまったのだろう。

 流石にこれもペナルティとして扱ったら、メルの負荷が増す。

 愛しいメルに、ヴァインはそのような事をさせたくはなかった。
 なので別の方法を取ることにした。




「ん~~!!」
 ぐちゅぐちゅ、くちゅくちゅという卑猥な音がやけに五月蠅く聞こえてメルは恥ずかしくて仕方がなかった。
 腕を拘束されて、口内を長い舌で犯されながら、膣内を指が蠢く感触に、メルはどうする事も出来なかった。
 指の腹が膣内の壁を撫でたり押したりする感触だけで、イキそうなのに、イケなくてつらい快感が強いのに、頭がぐちゃぐちゃになりそうなのに、イケない苦痛が体を苛む。
 口内を犯す舌の感触にも快感を感じていた。
 歯列をなぞり、舌を絡めてきて、ぞわぞわとした甘い感覚に膣内の疼きが悪化して、指でぐちゃぐちゃと犯されている状態を更に悪化させるのだ。

 それらを見たくなくて目を閉じているが、その所為で余計感覚が鋭くなってしまっていた。

 膣内から分泌される液体とローションのぐちゅぐちゅとなる音、膣内をとんとん、と優しく触られる感触、くちゅくちゅと口内で唾液が混じり合い舌を絡ませられる音、そして――

 男の香り。

 汗臭いとか、香水臭いとか、そういう物ではない、頭がくらくらとするような香り。
 匂いとして何かの香りがあるわけではないのに、頭がくらくらとしてうまく働かなくなるような「香り」を放っていると頭が知覚している。




「っ……ふ……ァ」
 三十分が経過する頃には、メルの抵抗する気力はほとんど削げ落ち、逃げていた舌を自分から絡ませてくるようになり、口づけをねだる様になった。
 手の拘束も不要になり、外してやれば、秘所を自分で広げて、ヴァインの指を受け入れやすいようにしてきた。
 膣内を愛撫しながら、むき出しになった小ぶりな陰核も愛でる。
 体を震えさせ、びくつかせるが、絶頂だけは与えていない。
 ヴァインは待ってるのだ、メルの「許可」を。
 一度口を開放してやる、目はとろんとした状態になり、顔は赤く染まり、唇は艶めいて、そして唾液で塗れていた。
「メル様、どうして欲しいですか?」
「うァ……」
 膣肉の弱い箇所を軽く押しながらなぞる。
「ァ……!!」
「メル様は、何が、欲しいですか?」
「……い、れ……て……イキ……た……い……」
 漸く、メルが口にした言葉に心の中で歪に笑う。
「――畏まりました」
 穏やかにほほ笑み優しく囁いて再度口づけをする。

 メルを裸にすると、ベッドに寝かせる。
 逃げる様子はない、覆いかぶさるような体勢を取るとメルは手を伸ばしてヴァインの首に手を回し、舌を出した。
「ァ……ア……」
 ヴァインは笑みを浮かべたままメルの口に口づけをして、舌を絡ませあった。
 そしてその間に、ぐっしょりと濡れた秘所に雄を押し当てる。
 ゆっくりと雄の先端を押し入れる。
 柔らかくほぐれた其処は先端をゆっくりと受け入れる。
 先端の最も太い箇所が少しきつかったが、其処が入ったので、あとはゆっくりと柔らかく温かく、締め付けてくる膣肉の感触を味わいながら、奥まで入れる。
 指の時は柔らかさと締め付けと温かさが心地よかったが、雄だときつさの方が強く感じられた。
 処女特融のきつさがある。
 必死に縋り付くように口づけに熱中し、腕に回す力を強めるメルの仕草が可愛らしいものに見えた。
 下腹部を軽く撫でてから押すと、体を震わせた。

 開発してなくてこれほど敏感なのだ、だから誰にも触れさせたくない、触れるのは自分だけでいいと、ヴァインは思った。
 奥――ポルチオの箇所も基本は慣らさなければいけないのだが、そこを突く感触でも感じているように、膣内が締まり、体が震え、口内で絡み合っていたメル舌が跳ねる。
 媚薬付けの影響もあるだろうが、それでもここまで処女の体で反応するのには元からそういう素質を体が持っていなければならない、メルへの媚薬はその程度のものだ。

 他の連中に使っている物は未経験だろうが、経験を有していようが関係なく、開発されきった状態になり、快楽を欲する獣になる程に強いものだから。
 結果、ヴァインの従順な駒へとなる。
 罪悪感は無い、駒になっても問題がない連中ばかりだからだ。
 駒になったほうが、世の中の為にもなるだろう。

 メルに使った媚薬はそれよりも比較的軽いが、市販で流通されている媚薬とは比較にならない。
 最初は、我慢できていた。

 だが、昇れぬ快楽に長時間浸され、昇れぬ快楽の苦しみを知った。
 排泄器官であるはずのそこで体は初めて絶頂の味を覚えた。
 その場所で熱を放たれる感触での絶頂にも目覚めた。

 ならば、快楽に昇れず、疼いている、女が性行為で基本用いる場所に絶頂に至らず、だが絶頂してもおかしくない愛撫を与えられ続けられたら、経験が乏しく、快楽に敏感な体は堕ちそれに引きずられるように頭と心も一時的にだが堕ちた。

 行為が終わり、目を覚ませばきっと、否定しようと、あがくだろう。
 けれども繰り返せば、いつかきっと――

 受け入れるはず。

 諦めないヒーローエレメントの本質が「諦め、受け入れる事」だと誰が知っていようか、誰も知らない。
 周囲がそうさせたのだ、彼女の望みを理解せず、メルの言葉を「殺して」我慢させ、彼女は「諦めた」のだ。
 彼女は周囲に「本当の自分」を認めてもらう事を諦めた。
 本当の「弱い自分」を「誰かに傍にいてもらわないと心が折れてしまいそうな程不安定な自分」を隠すことにした。
 誰かに「愛されたい」と願う自分を、本当の「自分」を誰かに愛して欲しいと願う自分を隠して、鍵をして自分でも分からなくした。
 可哀そうな子、昔からずっと変わらず、誰にも理解されず、だから彼女は弱い自分を見ても幻滅しなかったヴァインに依存していた、友達や家族よりも自分との時間を優先した。


 鍵をこじ開けて、自覚させよう、自分はそういう存在じゃないと、それは作られた偽物だと。


「ァ……!! ァア……」
 首に回されていた腕は力を無くして、ベッドの上に落ち、口から舌が出ており、唾液が零れて、目は快楽に染まり切っていた。
 膣肉の蠢きは雄を強請るものになっていた、正確には精液を欲しがる動きに。
 奥に押し付け、我慢し続けた精液を吐き出す。
「……!!」
 声にならない声を出してのけ反り、メルはそのまま目を閉じた。
 体が完全に弛緩するのを見て、ずるりと引き抜けば、どろりと精液が愛液と混じって零れていた。
 目を閉じたメルの頬を撫でてヴァインは彼女の額に口づけをする。
「もう『偽物』は終わりにしましょう、メル様」
 優しい声色で眠るメルにそう告げると、ヴァインは後始末をして、部屋を後にした。

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