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学園入学!~復讐したいのに何故か男女ハーレムが形成された⁈~
婚約と別れ~ひとりになってしまった~
しおりを挟む突然の婚約者発言に意識をぶっ飛ばした私は目覚め、私の顔をのぞき込む六人を──
説教した。
「何で私の意思を無視で婚約するんですか⁈」
「君のお母様は許可を出してくれたし……」
アルフォンス殿下がしょんぼりしながら言う。
「母さんー⁈」
何許可だしてくれちゃってるのー⁈
「お前の母君は、恋愛感情がないのは本気らしいからこのままだと一人身で一人抱え混んで苦しい思いをするからって」
グレンがふてくされたように言う。
「母さん……」
私の事を考えてくれたのは嬉しい。
嬉しいのだが。
「六人全員と婚約したらあなた達のご家族がなんと言うか……」
それが頭痛の種。
頭痛が痛いと言いたくなる位だ。
誤字だと分かっててもそう言いたくなる。
「あ、私父上には全部事情話した上で、肯定されたので大丈夫です!」
「国王陛下ー⁈」
王様なに肯定してんの⁈
「俺は、父上に五、六回ほど聞き返されたが最終的に納得して貰った」
それ納得違う、諦めたんやて、レオン。
「俺は親父に殴られたが、母が親父を殴って説得してくれた!」
グレンのお父様、お母様には弱いのね……
「私はお父様が王族との繋がりができたーと喜んでましたわ、直後に母が殴ってましたけど」
カーラのお父様、正直すぎるわ。
そりゃお母様も怒って殴るわ。
「私は絶対結婚できないだろうと思ってたと両親に言われましたわ、失礼極まりないですわ!」
ミスティ……ご両親にどうしてそう思われるようなことに……?
「私もよ、両親そろって手を上げて万歳してましたわ、失礼ですわ!」
フレア、貴方も……?
「だからご安心を」
アルフォンス殿下、何も安心できねーです。
「何も安心できない……」
「後、婚約したので学内の王族の屋敷に皆で移り住みましょう」
「は⁈」
「警備も寮よりしっかりしてますし、安全です」
私の意見は無視かーい!
「あの、私の意見は……」
「アトリアさんの意見を優先すると『あの子の事だから逃げ出すだろうから無視していいです』とお母様から」
母さーん‼
ひでぇよ‼
いや、マジで‼
「既に荷物は全員分運んでいるので行きましょうか?」
「……はい」
私は諦めた。
学園内のたまに見かける屋敷が王族の屋敷だった。
「ようこそ、皆様。王族の屋敷へ、どうぞ、お入りください」
と、ダンピールらしき男性が扉を開けて私達を屋敷へ入れた。
「あの、この方は……?」
「私はアルフォンス殿下の従者セバス・ミハイルと申します」
「何かあったらセバスに相談してください。セバス、皆さんを部屋に案内してくれ」
「はい、アルフォンス殿下」
一人ずつ部屋へと案内され、最後に私は部屋を案内された。
「空間魔法で作られた広い部屋だった」
「寮同様悲鳴などは聞こえる仕様になってますので、何かありましたら叫んでください」
「わかりました……あのセバスさん」
「はい、何でしょう?」
「……此度の婚約どう思われていますか?」
「私はアルフォンス殿下の従者ですので……」
私は他の六人をちらっと見る。
六人は理解してくれたらしく部屋に戻っていった。
「皆さんいなくなりました、どうか本音をおっしゃってください」
「正直、頭がおかしいと思いました」
「ですよね」
「婚約者となる方の意見はガン無視でその方のお母様の許可で進めるのもどうかと」
「ですよね!」
「ですが、アルフォンス殿下や皆様が幸せそうなのをみるともう何も言えないのです」
「そうですか……」
「そうなのです……」
セバスさんはため息をついた。
「アトリア様、ご迷惑をおかけしますが、どうか宜しくお願いします」
「い、いえ、こちらこそ!」
ぺこぺこと頭を下げ合う。
するとお腹が鳴った。
思わず顔を赤くする。
「ふふ、では料理は腕を振るわせていただきましょう」
「楽しみにしてます」
微笑むセバスさんに、いい人だなぁと私は思った。
セバスさんが部屋を出て数分後、六人が戻ってきた。
「セバスとは上手くやれそうかい?」
「はい」
「そうか良かった、最初はどうなることかと思ったんだよ」
「どうしてですか?」
「父上に話す前にセバスに言ったら『殿下、ついに頭がおかしくなられましたか⁈』って言われてね。ついにって何ですか、ついにって」
「そりゃあ普通ならあり得ない案件ですからね……ってちょっと待ってください。私の立場って今どういう」
「私達六人の婚約者、学生生活終了後は私の伴侶で、皆の花嫁というところかな」
「はなよめ」
「そう、花嫁」
「私男なんですが?」
「大丈夫よ、アトリア。貴方の花嫁衣装はきっと素敵よ」
「そう、素敵に決まってる」
「うんうん」
女性陣三人にも花嫁言われとる……
何私受けと攻めで言われたら総受け?
「護衛もたくさんいるし、安心して過ごしましょうね」
「はは……」
私は乾いた笑いを浮かべるだけだった。
そして次の日の休み外出届けを出し──
家に戻る。
「ああ、アトリア様。お帰りなさいませ」
「ただいま。母は?」
「今付き人と散歩に──」
「まぁ、アトリア元気にしてた⁈」
「母さん‼」
問いただしたい気持ちを抑える。
「母さん、まずは休んで、話したいことがあるんだ」
「何かしら?」
母は元気を取り戻し、体調が良くなってきていると付き添いの人が教えてくれた。
きっと、あの映像が母の体を動かせるようにしたのだろう。
だから、母の心はまだ病んだままだ。
それを思いながらも、休んだ母と本題に入る。
「母さん、私の意見無視して婚約の許可だしたでしょう! 六人に!」
「ええ、ええ! だってそんなに愛されているなら──」
「誰かに奪われる事無く、幸せでいられるわ」
「母さん……」
母の病んだ思考から生まれた物だと理解した。
「それに六人全員誠実な方だったわ、貴方をみんなで幸せにしてあげたい、そういったのよ」
「いや、それ誠実?」
「誠実よ、正直に言ったんだもの」
此処でも母の病みを垣間見る。
「……母さん、でも私は恋愛感情とか分からなくて──」
「それでも、誰かと家族になれたなら家族愛が生まれるわ、私はそれを願っているの」
「家族、愛」
「アトリア、貴方は幸せにおなりなさい」
「……はい、母さん」
私は母の手を取った。
母の手は少し冷たかった。
私は何となく想像した。
母との別れが近いのではないのかと。
その予想は当たった。
次の休み、母を訪問したとき──
母の命の火は消えかかり、今にも息絶えそうだったから。
「母さん⁈」
母に駆け寄り手を握る。
「あとりあ……」
医者を見るが首を振る。
「母さん、私を一人にしないで! 母さん!」
そう言うと母は微笑んだ。
「だいじょうぶ、あなたは、ひとり、じゃない、もの……」
するりと手が落ちた。
母の目は開いたままだった。
医師が確認する。
「お亡くなりになられました」
「あ、あ、ああああああああああああああああああああああああ‼‼‼」
私は絶叫した。
ひとりになってしまった。
かあさん。
なんでおいていってしまったの。
かあさん。
私は子どものように泣きじゃくり、母の亡骸にすがりついた──
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