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孤児院~真名~
しおりを挟む「ちょっと寄りたい所がある」
「分かった」
見廻りの後、クレーンゲームでぬいぐるみを山ほど取った零は慎次と共にある孤児院へ立ち寄った。
「ここは?」
「私が育った場所だ」
慎次は場所が放つ異形の臭いに少し警戒する。
「零お兄ちゃん!」
「元気にしてたか、お前達」
「うん!」
零は子ども達にぬいぐるみを渡していく。
「わぁい!」
「ありがと!」
「どういたしまして」
「あら、零さん、きたの?」
女性が現れた。
「院長、お久しぶりです」
「院長?」
慎次はじっと見つめる、女性から異形の匂いがするが人の匂いもする。
「慎次さん、貴方のことはフエ姉さんから聞いてます、どうぞこちらへ」
院長はそう言って二人を院長室に通す。
「フエから聞いてると言うことは……」
「私も異形の子です、名前は明理」
「聞いた事がないな」
「本来の名前はありません、私の名は子ども達が呼ぶための名前です」
「なるほど、名無しか」
「名無し?」
零が慎次に尋ねる。
「異形の子は本当の名を生まれながらにほとんどが持って居る、だが力が弱い異形の子は持たないことが多い」
「本当の名前がないとどうなるんだ?」
「暴走したときに止めるのに苦労する」
「ええ、私は暴走するほど力がなく、子ども達に臭い避けの為の存在でしかありません」
院長と慎次の言葉に、何か納得した様子の零。
「とりあえず分かった」
「所謂真名が重要なのだな」
「その通りだ」
慎次が頷くと零は安堵の息を吐いた。
「私は真名は知らないが、大丈夫か?」
「大丈夫だ、花嫁は真名を自動で叫ぶ事ができる。覚えていなくても、覚えててもな」
「そういうものなのか」
零は何となく納得したようなしてないような顔をした。
「要件はすんだのだろう、帰るぞ」
「分かった、では院長先生、失礼します」
「ええ、零さん、また」
「なるほど、今までたまに孤児院に顔だししてたのか」
「ここ最近忙しくてな」
「全くだ」
事務所二階で食事を取る例。
「なぁ、慎次。真名を叫べるのは異形もか?」
「ああ、その通りだ」
「そうなのか……」
「くれぐれも、叫ぶなよ」
「何故」
「異形は名前を呼ばれると力が増す」
「わかった、呼ばない」
それでいい。
零の言葉に慎次は安心したように、ため息をついた──
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