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独りぼっち~私は友達なんていない~
明里は五日間毎日授業に出て、真剣に授業を受けていた。
宿題もこなし、教師に当てられたらすらすらと答えていた。
いじめられていたとはとても思えない程どうどうとしていた。
そして金曜日、葛葉と共に学校を出ると、バイクに乗ったガラの悪そうな連中と遭遇した。
「お前か、明里って奴は」
「な、何でしょう?」
「とぼけんな! お前と関わった連中全員不慮の事故で死んだんだぞ、俺のダチも、女もだ! どうしてくれる!」
明里は困り果てた。
そんなこといっても、殺したのはアルフレートだし。
「いいのかそんなことを言って」
「何だ、テメェ教師か?」
「もし彼女を不遇に扱うことで事故にあったのならば──」
「君達も事故に遭って死ぬのでは?」
そういうとその連中は血相を変えた。
「お、覚えてやがれ!」
そう捨て台詞を吐いてその場からバイクで走りさった。
「やれやれ」
「……一刻も早くアルフレートから解放されて、アルフレート事態をなんとかしないと……」
「明里……成長したな」
「そりゃあしますよ、泣いてばかりじゃいられません」
「じゃあ明日はヴァンピール退治だな」
「げ……はい、頑張ります」
葛葉の家に戻ると、クォートが出迎えた。
「お帰りなさい、エレナさん、明里さん」
「葛葉玲奈だ……全く、吸血鬼達は皆私をエレナエレナと、それは昔の名前だというのに」
「皆さんにとっては葛葉さんはエレナさんなのですよ」
「納得がいかん」
葛葉は不満げに言った。
「エレナって?」
「昔の名前だ、黒歴史という奴だと思ってくれ」
「あっはい」
なんとなくだが、明里は葛葉が「エレナ」だった時、よほどの事をしたのだと思った。
「明里宿題は今日中に済ませておけ」
「はい、先生を待っている間に大分済ませて起きましたから」
「良い子だ、他の学生を見習わせたいものだ」
「有り難うございます」
葛葉に褒められ明里は素直に嬉しかった。
「そうだ明里、今日見たく誰かに絡まれたりとかしてないか?」
「してません」
「それならいい」
「寧ろ避けられています」
「それは……すまんな」
「いいえ」
明里は葛葉の言葉に、やはり何かしていたのだなと理解できた。
その結果他の学生に避けられるようになってしまったが、一人の平穏を取り戻すことができた。
愛情を十分に与えられなかった明里は雰囲気で、他の人を遠ざけてしまうか、逆に暴力を振るわれるかの二択だった。
暴力は人目を気にせず行われた。
幼稚園の時は引き離され助かった、小学生と中学生の時も、高校になってから陰湿ないじめに変化し、そして今に至る。
友達の作り方をしらない明里は、一人で十分だった。
でも、今は葛葉やクォートが一緒に居てくれる事が嬉しくて仕方なかった。
「……本当に、有り難うございます」
「何、どうした?」
「どうしました?」
「こんな私を気遣ってくれて有り難うございます」
明里は頭を下げた。
するとこつんとたたかれた。
葛葉がたたいていた。
「明里、別に私はお前が自分の学校の生徒だからというだけで助けているわけではないぞ」
「先生?」
「お前だから助けているんだ、人目を気にしているが、優しいお前を」
「優しくなんてないです……私色々やっちゃいましたから……」
「それはアルフレートの阿呆の所為だと言ってるだろう」
「先生……」
「だからさっさとアルフレートの呪縛から解き放たれる為にも強くなるんだぞ」
「はい!」
「だから今日は宿題をやったらゆっくり休みなさい」
「はい、そうします」
明里は借りさせて貰っている部屋へと向かっていった。
部屋に入ると、椅子に腰掛け、早速宿題の準備をする。
そして宿題をやる。
「ワラキア」
「父上」
リビングでは、葛葉がワラキアを呼んでいた。
「アルフレートはどうだ?」
「八つ当たりにヴァンピールを狩り始めたぞ」
「ついに八つ当たりまでするようになったか、残された時間は短い。明日と明後日で明里を仕上げる」
「できるか」
「やってみせる、奴が狩っていないヴァンピールは」
「まだ数多く居る」
「なら安心だ」
葛葉はワインを飲み干した。
「あの阿呆に間抜け面させてやる、ついでに二度とこんな馬鹿げたことをしないよう傷までつけてやる」
「エレナ……」
「相当頭にきてますね」
「漸くいじめに気づいて対処しようと思った矢先にあいつがやらかしてくれたからな、頭にきてるんだ」
「エレナさん……」
「明里は何があっても自由にしてやる、私が奴から自由になったようにな」
葛葉は目を赤く染め、月を睨み付けた。
もう二三日で満月になりそうな月だった──
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