20 / 21
結婚式~アルフレートの玉砕~
「アルフレートを二度と近づかないようにさせたい?」
「はい」
「一番手っ取り早いのがボコボコにすることだな、だができるか明里」
「……ちょっと無理そうです」
「だろうな」
暴力沙汰が苦手な明里は即座に葛葉の言葉に無理だと言って凹んだ。
じゃあどうしよう、と。
「そうだな、結婚式を挙げるのはどうだ。アルフレートに情報を与えず、入れない場所で」
「そんな場所……」
「明里、私の父の城に礼拝堂があります、そこで式を挙げましょう」
「なら仲介人基証人は私がやろう」
「でも遠いんじゃ」
「吸血鬼専用のジェット機ならすぐだ。ちょうど連休に入るし、行くぞ」
「ひゃ、ひゃい」
明里は泊まる準備を葛葉にさせられた。
翌日、連休に入り、車で空港まで連れて行かれ、ジェット機に乗せられて空を飛ぶ。
日の光が入らぬように窓は暗かった。
ジェット機で数時間乗った後、車に再び乗り継ぎ、山奥の城へと招かれた。
「よく来た、我が子の花嫁よ」
クォートの父、ワラキアが出てきて、明里を歓迎した。
「あ、あの嫌じゃないんですか? 私、アルフレートに吸血鬼にされた人間なんですが……」
「其方の善性は息子からよく聞かされている、それに自分からで無く無理矢理吸血鬼にされたのであろう? なら問題はない」
「そ、そうですか。よかったぁ……」
ここまで来て駄目だしくらったらどうしようと明里は思っていたのだ。
「式は明日だ、今日はゆっくり休むといい」
「明日⁈」
式が明日と聞かされ、明里は驚愕した。
「そうだぞ、明日だ。大丈夫私がいる」
「アルフレートもここまではやってこれられまい。ゆっくり休まれよ」
「は、はぁ……」
そう言ってあてがわれたのは豪奢な部屋だった。
「休めないよ、これ」
「大丈夫だ明里、気にせず使ってくれ」
「だって汚しちゃったら……」
「洗えばいいだけだから」
「う、うん」
クォートに言われてなんとか部屋を使う勇気を手に入れた明里は荷物を置き、ベッドに座る。
ふかふかのベッドだった。
「ふふ、ふかふか……」
ベッドのふかふかに魅了されていた。
「明里、そろそろ薬を飲んで寝ろ」
「あ、はい」
部屋にやってきた葛葉に言われて明里は薬を飲んでベッドに入ってぐっすりと眠った。
翌朝、目覚めると葛葉がやってきた。
「明里、朝食の血液だ。それを飲んだら着替えるぞ」
「は、はい」
明里は血液パックから血を吸うと、葛葉について行き、綺麗でかわいらしいドレスを目の前にし、顔をバラ色に染めた。
「可愛い!」
「そうか、気に入ってくれたか」
「私たち三人でデザインをずっと考えてたんだ、すまんなお前をそっちのけにして」
「いえ、私じゃこんな可愛いの考えつきませんから! それに式も急がないといけないですし」
「うむ、そうだな」
明里は葛葉によって着替えさせられる。
綺麗なヴェールもかぶせられ、明里は本当に花嫁さん気分になっていた。
「こんなかわいらしい娘が、我が子の妻か……うむ、良い」
「ワラキア、そこで感慨深くなってないで案内しろ」
「分かっておる」
「父上、私も着替えました」
花婿衣装姿のクォートを見て、明里は格好いいと顔を赤らめた。
「よしよし、明里も乗り気だな行くぞ」
そう言って礼拝堂に案内される。
十字架は無かったが、綺麗なステンドグラスが印象的だった。
「では始めよう」
そう言って結婚式が始まった。
明里はドキドキしっぱなしで、言葉があまり頭に入ってこなかった。
「明里──何時はクォートを夫とし、病めるときも貧しきときも共にあると誓うか」
「ち、誓います」
なんとか言葉を拾えて誓う言葉を言うことができた。
「では誓いの口づけを──」
「その式待ちたま──」
誰かの声がしたが、明里はクォートとのキスが恥ずかしいけど頑張るのでいっぱいいっぱいで誰の声か分からぬまま、明里はクォートとキスをした。
「ここに一組の夫婦が誕生した、皆拍手を!」
城に住まう者達が拍手をする。
それに明里はうれしさを感じていた。
「よくここまで来たものだ」
「全くだ」
明里が居ないところで、ずるずると、放心しているアルフレートを引きずるワラキアと葛葉。
「わ、私の花嫁が……」
「残念だったなアルフレート、明里はクォートの花嫁だ」
「略奪なんてお前のプライドが許さないだろうしな」
「ああ……何故だ、無慈悲だ……」
「分かったらとっとと自分の本来の城に帰れ!」
そう言って葛葉はアルフレートを追いだした。
「全く、どうやって来たんだか。後で調べねば」
「そうだな、頼んだぞ」
結婚式が終わり、そして初夜──
何も無く終わった。
正確には、クォートが頬にキスをして、一緒にベッドに入って眠った。
それだけだった。
『いいか、クォート。明里は処女だし、まだ学生だ、手をだすなよ』
と、軽い脅しをかけられていたことを明里は知らないまま、クォートのぬくもりを感じすやすや眠っていた。
一方手を出せないことにちょっともんもんとしていたが、仕方ないとクォートは明里の心地よい冷たさを感じて眠った──
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
忠犬男子が懐きすぎて異世界までついてきた「件」
竜弥
ファンタジー
異世界に転生する直前、天貴(てんき)が選べた“持ち物”は三つ──
だが、彼はひとつしか持たなかった。
残されたのは部屋と、布団と、そして──忠犬。
「クータンを頼む」。それが、最後の言葉だった。
ぽつんと現代に残された玄太は、天貴の部屋で布団にくるまりながら泣いていた。
でも、捨てられたわけじゃなかった。
天貴が“本当に”持っていきたかったのは、玄太だったのだ。
その事実を知った瞬間、忠犬は立ち上がる。
天貴の武器を手に、異世界転送の手はずを整え、
天貴が今どんな敵と向き合い、何に苦しんでいるのかを知った玄太は、叫ぶ。
──忘れ物はおれ!…届けに行くっすから!
これは、異世界に送られた大好きな先輩を追って、
“忠犬男子”が次元を越えて追いかける、少しおかしくてちょっと泣ける物語。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…