9 / 42
新婚旅行!
五人を愛する難しさ
しおりを挟む「エドガルドは夜這いをかけててずるい!」
「ずるいのはお前達の方だろう!」
ロゼアの庭園──言ってしまえば薔薇の庭園で、未だ火花を散らせているエドガルドとアルバート。
「そうだぞ、エドガルド。エリアならともかく、お前が夜這いをしてどうする」
「え、え?」
「エリア、今日はお前が行け、エドガルドは俺達が引き留める」
「ええ?!」
「皆様、せっかくの庭園でそのようなお話はお控えください」
フィレンツォの言葉に、皆がしゅんと黙る。
「ダンテ様も、ちゃんと対応しなければ」
「できると思うかい?」
「できないでしょうが、そこは頑張ってください」
──ふぁーっきゅ!──
と、心の中で中指を立てるが、かわい子ちゃん達には自分は甘すぎるのを承知なので、どうにか頑張るしかない。
「取りあえず、エステータ王国にはどんなものがあるんでしょう? プリマヴェーラ王国のように素敵な場所であれば嬉しいのですが」
「ダンテ、調べてないのか?」
「いや、調べてる途中にエドガルドが来たので調べ終わってないんですよ」
「ならば、俺達が案内しよう! 夏のエステータ王国の歩き方とやらをな!」
「まぁ、避暑地を巡る旅になるだけだから気にするな」
「ああ……なるほど」
エステータ王国は相当暑い場所だと理解した。
というか暑い場所だった記憶がある。
「ま、まぁ今はここを満喫しましょう。ロゼアのアイスとか売ってるらしいですよ」
「よし食べよう」
「た、食べたいです」
「アイスか……」
興味津々な皆を見て、少しふふっと笑ってから前を見るとフィレンツォが近寄ってきた。
「ロゼアの色の種類だけあるから慎重に選んでくださいよ」
と言われるが、何をどう慎重に選べばいいのか分からない私は、稀少性と「未来への希望」という花言葉を意味する青いロゼアのアイスを選んだ──
フィレンツォの言うとおり一悶着あり、私はこれで大丈夫かと頭を悩ませた。
夜、エリアが来たので色々と慰めて貰った、へたれで何が悪い!
そして、夏。
エステータ王国へと私はやってきた。
「暑い!!」
私は思わず声を上げた。
「暑いです……」
「なんだここは……暑すぎる……」
「人の住む所じゃない……」
エステータ王国出身以外の三名が声を上げる。
「はははは、そりゃエステータの夏は暑いからな! まぁ、こんな所で突っ立ってるのもなんだからさっさと行こうか!」
「ええ、そうしましょう……」
アルバートとカルミネが案内する。
この国の国王陛下からの手紙通りの避暑地まで案内され、そこの別荘へと入る。
「わぁ……外はあんなに暑いのに、中は涼しい……!」
感激したように言うエリアに、アルバートは笑って答えた。
「そう言う作りになってるし、冷却石を魔術核で稼働させて家の中を冷やしているからな」
「そういえばそうでしたね」
「今日は俺とカルミネを愛して欲しい──と言いたい所だが、エリアに譲るわ」
「え……?」
驚きの表情を浮かべるエリア。
私の肩を叩くカルミネ。
私の反対の肩を叩き、怖い笑顔を浮かべるアルバート。
──こわいっす──
私は内心ガクブルしつつも、引きつった顔でアルバートに言う。
「ど、どうしてだい?」
「お前、エドガルドだけが正式な伴侶じゃないからと甘やかしすぎ」
「後、エリアは甘やかされなさ過ぎだ」
「「分かったら今日はエリアをきっちりと甘やかせ、いいな?」」
ハモって言う二人に私はこくこくと頷くことしかできませんでした。
なので夜、エリアを甘やかして、愛し合って、一晩を明かしました。
少し元気が無かったエリアも少し元気を取り戻したようでした。
ちなみに、私とエリアがいちゃついている間、アルバートとカルミネとフィレンツォとエドガルドとクレメンテの五人が今後どうやっていくかを真面目に話合っていたらしく申し訳なくなった。
──ハーレムってむずい!──
『当たり前だ』
──難易度高い訳だよ!──
『そしてハーレムエンドで終わりではない、今お前は続きを歩いている』
──分かってますよ──
神様とのやりとり、助けて欲しいと思いはする。
『お前は甘すぎるのだ、誰にでも』
──そんなこと言ったってー──
『まずはそれをどうにかしろ、五人全員が一番なのは譲らない方向でだ』
──それなら、なんとか……──
『その上で、五人をバランス良く愛せ』
──それが難しいんですよ!──
『今、お前はエドガルドに比重が置いてある、エドガルドが正式な伴侶ではないが故に』
──うぐ──
『そこだけははっきりしておけ、正式な伴侶でないのがなんだと』
──ど、どういうことですか?──
『もっと全員公平にしろということだ、頑張れ』
──ちょっとー!!──
神様はすっと引っ込んでいなくなってしまい、私はまた「戻って」くるとはぁとため息をついた。
──エドガルドと一度話さないとダメかこれは──
そう考えると、私はエドガルドを呼ぶことにした。
エドガルドは少し不服そうな顔をしていたが、私を見るとぱぁっと笑顔になった。
「申し訳ございません、エドガルド。私は貴方を特別視しすぎてたようです」
その言葉に、エドガルドは狼狽えた。
「な、何を言うのだ、ダンテ」
「貴方は比翼副王、伴侶ではない──というのが公になっている貴方の立場。だから貴方を優遇しすぎた。本来なら他の伴侶と同じく扱うべきなのに──」
「ダンテ……」
「私は貴方を『哀れんで』しまった、それは愛ではない」
「!!」
エドガルドの顔が泣きそうな顔になる。
「私は、他の四人のように貴方を愛したいのです」
「ですから、もう哀れむのはやめにします、それは貴方への侮辱行為だ」
私はきっぱりと言うと、エドガルドは私に抱きついてきた。
「エドガルド……」
「不安だった、他の四人は伴侶なのに自分は違うと、あの日決めたはずなのに不安になってしまった」
「それは仕方の無い事です、割り切るのは難しいでしょう」
「だからお前に甘えてしまった、お前なら許してくれると。お前の優しさにつけ込んだ醜い私が嫌でたまらない」
「醜くなんてありません」
エドガルドの言葉を私はきっぱりと否定する。
「エドガルド、貴方は美しい人です」
「いや、私は、今の私は醜い」
「エドガルド」
手を握り、額にキスをする。
「どうか、貴方自身を卑下しないでください。寧ろ、悪いのは私なのですから」
「いいやちが──」
「「「この似たもの兄弟いい加減にしてください(しろ)!」」」
バーンとフィレンツォとアルバートカルミネが扉を開け放って現れた。
「さ、三人ともどうしたのです?」
「ダンテは公式伴侶じゃないからと哀れんで甘やかしすぎた、エドガルドもそれに依存した、はいこの話これでお終い!!」
アルバートが手を叩く。
「エドガルドも、ダンテに依存する悪癖をどうにかした方がいいぞ」
カルミネが私とエドガルドを引き剥がす。
「ともかく、今後は五人皆平等に愛してくださいね、ダンテ殿下」
「あ、ああうん、勿論だ」
フィレンツォの笑顔がめっちゃ怖かったのは黙っておこうと思った。
0
あなたにおすすめの小説
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~
大波小波
BL
フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。
端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。
鋭い長剣を振るう、引き締まった体。
第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。
彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。
軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。
そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。
王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。
仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。
仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。
瑞々しい、均整の取れた体。
絹のような栗色の髪に、白い肌。
美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。
第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。
そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。
「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」
不思議と、勇気が湧いてくる。
「長い、お名前。まるで、呪文みたい」
その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる