ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~アフターストーリー~

琴葉悠

文字の大きさ
15 / 42
新婚旅行!

秋の国へ~兄弟の絆~

しおりを挟む



 夏が終わり、秋が来たので私達はアウトゥンノ王国へとやって来た。
「「ようこそお越し下さいました、ダンテ殿下」」
 出迎えたのはエルヴィーノ陛下ではなく、クレメンテの姉たちだった。
「ミリアム殿下と、ミア殿下。出迎え感謝致します」
「姉様達……兄上は?」
「陛下は仕事です、押しつけました」
 少し暗い表情をしていたクレメンテの目が丸くなる。
「どうして、ですか」
「あの馬鹿……じゃない、陛下は貴方の事となると周囲が見えなくなって迷惑を被るのですよ、全く頭いいのに馬鹿なんですから」
「ミリアム姉様、少し言い過ぎです」
「ミア、これくらいがいいのです」
 瓜二つとも言ってよい二人の会話に、私達は苦笑いを浮かべるしかなかった。

「──では、案内をさせて頂きますね」
「有り難うございます」
 ミリアム殿下はエルヴィーノ陛下の監視に戻ると言ったので、ミア殿下が案内をして下さった。

 案内された屋敷は他のと同じく、広く立派だった。

「ダンテ殿下、クレメンテを、弟をお願いしますね」
「分かりました」
 ミア殿下はそう言って立ち去ると、私達は屋敷で休憩モードに突入する。

「ミア殿下は細かく屋敷の説明をしてくれたな」
「ああ、風呂も全員で入れるくらいだし、ちょうどいいな」
「ところでクレメンテ」
「な、なんでしょう」
 アルバートがクレメンテに声をかける。
「お前さんも大変だなぁ、兄と色々あって。俺とカルミネは弟と色々あったから何かあったら力になるぞ」
「……有り難うございます。でも、貴方達とは事情が違うので……」
 クレメンテはそう言って部屋へと引っ込んでしまった。
「事情が違うからこそ力になれるんじゃないかって言おうと思ったんだがなぁ」
 アルバートが頭を掻いた。
「クレメンテの件はエルヴィーノ陛下の自業自得なので、私達は見守るしかないですかね……」
「そうでもないと思うぞ」
 カルミネがそう言った理由が私には分からなかった。




『カルミネの言葉にも一理ある』
──なら一体どうすれば?──
『時を待て』
──はぁ……──

 神様にぼかして言われて、困惑。
 この神様言わないときが多いんだよなぁ。

『お前の性格が原因だと何度もいってるだろう』
──はいはい、私の性格悪くてすみませんね!──




「それより、この国には収穫体験できる果樹園があるのだろう? そこへ行ってみないか?」
「いいですね、皆さんもそれでいいですか」
 アルバートの提案に私は乗っかる。
「ぼ、ぼくは、たべきれそうにないのでその……」
「いいですね、一度行ってみたかったんですよ」
「面白そうだな」
「今の時期ならグレーナが良さそうだな」
「カルミネ様、お詳しいですね。エリア様大丈夫ですよ、食べきれなかったら持ち帰ればいいんですから」
 フィレンツォがまとめるようにいう。
「そう、なんですか?」
「ええ、そうなんですよ」
「じゃあ……」
「ではフィレンツォ、手配をしてくれ」
「かしこまりました、ダンテ様」
 フィレンツォが早速手配をしだした。

 数分すると、少し困り顔でフィレンツォが戻ってきた。
「どうしたんです?」
「いえ、ほとんどの果樹園が他に予約している人がいるので悪目立ちするのを防ぐ為、エルヴィーノ陛下に連絡したところ、王家の果樹園に来て欲しい」
「エルヴィーノ陛下はいらっしゃるのですか?」
「いえ、仕事を山積みにされてできないのでミナ殿下が代わりに」
「……それにしましょう、ダンテ」
 クレメンテの言葉に私は頷く。
「──分かりました、フィレンツォ。それで」
「かしこまりました」
 フィレンツォがいなくなると、クレメンテがため息をついた。
「どうしたのです、クレメンテ」
「いえ……少しだけ、兄の事を……」
「仲良くしたいのかー?」
 アルバートが口を挟むと、クレメンテはなんとも言えない表情で首をふった。
「分からない。私は、兄とどうしたいのか、分からなくなってしまった」
 困り果てた顔でクレメンテはそう言った。
「兄のしたことは私を守る為とは言え許せないけど、だけども……」
「……」

『フィレンツォの所に行って、エルヴィーノに果樹園に来るよう連絡しろ』
──え?!──
『後は、ふたりきりにさせてやれいいな』

 神様からの突然の助言に戸惑いながら私はフィレンツォの所に行った。
「すまない、どうしてもエルヴィーノ陛下とお会いしたいのだ。明日果樹園に来て欲しいと」
「……クレメンテ様の事ですね」
「ああ」
「かしこまりました、何とかしてみます」
「ありがとう」

 フィレンツォの通話を見守り、私も通話に出てエルヴィーノ陛下に来るようになんとかしてもらった。

──大丈夫なのかなぁ──
『大丈夫だから言ってるのだ』

 神様の言葉はあれど、心配なので取りあえず今日はクレメンテと眠ることにした。
 エルヴィーノ陛下──兄と会う不安を取り除く為、優しく触れた。


 翌日。
 王家の果樹園につくと、エルヴィーノ陛下とミナ殿下がいた。
「お二人ともお出迎え感謝致します」
「いえ、こちらこそ、我が儘をいってすみません」
「いえいえ、我が儘を言ったのはこちらですので……」
 等と会話を繰り返しつつ、誰と果物を取るか話し合いをした結果──

 クレメンテがエルヴィーノ陛下と自分からペアになった。
 私は他の皆と一緒に取ることになった。

「この葡萄ぶどう美味しいですね」
「どれもほどよい甘みがいいですね」
「……あのクレメンテとエルヴィーノ陛下は……」
「そっとしておきましょう」

 私達とは離れた場所で、果実をもぎながら何か話をしている二人をエリアと私は見つめる。
「本当、二人だけでいいのか?」
「いいんですよ、二人でお話をさせてあげましょう」
 不安そうな他の三人にもいい聞かせて、果物をもいで口にしたり、土産のバッグに入れたりした。




 大分時間が経つと、クレメンテが戻ってきた。
 エルヴィーノの表情は遠目に見ても良い表情をしていた。
 クレメンテの表情も晴れやかだった。
「何を話してきたんだ?」
「秘密、です」
 カルミネの言葉にクレメンテはそう返して私に近寄って手に何かを置いた。
 黄金色の葡萄だった。

「ここの葡萄で年に二、三個とれるかとれないかの葡萄です。……父の時は全くとれませんでしたが、兄になった途端豊作になったらしいので、皆で後で食べましょう」
「ええ、そうしましょう」
 私は黄金色の葡萄をバッグにしまうと、クレメンテの頬を撫でた。
 クレメンテは目を細め、うっとりとした表情で私を見つめた。


 屋敷に戻って食べたその葡萄はどの葡萄よりも美味しかったし、エルヴィーノ陛下からも同じく差し入れが来た。

 通話先で「ダンテ殿下、クレメンテの伴侶が貴方で良かった。貴方に感謝を」と言われた。

「クレメンテ、お話できて良かったですね」
「貴方のおかげです、ダンテ」
 そう言って彼は私にキスをして、部屋に戻っていった。

 私はその感触に確かめながら自室に戻り、今日はエドガルドと眠りについた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

前世が教師だった少年は辺境で愛される

結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。 ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。 雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。

モラトリアムは物書きライフを満喫します。

星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息 就職に失敗。 アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。 自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。 あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。 30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。 しかし……待てよ。 悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!? ☆ ※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。 ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~

大波小波
BL
 フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。  端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。  鋭い長剣を振るう、引き締まった体。  第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。  彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。  軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。  そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。  王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。  仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。  仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。  瑞々しい、均整の取れた体。  絹のような栗色の髪に、白い肌。  美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。  第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。  そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。 「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」  不思議と、勇気が湧いてくる。 「長い、お名前。まるで、呪文みたい」  その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

処理中です...