ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~アフターストーリー~

琴葉悠

文字の大きさ
42 / 42
ここから

命を返す、そして──

しおりを挟む



 退位してアドリアに王の座を渡してから、たまにヘルプが来るがエリアも含む伴侶が「お前は今まで父であるダンテの何を見てきたのか」と説教が飛び、自分なりに四苦八苦しながらやっているそうだ。
 わたしが80年も王やってたんだから、分からないのも当然だと言うと、皆は否定し、親の背中を見てきたはずだと言ってのけた。

「私の時は、父母が手伝ったりしてたのですが?」
「それは、お前が無茶する癖を持っていたからだ、アドリアは持っていない」

 と、言われてしまえばお終い。
 我が子は私に似ず育ったようだと納得せざるを得ない。

「それにしても厳しすぎやしませんかね」
「いいや、厳しくない。これからはアドリアが国を支えていかなければならないのだからな!」
 エドガルドはきっぱりと言い切った。
「そ、そうです。アドリアをあまり、甘やかしては、いけないです」
 生みの親であるエリアでさえ、そう言った。
「皆さん……本当にそうですか?」
 と問い詰めると、わずかにエリアが顔をそらした。
「皆さん、80年も王様やってた私に苦労をかけないためと、久々の六人の時間を満喫したいという思惑がありますね?」
 じっと見つめて言えば皆目をそらした。

 正解か。

「フェルモ、アドリアと連絡を取ってください、なにで躓いているか聞きたいので」
「既に用意済みです」
 連絡装置を用意しているフェルモに拍手を送ってから、通話する箇所に耳と口を当てる。


「アドリア、聞こえていますか?」
『ち、父上?!』
「今困っているのでしょう、遠慮せず、この父に相談しなさい」
『はい、実は──』




 まーた出たよ、人身売買は違法だっつってんのに、手を染めてるの。
 しかも広範囲別国でも。




「ならば、他国の王達と協力して問題解決にあたりなさい、貴方一人が負うべき内容ではないのですから」
『ありがとうございます、父上』
「何か困ったことがあったら、連絡をなさい」
『はい』
 通話を着ると、顔で笑って、心は叱りモードになる。
「皆さん、正座」
 めったにならないが、これは叱らないといけない案件なので心を鬼にして叱ります。


「──以上、わかりましたか?」
「「「「「はい……」」」」」
 全員しょげていた。
「私も皆さんとの時間は大事にしたいですが、退位しても元王。国は心配なのですよ、我が子も」
「「「「「はい……」」」」」
「……これからはゆっくり過ごしましょう、アドリアの件の時以外は貴方達との時間に私の時間を割きますので」
「そ、そんな、ダンテ様」
「ダンテ、それはいけない、お前は無理をする」
「そうです、ダンテ、貴方は無茶をする」
「そうだぞ、ダンテお前は無理をする」
「そうだ、ダンテ無理をするのがお前だ」

──あるぇー?──

「……わかりました、自分の時間を作りつつも、みなさんと過ごします」
 そう言うと漸く皆は納得してくれた。


 それから、夢のような毎日が始まった。
 いや、もっと正しく言えば、学生時代のような毎日が始まった。


 私は小説を書き、合間があれば、それを一人で読んだ。
 そしてエドガルド、エリア、クレメンテ、アルバート、カルミネといちゃこらしながら時にはベッドの上で抱き合い、体を抱き、皆で眠った。


 それをしていて、どれくらい時間がたったのかは、私は分からなかったが、気がつけば私は死への恐怖が無くなっていた。

 もう、いつ終わってもいいと感じるようになったのだ。

「皆に話したい事がある」
 伴侶達を呼ぶ。
「そろそろ命を返そうと思う」
「そうか……決めたんだな」
「はい、エドガルド」
 不思議と、皆不安な表情は無かった。

「いつ命を返すかなーと思ったが大分時間がたったな」

 カルミネがそういうとアルバートが笑った。
「だが、楽しい時間がたくさん過ごせたじゃ無いか」
「ああ、そうだな」
「はい、そうです……」
「ええ、そうですね」
「そうだな」
 フェルモが近寄ってきた。
「フェルモ、お前には長いこと迷惑をかけてしまったね」
「いいえ、ダンテ陛下。命の方を看取らせていただきます、いつ頃?」
「明日」
「分かりました、アドリア様達にもお伝えします」
「わかった」
 私はそう返した。

 そしてその夜、皆で眠ることにした、並ぶ順番はエドガルドが私の左隣、エリアが右隣、で、エドガルドの隣がアルバートで、エリアの隣がクレメンテで、カルミネが端っこだった。

 たくさん、話をした。
 今までの人生どうだったのか。
 来世でも、また伴侶になりたいとか。
 そういう話をした。


──まぁ、来世があるならトラブルがない平和な時代がいいなぁ──


 と思いつつ語り合った。




 そして、翌日。
 朝一でアドリアが駆けつけてきた。
「父上……」
「アドリア、あまりよい父で無かったかもしれないな、すまなかった」
「いいえ、父上、貴方は最高の父です」
 アドリアは泣きながら私の手を掴み、エリアの手も掴んだ。
「母上……」
「アドリア……立派な王様になったのですね……僕は嬉しいです……」
「母上、貴方にそう言って貰えて、私は誇らしいです……」
 そういう最後の会話をしていると、残りの子等も全員入ってきて、会話が続いた。

 泣かない子もいれば、泣きじゃくる子も居た。

 我が子とお別れか、と内心寂しくなった。

 が、決意は変わらない。

 皆とベットの上に寝る、全員が私の手を掴むような体勢を取る。
「──女神インヴェルノ、主神アンノよ。この命、お返し致します──……」
 眠気がやってきた、そのまま眠りに私は落ちた。

 二度と目覚めることの無い眠りに──……




『よく生きたな』
「はい、生きましたよ」
『お疲れ様』
「これから私はどうなるんですか?」
『まぁ、ここまでやっちまったから私の手伝いをしばらくしてもらうぞ』
「はぁ」
 それもそうだな、と思ってると──
『彼らと共に』
「へ?」

「「「「「ダンテ(様)!!」」」」」

 皆が駆け寄ってくる。
 私は抱きつかれ倒れてしまう。

「ど、どういうことですか神様!?」
『いやぁ、来世でもダンテと一緒に居たいとこの者達が言うから、それまでダンテと私の仕事の手伝いをしてくれたら約束しようと言ってしまってな』
「はぁ?!」
「ダンテ様、このフィレンツォ何処までも貴方様と共に」
 フィレンツォが膝をつく。
「死後も、そして永遠にお前と共にある、ダンテ」
 エドガルドがそういい、うっとりとした笑みを浮かべる。
「僕は永遠に貴方のものです」
 エリアははっきりといった。
「一生どころか、永遠に離さないぞ、ダンテ」
 クレメンテが腕を掴む。
「これからもいっしょだな!」
 と、アルバート。
「何か色々すまないな」
 申し訳なさそうなカルミネ。
「──ええ、いいですよ。魂が朽ち果てるまで、私は貴方達と共に」
 そう言って皆と笑い合った。




 美鶴の人生はあっけなく終わった。
 ダンテの人生は長く、そして誇りをもって終わることができた。

 でも。

 私の道はまだまだこれかららしい。
 愛しい伴侶達と執事と共に、これからも歩いて行こうと思う。

 山があろうが、谷があろうが、今の私は笑って歩ける。

 だって。
 最愛の人達がいるから──





















End...
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

前世が教師だった少年は辺境で愛される

結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。 ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。 雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。

モラトリアムは物書きライフを満喫します。

星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息 就職に失敗。 アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。 自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。 あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。 30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。 しかし……待てよ。 悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!? ☆ ※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。 ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~

大波小波
BL
 フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。  端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。  鋭い長剣を振るう、引き締まった体。  第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。  彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。  軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。  そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。  王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。  仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。  仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。  瑞々しい、均整の取れた体。  絹のような栗色の髪に、白い肌。  美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。  第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。  そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。 「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」  不思議と、勇気が湧いてくる。 「長い、お名前。まるで、呪文みたい」  その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

処理中です...