思い出の第二ボタン

古紫汐桜

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近付く距離

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3年生の卒業が近付き、私は挨拶を交わす間柄から、名前を呼んでもらえるようになった。

「友利!」

先輩が私を呼ぶだけで、名前がふたつあるみたいで大嫌いだった自分の苗字が好きになれた。

いつしか、偶然会うと並んで歩いてくれるようになった。
「友利!」
って、必ず声を掛けてくれた。
卒業して欲しくなかった。

なんで年上なんだろう?とか
なんで1年間しか、一緒に居られないんだろうとか

毎晩、どうにもならない事で泣き暮らした。

私の頭を撫でる先輩の手が好きだった
少し短気で、素直じゃない私と軽い言い争いはしょっちゅうだった
それでも、翌朝必ず

「友利!」

って呼ぶ声が嬉しかった。
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