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初夜の翌日は恥ずかしいね
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翌朝、目を覚ますとシルヴァの姿が既に無く、身支度を整えて食堂に行くと、朝日のように眩しい笑顔でシルヴァが近付いて来た。
「多朗、おはよう。良く眠っていたから、朝食を部屋に運ぼうと思っていたんだよ」
目が潰れそうな程にキラキラな笑顔を向けられ
「あぁ……そうなんだ。ありがとう」
と答えると、サシャとリラがニヤニヤして俺の顔を見ている。
(あっ……これ、完璧にヤッたと思われてんな……)
シルヴァの顔を見ると、ツヤツヤしてんもんなぁ~。
チベットスナギツネの顔になりながら、甲斐甲斐しく俺の世話を焼くシルヴァを見ていると
「この後、多朗が気にしていた砂漠化し始めている街に向かうからね。食事はきちんと取ってね」
テーブルに着いた俺に、シルヴァがあれこれ世話を焼く。その度、サシャのニヤニヤ顔が視界に入ってウザイ。
食事を終えると、シルヴァが先に馬車へと向かい従者に何やら伝えている。
するとサシャが
「よう、多朗。昨夜はどうだった? あんな事があった後だから、さぞかし盛り上がったんだろうな?」
と聞いて来た。
俺は口をへの字にして
「最後までしてねぇよ」
そう答えると、サシャが笑いながら
「またまた!シルヴァ王子と言えば、夜這いに来た女共を手懐けちまうので有名なんだぜ。そんな事が……」
と言いかけて、俺の顔を見て顔を引き攣らせた。
「なに?マジでヤッてないの?」
「……抜き合いみたいなのはしたよ。でも、最後までしてねぇよ」
真っ赤になりながら答えると、サシャは物珍しいモノを見る目で俺を見つめてから、頭をガシガシかいて
「まぁ……なんだ。大事にしてるからだと思うぜ。からかって悪かった」
そう言って、頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。
サシャが驚くって事は、やっぱりシルヴァが俺を抱かなかったのは異例なんだろう。
ガッツリ落ち込んでいると
「多朗、準備出来たよ!」
何も知らないシルヴァが微笑んで俺を呼ぶ。
無言で頷き、俺はモヤモヤした気持ちを抱えて馬車に乗り込んだ。
『夜這いに来た女共を手懐けた』
と言うサシャの言葉が耳に残っている。
やっぱり……俺が男だから?
そう考えている間に、シルヴァが乗り込み馬車が動き出した。
「西の街は元々、花と緑が美しい街だったんです」
向き合って座るシルヴァは、窓の外を見ながら呟くと
「……あの、多朗?何かありましたか?」
ゆっくりと俺に視線を向けると、心配そうに言われてしまう。
目の前に座る男は、王子であるが故の気品と品格も兼ね備え、そして、同じ高さの椅子に座っているのに、持て余す程に長い足。
容姿、スタイル共に見れば見る程完璧なシルヴァ。
やっぱり……俺が男だから、最後までしなかったんじゃないか……。
そんな事が脳裏を過ぎる。
(何落ち込んでんだ俺!ケツの危機を回避出来たんだからラッキーじゃねぇか!)
必死にそう考え直し、自分を納得させていた。
そんな俺を、シルヴァは不思議そうな顔をして見つめると
「多朗?」
と言って顔を覗き込んで来た。
間近で見るシルヴァの顔面偏差値が高すぎて、思わず息を飲む。
美しいサファイアの瞳は、見る人を魅了する。
こいつに迫られて、平常心で居られるヤツが居たら会ってみたいもんだ。
そんな事を考えながら
「いや、なんでもない」
そう答えて窓の外を見つめた。
「多朗、おはよう。良く眠っていたから、朝食を部屋に運ぼうと思っていたんだよ」
目が潰れそうな程にキラキラな笑顔を向けられ
「あぁ……そうなんだ。ありがとう」
と答えると、サシャとリラがニヤニヤして俺の顔を見ている。
(あっ……これ、完璧にヤッたと思われてんな……)
シルヴァの顔を見ると、ツヤツヤしてんもんなぁ~。
チベットスナギツネの顔になりながら、甲斐甲斐しく俺の世話を焼くシルヴァを見ていると
「この後、多朗が気にしていた砂漠化し始めている街に向かうからね。食事はきちんと取ってね」
テーブルに着いた俺に、シルヴァがあれこれ世話を焼く。その度、サシャのニヤニヤ顔が視界に入ってウザイ。
食事を終えると、シルヴァが先に馬車へと向かい従者に何やら伝えている。
するとサシャが
「よう、多朗。昨夜はどうだった? あんな事があった後だから、さぞかし盛り上がったんだろうな?」
と聞いて来た。
俺は口をへの字にして
「最後までしてねぇよ」
そう答えると、サシャが笑いながら
「またまた!シルヴァ王子と言えば、夜這いに来た女共を手懐けちまうので有名なんだぜ。そんな事が……」
と言いかけて、俺の顔を見て顔を引き攣らせた。
「なに?マジでヤッてないの?」
「……抜き合いみたいなのはしたよ。でも、最後までしてねぇよ」
真っ赤になりながら答えると、サシャは物珍しいモノを見る目で俺を見つめてから、頭をガシガシかいて
「まぁ……なんだ。大事にしてるからだと思うぜ。からかって悪かった」
そう言って、頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。
サシャが驚くって事は、やっぱりシルヴァが俺を抱かなかったのは異例なんだろう。
ガッツリ落ち込んでいると
「多朗、準備出来たよ!」
何も知らないシルヴァが微笑んで俺を呼ぶ。
無言で頷き、俺はモヤモヤした気持ちを抱えて馬車に乗り込んだ。
『夜這いに来た女共を手懐けた』
と言うサシャの言葉が耳に残っている。
やっぱり……俺が男だから?
そう考えている間に、シルヴァが乗り込み馬車が動き出した。
「西の街は元々、花と緑が美しい街だったんです」
向き合って座るシルヴァは、窓の外を見ながら呟くと
「……あの、多朗?何かありましたか?」
ゆっくりと俺に視線を向けると、心配そうに言われてしまう。
目の前に座る男は、王子であるが故の気品と品格も兼ね備え、そして、同じ高さの椅子に座っているのに、持て余す程に長い足。
容姿、スタイル共に見れば見る程完璧なシルヴァ。
やっぱり……俺が男だから、最後までしなかったんじゃないか……。
そんな事が脳裏を過ぎる。
(何落ち込んでんだ俺!ケツの危機を回避出来たんだからラッキーじゃねぇか!)
必死にそう考え直し、自分を納得させていた。
そんな俺を、シルヴァは不思議そうな顔をして見つめると
「多朗?」
と言って顔を覗き込んで来た。
間近で見るシルヴァの顔面偏差値が高すぎて、思わず息を飲む。
美しいサファイアの瞳は、見る人を魅了する。
こいつに迫られて、平常心で居られるヤツが居たら会ってみたいもんだ。
そんな事を考えながら
「いや、なんでもない」
そう答えて窓の外を見つめた。
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