勿忘草~尚也side~

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
5 / 11

初めては全部、みちるが教えてくれた

しおりを挟む
バレンタインの日
「初めて手作りしたから、美味しく無いかもしれないけど!」
って手渡されたチョコ。
恥ずかしそうに渡すみちるが愛おしいと思った。

当たり前だけど、女の子なんだと改めて意識した。
初めて、この日にみちるにキスをした。
ドキドキが止まらなくて、夜眠れなかった。
キスをした後、恥ずかしそうに真っ赤になって俺の胸に顔を埋めたみちる。
高校生になって、みちるがキスするのを恥ずかしがらなくなった頃、俺達は初めて肌を重ねた。
好きな人に触れるのが、こんなに愛しくて切ないんだと教えられた。
震えるみちるがたまらなく愛おしくて、大切にしたいと……心からそう思った。

ねぇ、みちる。
きみはいつも
「いつもドキドキしてるのが、私ばっかりで狡い!」
って言ってたよね?
俺だって、全部全部ドキドキしてたよ。
きみを壊してしまわないように。
きみを傷付けてしまわないように。
そんな俺の気持ちを知ったら、みちるはなんて言ったかな?

みちる
俺に初めてを教えてくれるのは、いつだってきみだったんだよ。
しおりを挟む

処理中です...