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推しは愛でるもので、好きになってはならない!
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レイモンド兄様はもちろんのこと、アティカス王子とも姉弟のように仲良しにはなったけど、油断は禁物よね。
ほら、恋は人を変えると言うからね……。
レイモンド兄様だって、今は世界一優しい兄様だけど、未来はわからないじゃない?
それはアティカス王子も同じこと。
可憐で優しいヒロインに恋をして、婚約者の私が邪魔になるかも知れない……。
今は弟キャラで、私を『大好き』だとは言ってくれているアティカス王子だって、ゲームでは冷酷無慈悲な氷の王子と言われていた訳だし……。
ノートに書き出しながら、ペンを放り投げた。
ゲームの世界とは違い、この世界の二人は決して私を断罪したりなどしないと……大好きなレイモンド兄様の事も、弟のように可愛いアティカス王子の事も信じたい。
(レイモンド兄様に関しては、一緒に海外逃亡してくれるって言っていたし……)
断罪が怖くて、誰に対しても疑心暗鬼になるのは嫌だった。
そう思った瞬間、私はノートに記した内容を破り捨てた。
もし……万が一、私が断罪される時が来たら、それは私が悪いからだろう。
あの二人が私を裏切ると警戒したくないし、そんな事を考えたくもない。
食事をしない私の為に、往復3時間も掛けてマークのスープとパンを運んでくれたレイモンド兄様と、入学式に自分の挨拶より私の体調を気遣ってくれたアティカス王子。私は2人を信じようと、決心した。
不思議と二人の事を考えると、胸の中が温かくなって来る。
私は小さく微笑むと、窓を開けて外の空気を部屋に入れ、深呼吸して自分自身にも新鮮な空気を取り込む。
(私は大丈夫!)
両手で両頬を挟むように叩き気合いを入れた時、視線を感じて窓の下を見下ろした。
すると、漆黒の髪の毛がスっと木の影に見えた気がした。
ドキリと高鳴る心臓を押さえ
「幻覚まで見えるなんて、重症だわ!私、しっかり!」
自分を叱咤しつつ、ルイス様の漆黒の髪の毛が見えた気がした場所にもう一度視線を向けて、誰もいない事にガッカリしたような、ホッとしたような気持ちに苦笑いを浮かべる。
三日休んだ所で私の事など気にしてくれる筈は無いし、あんな場所に居る訳が無いのも分かっていた。
でも、まだ何処か……ほんの少しの可能性に縋っている自分に情けなくなる。
コツンと窓枠に額を当て、小さく大好きな人の名前を呟いた。
「ルイス様……」
ゲームの画面の中だけだった人が、生きた姿で目の前に現れて、自分の名前を呼んでくれただけでも幸せよね!
しかも、ゲームでは声なんて無かったのに、現実ではきちんと優しい声で話しかけてくれたじゃないの!それも、大好きな優しい笑顔で!
(……もう、それで良いじゃない)
推しは愛でるもので、決して手にしたいなんて思ってはいけない
推しを応援する鉄則を忘れていたから、罰が当たったのだと……痛感した。
だからこれからは、推しとして彼の幸せを願い、私は推しの幸せそうな姿を眺めるに徹しよう!と心に誓った。
……少し胸がチクチク痛む想いは、封印してしまおうと固く決意した。
ほら、恋は人を変えると言うからね……。
レイモンド兄様だって、今は世界一優しい兄様だけど、未来はわからないじゃない?
それはアティカス王子も同じこと。
可憐で優しいヒロインに恋をして、婚約者の私が邪魔になるかも知れない……。
今は弟キャラで、私を『大好き』だとは言ってくれているアティカス王子だって、ゲームでは冷酷無慈悲な氷の王子と言われていた訳だし……。
ノートに書き出しながら、ペンを放り投げた。
ゲームの世界とは違い、この世界の二人は決して私を断罪したりなどしないと……大好きなレイモンド兄様の事も、弟のように可愛いアティカス王子の事も信じたい。
(レイモンド兄様に関しては、一緒に海外逃亡してくれるって言っていたし……)
断罪が怖くて、誰に対しても疑心暗鬼になるのは嫌だった。
そう思った瞬間、私はノートに記した内容を破り捨てた。
もし……万が一、私が断罪される時が来たら、それは私が悪いからだろう。
あの二人が私を裏切ると警戒したくないし、そんな事を考えたくもない。
食事をしない私の為に、往復3時間も掛けてマークのスープとパンを運んでくれたレイモンド兄様と、入学式に自分の挨拶より私の体調を気遣ってくれたアティカス王子。私は2人を信じようと、決心した。
不思議と二人の事を考えると、胸の中が温かくなって来る。
私は小さく微笑むと、窓を開けて外の空気を部屋に入れ、深呼吸して自分自身にも新鮮な空気を取り込む。
(私は大丈夫!)
両手で両頬を挟むように叩き気合いを入れた時、視線を感じて窓の下を見下ろした。
すると、漆黒の髪の毛がスっと木の影に見えた気がした。
ドキリと高鳴る心臓を押さえ
「幻覚まで見えるなんて、重症だわ!私、しっかり!」
自分を叱咤しつつ、ルイス様の漆黒の髪の毛が見えた気がした場所にもう一度視線を向けて、誰もいない事にガッカリしたような、ホッとしたような気持ちに苦笑いを浮かべる。
三日休んだ所で私の事など気にしてくれる筈は無いし、あんな場所に居る訳が無いのも分かっていた。
でも、まだ何処か……ほんの少しの可能性に縋っている自分に情けなくなる。
コツンと窓枠に額を当て、小さく大好きな人の名前を呟いた。
「ルイス様……」
ゲームの画面の中だけだった人が、生きた姿で目の前に現れて、自分の名前を呼んでくれただけでも幸せよね!
しかも、ゲームでは声なんて無かったのに、現実ではきちんと優しい声で話しかけてくれたじゃないの!それも、大好きな優しい笑顔で!
(……もう、それで良いじゃない)
推しは愛でるもので、決して手にしたいなんて思ってはいけない
推しを応援する鉄則を忘れていたから、罰が当たったのだと……痛感した。
だからこれからは、推しとして彼の幸せを願い、私は推しの幸せそうな姿を眺めるに徹しよう!と心に誓った。
……少し胸がチクチク痛む想いは、封印してしまおうと固く決意した。
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