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アーヒルの匂い①
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「あっ……あっ……」
嫌な筈なのに、本の強制力なのか感じてしまっている自分が恥ずかしい。
「リン……リン……」
激しく腰を揺らしながら、聞いている方が切なくなる声でアーヒルが僕では無い『リン』の名前を呼ぶ声。
その声を聞きながら、僕がこの世界に落とされたのは、この世界の『空木鈴音』を殺した罰だと思った。
こんなに、熱く激しくこの世界の『空木鈴音』を求めているアーヒルが、僕をこの世界に呼び込んだのかもしれない。
そうじゃないと、初対面の……しかも男相手にこんな事をするなんて普通じゃない。
そんな事を考えていると
「何を考えている?」
アーヒルの低い声が耳元で囁く。
ハッとしてアーヒルを見上げると、アーヒルが人差し指を舐めて
「やはり、ここを刺激しないとダメか……」
そう呟いて、人差し指を誰にも見られる事のない秘部に触れた。
「止めろ!」
考えるより先に叫んでしまうと
「最終的に、俺を受け入れないとその匂いは完全に消えないぞ」
そう言われてアーヒルを見上げる。
「なんだって?」
「リンを最初に抱いたのも、リンの匂いを消す為だった。空木殿、創造神様の世界の人なら知っているのでは無いか?」
そう言われて、唖然とした。
読んだ……読んだけど、自分と同じ名前と同じ顔が、男とイタシテル話をまともに読めるか!
そう思っていると、アーヒルは深い溜息を吐いて
「分かった。ここには触れない。その代わり、きちんと感じて射精しないと儀式は終わらないぞ」
そう言われて愕然とする。
「その……アーヒルが出せば良いんじゃないのか?」
「違う。俺とお前の精子が必要なんだ」
真顔で言われ
「ぎゃー!せ……せ……精子とか、そんな普通の顔で言うな!」
真っ赤な顔で反論すると
「じゃあ、今の空木殿みたいな顔をして言えと? その方が、恥ずかしくないか?」
と一蹴されてしまった。
そりゃ……そうだけどさ……。
「とにかく、その匂いを消す為だと思って我慢しろ!」
そう怒鳴られた時、アーヒルの身体から黄金の光が放たれた。
さっき僕を助ける為に放った覇気とは違う、甘い香りがしている光だ。
「アーヒル、何の匂い?」
クンクンとその甘い匂いを嗅いでいると
「匂い?」
アーヒルが眉を寄せて呟く。
「そう。甘い、良い匂い」
この匂いを嗅いでいると、フワフワと良い気分になって来た。
まるで花の密に吸い寄せられかのように、アーヒルに近付くと
「空木殿に俺の匂いが?」
「うん、さっきまではなんにも匂いしなかったのに、どうして?」
身体が熱くなって来て、鼓動が早くなっているのが分かる。
下半身に熱が灯り、腹の奥が疼く。
嫌な筈なのに、本の強制力なのか感じてしまっている自分が恥ずかしい。
「リン……リン……」
激しく腰を揺らしながら、聞いている方が切なくなる声でアーヒルが僕では無い『リン』の名前を呼ぶ声。
その声を聞きながら、僕がこの世界に落とされたのは、この世界の『空木鈴音』を殺した罰だと思った。
こんなに、熱く激しくこの世界の『空木鈴音』を求めているアーヒルが、僕をこの世界に呼び込んだのかもしれない。
そうじゃないと、初対面の……しかも男相手にこんな事をするなんて普通じゃない。
そんな事を考えていると
「何を考えている?」
アーヒルの低い声が耳元で囁く。
ハッとしてアーヒルを見上げると、アーヒルが人差し指を舐めて
「やはり、ここを刺激しないとダメか……」
そう呟いて、人差し指を誰にも見られる事のない秘部に触れた。
「止めろ!」
考えるより先に叫んでしまうと
「最終的に、俺を受け入れないとその匂いは完全に消えないぞ」
そう言われてアーヒルを見上げる。
「なんだって?」
「リンを最初に抱いたのも、リンの匂いを消す為だった。空木殿、創造神様の世界の人なら知っているのでは無いか?」
そう言われて、唖然とした。
読んだ……読んだけど、自分と同じ名前と同じ顔が、男とイタシテル話をまともに読めるか!
そう思っていると、アーヒルは深い溜息を吐いて
「分かった。ここには触れない。その代わり、きちんと感じて射精しないと儀式は終わらないぞ」
そう言われて愕然とする。
「その……アーヒルが出せば良いんじゃないのか?」
「違う。俺とお前の精子が必要なんだ」
真顔で言われ
「ぎゃー!せ……せ……精子とか、そんな普通の顔で言うな!」
真っ赤な顔で反論すると
「じゃあ、今の空木殿みたいな顔をして言えと? その方が、恥ずかしくないか?」
と一蹴されてしまった。
そりゃ……そうだけどさ……。
「とにかく、その匂いを消す為だと思って我慢しろ!」
そう怒鳴られた時、アーヒルの身体から黄金の光が放たれた。
さっき僕を助ける為に放った覇気とは違う、甘い香りがしている光だ。
「アーヒル、何の匂い?」
クンクンとその甘い匂いを嗅いでいると
「匂い?」
アーヒルが眉を寄せて呟く。
「そう。甘い、良い匂い」
この匂いを嗅いでいると、フワフワと良い気分になって来た。
まるで花の密に吸い寄せられかのように、アーヒルに近付くと
「空木殿に俺の匂いが?」
「うん、さっきまではなんにも匂いしなかったのに、どうして?」
身体が熱くなって来て、鼓動が早くなっているのが分かる。
下半身に熱が灯り、腹の奥が疼く。
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