あざとさを捨てた令嬢は、若き公爵に溺愛される

古紫汐桜

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赤べこ卒業しました!

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「そんな……。私、ソフィアお嬢様を可愛く仕上げることが生きがいなんです!」

ロッテが、縋るような目で訴えてきた。
(ダメよ、私! ここで負けたらダメ!)
自分にそう言い聞かせ、

「でもね、ロッテ。私は、ロッテみたいになりたいの!」

そう訴えると、ロッテはショックを受けたように叫んだ。

「お嬢様、なんと勿体ない!」

オーバーによろけて床に座り込み、
「ソフィアお嬢様は天使のように愛らしいのです! ですから、その愛らしさを武器になさってくださいませ!」
と、まるで三文芝居のような演技で訴えてくるじゃない。

私は深いため息をついて訴えた。

「私ね……王子様と結ばれたくないの」

その言葉に、ロッテの表情が一瞬で真剣になる。

「まさか、クリフォード殿下が何か?」

私は首を横に振り

「違うの、ロッテ。私ね、よく考えたの。殿下にはレミリア様がいらっしゃるじゃない。私は、大人しく身の丈に合った方と結婚できればそれでいいの」

その瞬間、ロッテの手から櫛が落ちた。

「ソフィア様……熱でもあるのですか?」

額に手を当てられ、本気で心配される。

まぁ……無理もないわよね。
前のソフィアは、王子を落として王太子妃を目指していたみたいだもの。 

でも……今の私は、怖くてそんな気になれない。

ざまぁされないためには、即・撤退!
(これ、大事!)

 それに、元の世界で“キミセカ”をプレイしていなかったから、攻略方法なんて知らない。
漫画版の知識でさえ、うっすら記憶にある程度なのだから。
私が知ってるのは──
 「断罪されて、北の修道院に監禁される」って結末だけ。

 だったらもう、クリフォード殿下はレミリア様にお返しして、卒業まで大人しく過ごすしかない。

……まあ、修道院行きもアリだけど。

 どうせなら、極寒の修道院じゃなくて、南の穏やかな方がいいじゃない?
暖かいって、それだけで幸せだもの。

それにしても……
せめて五歳とか六歳でこの世界に来ていれば、もう少しマシな人生設計ができたのに……。

今さら悔やんでも仕方ないけど……。

そんなことを考えながら鏡を見たら──

首がまた、揺れているじゃない!!

「ロッテ! これを私の首に巻いて!」

私は厚めの布を掴んで差し出した。
ロッテがきょとんとした顔をしたのが見えたけど、私の迫力に、言われるままに厚めの布を私の首にぐるぐる巻きつけた。

「……お嬢様。本当に、それで学校に行かれるのですか?」

呆れ顔のロッテ。

分かる。分かるわよ、ロッテ。
でもね、背に腹はかえられないのよ。

心の中でそう呟きながら、私は鏡に映る自分を見てニヤリと笑った。

これなら“儚い系ヒロイン”じゃなくて、“ヤバイ系女子”。

クリフォード殿下もきっと逃げ出すに違いないわ!

ざまぁ展開から、一歩遠ざかったのではないかしら?

 私はウキウキした気分で、朝食の準備が整えられた食堂へと向かった。
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