水鏡~千年の時を越えて、今、再び動き出す悲恋~

古紫汐桜

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第四章

鬼一族の秘密

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「だが、その前に伝えなければならない事がある」
豪鬼が意を決し、言葉を吐き出した。
その言葉の重みに、ただならぬ空気を感じて二人は息を飲んだ。

「が! その前に翡翠、身支度を整えよ」
ニカっと笑い豪鬼はそう言うと、居間へと歩き出した。

 豪鬼は連れ立って来た村人数人に、村へ先に戻るようにと指示を出し、何も知らずにやって来た民にお茶をお願いしていた。
 友頼はそっと翡翠の肩に手を置くと
「大丈夫だ。翡翠は、私が命にかえても守るから」
と、優しく微笑んだ。
翡翠が優しく微笑む友頼に微笑み返すと
「先に行っているから、ゆっくり身支度を整えておいで」
友頼はそう続けると、翡翠の頬にキスをして部屋を後にした。

友頼が醸し出す空気が……甘い……

布団に身体を倒し、友頼の唇が触れた頬に手を当てる。
そこだけ、熱を帯びたように熱く脈打つ。
互いの想いを確認してから、友頼の雰囲気が変わった。
以前までは、どこか一線を引いていた。
その線がなくなり、友頼の腕の中に入ってから友頼が自分に向ける視線の熱さに翡翠は戸惑う。

いつから友頼は、自分をあんな視線で見ていたのだろうか?

ふと落とした視線の先に、昨夜、借りたままの鏡が視線に入った。
翡翠は今の容姿を写し出し

友頼は、この容姿が気に入ったのだろうか?

と、今までの自分とは異なる姿を見つめる。

……まさか、翡翠か?

友頼は、姿形が変わっても私だと分かってくれた。
でも……何故?
同じ一族なら、血が教えてくれる。
現に豪鬼は、翡翠の姿をすぐに認識した。
しかし、友頼は人間──

 変わってしまった自分の容姿を写す鏡に、ゆっくりと触れた指先がひんやりとした感触を与える。
抱き締めてくれた腕の強さも、自分の名を呼ぶ掠れた甘い声も……本当に自分を求めてくれていたのだろうか?

ずっと……報われないと思っていた
いつだって、友頼の背中を追いかけていたのは──翡翠の方だった。

戸惑いとはうらはらに、昨夜の甘いひとときを思い出し、頬を朱に染めた。
「信じてよいのだよな……友頼」
ポツリと呟いた翡翠の言葉は、朝の静寂の中へと消えて行った。
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