異世界に行ったけど、早く地球に戻るんだ

電電世界

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第149話

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 「麗しき精霊よ、後ろの男や我に力を示した者達と旅をしてきて何を思った」

 「お父さんと出会うまで私はただ存在しているだけだった。いつ産まれて何をしていたのかさえも忘れる程の長い長い中でお父さんは私を見つけて幸福な時間を与えてくれた。そしてみんなも私に幸せな時間を与えてくれた。今度は私がみんなに幸せを与える」

 「成る程、その大きな力を他人の為に使うか」

 「行く」

 そうしてスノウが踏み込み女神トライへと肉弾戦を仕掛けた。女神トライも白い剣を振るうがスノウは今までみんなが戦っていた際に剣筋を見切り躱しながらカウンターの要領で拳を叩き込んでいく

 「手応えがまるでない」

 「当然だ神を殴るなら徳を積み精霊王になりなさい」

 そして健闘虚しくスノウにも白い剣がスノウの体に突き刺さり、スノウが優人を見るとその体は白い炎に包まれて解放されると、みんなと同じ様に倒れ込まずに立ったままだった。

 「お父さん頑張って」

 しかし優人の目を見てそれだけ言うと膝から崩れ落ちた。

 「さて魔神よ。私の役目は果たされました」

 「そうだね、お疲れ様とでも言っておこう」

 スノウが倒れたのを確認すると女神トライが白い剣を納めて魔神へと話しかけた。

 「どういうことですか?俺はまだ戦っていませんけど」

 そんな二人の会話に割って入ると、二人はこちらを見た。

 「そうだね第1ゲームは優人君の勝ちってことだよ」

 「第1ゲームですか?」

 「今までは君にとって異世界であるダクトリムの住人達への試練だったわけだよ。そしてトライは全員に合格を与えたことで君の試練の難易度が決定したんだよ」

 「どんな試練なんですか」

 「そうだね何がいいだろう」

 うーんとわざとらしく唸る様に声を出して、暫くして手を叩き笑顔で告げてきた。

 「やっぱり僕と優人君ならばゲームでしょ」

 「えっゲームですか」

 「そうそう早速やろうか」

 気がつけばいつも来ていた魔神の部屋にいた。女神トライやスノウにサロパスタの姿は消えていた。

 「他の人達の事は大丈夫だから」

 そう言って魔神は懐かしいコントローラーを差し出してきたので受け取るとテレビの前に並んで座った。

 「勝ち負けをつけるなら格闘ゲームかなやっぱり」

そう言ってテレビには有名な格闘ゲームのタイトル画面が表示された。

 「優人君はどのキャラが得意なの?」

 「このキャラですかね」

 「そのキャラは結構クセが強くないかい」

 「いえ慣れたら連携も結構つながりますし」

 「それじゃあ5回勝負3本先制で勝ちね」

 久しぶりにコントローラーを握ったが指先の動きは結構覚えているらしく第1試合ではゲームの感覚を思い出し、2試合目からは善戦し始めた。

 「まさか2連勝からの2連敗、とても熱い戦いだね」

 神様は楽しそうに笑っているが、優人は真剣そのものである4戦やったからこそ分かる魔神は優人よりも格段にゲームの腕前が凄いという事が3戦目と4戦目はスキがありそこに連携が上手くハマったが、今思えばそのスキはわざとらしかった。

 「じゃあ運命の第5戦目をやろうか」

 5戦目は今までとは違い最初から魔神に攻め込まれたガードを使うが確実に体力を減らされていく、しかし少しだけできたスキをつき体力を五分五分に持ち込んだ勢いのまま押し切り何とか勝つことが出来た。

 「おめでとう優人君の勝ちだよ」

 そう言って笑う魔神の笑顔は呼び名に相応しい笑顔だった。

 
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