異世界に行ったけど、早く地球に戻るんだ

第70話

 互いのステータスを確認した翌日、また自身の弱点を克服したり、長所を伸ばしたりと自分で課題を確認して修行スペースに行った。

 「行ってきます。お父さん」

 スノウは、今日はホワイトと同じ修行を行うそうだ。

 「さて、俺もいつもの300人組手に行くか」


 そうして、全員が修行を終えた夜、女神の息吹の3人は、興奮した様子だった。

 「凄いな、この場所は、修行をすればするほど強くなるのが実感できる。これほどまでに効率良く効果的な修行を私は知らない」

 フィーレンさんは、凄く嬉しそうで

 「やっぱりユート君達の修行についてきて正解だったよ。私はもっと強くなれる」

 レイアさんもにこやかだ

 「これで兄ちゃんにも、追いつきやすくなったな」

 ポーレさんも、アスカさんと話している。

 メイアが、やってきて、とある提案をしてきた。

 「皆様、一度ご自身と戦われてみたらいかがでしょう。様々な施設をご利用いただいておりますが、[写身の館]は、まだどなたも利用されておりません」

 メイアの提案に全員が、乗ってみた。

 「提案をした身としては、嬉しく思います」

 
 翌日は、全員が初めて同じ修行場所に集まることになった。


 そして翌日、朝食を食べてから全員で[写身の館]に移動した。

 「ここでは、皆様の分身を出現させて戦うことが出来ます。分身はこの館に入った段階での皆様自身のステータスとアビリティを保持しております。どなたから戦ってみますか」

 メイアがそう尋ねて、全員で話し合ったらアスカさんが最初にやってみることになった。

 
 館の中は、円形型で中央に戦うスペースがあり、周りは観戦できるようになっていた。

 「ニシノ様、準備はよろしいでしょうか」

 「ええ、いつでも大丈夫です」

 「では、始めさせていただきます」


 メイアがそう告げると、戦闘スペースの中央に靄がかかり、それが段々と形を作りアスカさんがもう一人現れたが、着けている装備が真っ黒な事以外は全部そっくりだ。

 そうして、分身は完全に姿が出来上がると同時に駆け出しアスカさんに斬りかかった。

 アスカさんは、剣を抜き放ち分身と剣を交わした。

 そして、アスカが、横薙ぎに剣を振るうと分身は飛び上がって避けた。

 「自分と戦うというのも不思議ですが、実際に相見えて自身の戦い方が客観的に良く分かりますね」

 そうして、互いに少しずつ傷を与えているが、決め手となるような一撃を与えられずに5分ほど戦っているとその瞬間が訪れた。

 「そこです」

 アスカさんが、分身の一瞬の隙をついて、分身の体に技を怒涛の勢いで叩き込んだ。分身も立て直そうとしているが、結局はそのまま胸を貫かれて靄となって消え去った。

 「お疲れ様です。分身を見事倒せました。修行は終了です」

 アスカさんは、大きく息を戦闘スペースの中央で吐き出し、観覧席に戻ってきた。

 「最後はついムキになってしまいましたが、とても実りある修行でした。とても自己分析に役立ちますね」

 アスカさんはメイドからタオルを受け取り、汗を拭った。

 「兄ちゃん同士の戦い、凄かったよ」

 ポーレさんが、興奮した様子で先程の戦闘の感想をアスカさんに話していた。

 「次はどなたがしますか」

 「じゃあ、俺がやるぜ」

 サロパスタが立ち上がって、戦闘スペースに走っていった。


 それから全員が、1回ずつ分身と戦って、1周回ったところで、アスカさんやサロパスタやフィーレンさんが2回目3回目と分身と戦い続けた。