異世界に行ったけど、早く地球に戻るんだ

電電世界

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第135話

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 「容赦がなかったですね」

 「ええ、サクサク行かないと無駄に体力を使います」

 アスカさんは双剣に付いた血を振り払い鞘に納めた。

 バラバラになったデラスを一応回収しようとしたが、回収する前にドロドロになって消えてしまった。

 「何なんですかね、消えちゃいましたけど」

 優人がそう言うと、アスカさんが自分の手のひらを見てから呟いた。

 「斬った感触はあったんですけど、直感が言っています逃げたのだと」

 メンバーの中でもサロパスタやスノウの次に実力のあるアスカさんが取り逃がすとは、思えないので謎である。

 「扉の先は、この部屋だけですね戻って他の部屋に行きましょうか」

 ゴーレンさんやレイアが部屋をあらかた調べても何もなかったので広場へと戻った。



 「じゃあ、次は1個左隣の扉だな」

 サロパスタがそう言いながら、ドアノブを回して扉を開けた。

「また普通の部屋ですね、今度はどんな人物が出てくるのか分かりませんね」

 「ゴーレンさん、今回は人じゃあ無いみたいですね」

 優人達の目の前には3面6腕4足の骸骨が現れた。その姿が先程デラスと戦った部屋と似た雰囲気の中に骸骨は異質な空気を放っている。

 「イザ、タタカワン」

 3個の髑髏の頭が、同時に喋り始めた。

 「説明もなしだな」

 六つの手には、種類の違う剣が握られていた、ロングソードにレイピアに刀にカットラスにフランベルジェにマインゴーシュとそのどれもが一級品の様相だった。

 サロパスタが大剣を抜き放ち、6種類の剣から放たれる剣技を大剣を器用に振るって防ぎきっている。

 「こんなにも、沢山の種類の剣を全て自分の体の一部のように扱うなんて、どれだけの修練を積んだのか」

 「ナンジ、ワガケンヲフセグトハ、ナヲモウセ」

 「サロパスタだよ。その空っぽの頭に刻み込んでおくんだな。けれどもすぐにその頭は一つ残らず破壊するがな」

 「ソノイキヤヨシ、ワガナハシュヴェリオン、ワガケンヲコエテミセヨ」

 そこからは、サロパスタとシュヴェリオンのタイマンが始まった。

 「また、御伽噺の人物ですね、悪魔に魂を売った剣豪シュヴェリオン。剣の腕を高めるためには何でもする」

 「2つの頭は全周囲、残りの1つの頭は俯瞰して、自らが好む剣を一度に握るために腕を6本に、足を踏ん張り巧みな足捌きをするために4本に、伝承通りの姿ですしね」

 どうやら、目の前の骸骨は、デラスと同じく誰でも知っている御伽噺の人物らしい。

 「このダンジョンの敵は御伽噺の登場人物だっていうことですかね」

 「かもしれませんね、まだ2体だけですが、その可能性は大いにあるでしょう。しかし御伽噺の人物すら超えてしまったのかもしれませんね」

 ゴーレンさんが言うように、サロパスタが大剣を縦横無尽に斬り払い、最初は防ぐだけだったサロパスタが今ではシュヴェリオンの6本の腕のうち半分の3本を斬り飛ばし、足も1本斬り飛ばしていた。

 「カカカ、ミゴトナケンジュツダ」

 サロパスタとの実力の差を理解したのか、途端に抵抗を止めて、サロパスタの大剣の一撃を体の真正面から受けた。

 「ヨキ、タタカイデアッタ」

 シュヴェリオンはそう言って、骸骨の体が突如支えを失って地面にバラバラに崩れさった。

 「流石は、悪魔の剣のシュヴェリオンか、確かに剣の腕前は驚きだったが、俺の実力の方が上だったな」

 サロパスタもそう言って、大剣を鞘へと納めた。
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