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第五章 帝都革命編
第一話 嵐の前
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ステッフェルン平原での戦闘が終わり、数週間が経ちました。治療がひと段落した後、わたしたちはエンミュールの町に戻って平穏な日々を過ごしていました。平穏といっても膨大な事務作業があるのは変わらずで、領主のヨーゼフとともに机上の書類の山に向かう毎日です。
まず、手をつけていたのは領内の兵力の充実でした。リガリアの侵攻以前に仕えていた兵たちも少しずつ戻ってきてはいるものの、防衛の戦力とするにはとにかく数が足りないのです。そもそも税収もおぼつかない現状で新たに兵士を雇うのは大変なことなのですが、わたしたちも身銭を切ってなんとか募兵をかけています。
集まった新兵の多くは農家の次男坊や三男坊といった、家業で跡取りになれない者たちです。働き口のない彼らの受け入れ先として、領内の兵士に志願することはよくあることでした。ですが戦闘経験もない者を鍛えることはたいへんで、訓練を行う人材にも不足している今のエンミュールは、とにかくなんとか形だけでも作ってしまおうという有様なのでした。
一部の傭兵団の方々とともに、キーレはエンミュールの地に残ってくれていました。ぜひエンミュールの将にとヨーゼフも推したのですが、傭兵団長が来るまでは受けられないとにべもなく断られてしまいました。こういった不思議と義理堅いところは彼の良さでもありますが、あまり強情なのも困りものです。
そういうわけで、キーレはエンミュール家の客将というなんとも微妙な立場です。この人手不足の中、彼は積極的に訓練を買って出てくれていました。あれからすっかり傷も癒えたのか、毎日演習と称して新兵たちと遠出を繰り返しています。どうやらキーレの訓練はとても苛烈なようで、新兵からも不平の声が上がっているようでした。
今日は実戦形式の訓練と称して、領内の平原で防具で固めた兵士同士がぶつかり合っています。武器は刃のない訓練用のものですが、おそらく負傷者が出てくるでしょう。それに備えて、わたしは医療部隊を率いて介護の準備にあたっていました。
訓練とはいってもその迫力は実戦さながらです。鎧と鎧のぶつかる金属音がそこかしこから聞こえてきます。あまりの迫力に怯えて逃げ出そうとする若い兵士を、キーレは馬上から槍を片手に怒鳴りつけていました。
「退くのは、よか。じゃっども、逃げるのは、ならん。おいに槍ば、振るわせっな!」
その迫力に恐れをなしたのか、逃げ出そうとした兵士は覚悟を決めたのか大声をあげて前線に突っ込んで行きました。
荒療治といえば聞こえはいいですが、この調子で兵士の心身が持つのかは心配です。キーレも人が変わったかのように厳しく兵たちを叱咤しており、新兵は上官のキーレを睨みつけながら必死にこの過酷な訓練に耐えていました。
そのうち、負傷者も出てきてしまったようで、わたしたち医療部隊も忙しくなってきました。打ち身に裂傷、ひどいものだと骨が折れてしまった者までいます。負傷した兵士の方には申し訳ないですが、同じく新米の多い医療部隊にとっては経験を積める良い機会でした。怪我の度合いを瞬時に判断し、治癒魔法のかけどころを間違わない。これはわたしも実戦で学んだことでもあります。
それにしても負傷者が多すぎました。訓練を取り仕切るとなって張り切っているのかもしれませんが、これはさすがにやりすぎです。実戦形式の調練を終えて帰ろうとするキーレを呼び止めて、一言注意しておこうと思います。
「キーレ、いくらなんでもこれはやりすぎです。もっと抑えてもらわないと」
「薩摩では、こいが普通でごわしたがの」
「サツマではどうか知りませんが、怪我人が多すぎます。訓練で兵を失ってしまっては、本末転倒ではないですか」
キーレは何か言いたげな目のまま、苦い顔をしています。
「とにかく、ヨーゼフには報告しておきます、キーレ。はやる気持ちもわかりますが、少し自重してください」
「自重、とな」
「はい、これ以上負傷者を出すような訓練は、わたしが認めません」
「む。……よう、ごわす」
存外に聞き分けのいい様子に驚きながら、わたしはヨーゼフの待つ城内の執務室へとキーレを連れていくことにしました。正直なところ、訓練内容を変更する権利はわたしにはありません。キーレはヨーゼフからその命を受けているので、何か物言いをつけられるとしたらそれは領主であるヨーゼフだけなのです。
「キーレ、何か張り切りすぎているのではないですか」
「張り切っては、おらん」
「ですが、新兵への訓練であれだけ熱気を帯びるのは、普通ではないですよ」
「新兵だからこそ、ぞ」
わたしが疑問符を浮かべたことに気づいたのか、キーレはさらに言葉を続けます。
「戦では、新兵から死ぬ。生きるためには、はよう、兵にならねばならん」
「……!」
「明日にも、また敵ば攻めてこんとも限らん」
「それはそう、かもしれませんが」
「その戦で、おいは兵児ば死なせとうなか」
「それは……」
唇を噛みながら一言一言を搾り出すキーレに、わたしはこれ以上何も言えませんでした。これまでの戦いでも、わたしの知らないところでキーレは戦友を、部下を何人も失ってきたに違いないのです。
いざ、人の命がかかっているとなると、彼が向こうみずな自己犠牲に走りたがるのはよく知っていました。今はそれが訓練というだけのこと、なのでしょう。
ですが新兵への配慮というもののもあります。脱走兵を出そうものなら士気が下がることに間違いなく、それはエンミュール軍の成立すら危うくします。
あれこれと堂々巡りの思考を繰り返しているうちに、わたしたちはいつの間にかヨーゼフの執務室まで着いてしまいました。衛兵の方に会釈をして中に入ると、幽鬼のような顔をしたヨーゼフが書類に囲まれて机に向かっています。
「ちょっと、ヨーゼフ? あなた、ちゃんと休みはとっているのですか?」
「ああ、姉さん。問題ないよ、これを片付けたら一休みするから」
「数刻前も同じことを言ったばかりでしょう。ダメです。早く水浴びでもして寝て来てください」
慌てて近習の者を呼んでヨーゼフを休みに行かせると、執務室にはキーレとわたしの二人っきりになってしまいました。
「ヨーゼフは、大丈夫でしょうか。かなり無理をしているようでしたし」
「ヨーゼフどんはよか領主かもしれんが、まだまだじゃの」
「そんな言い方をしなくてもいいでしょう、彼も頑張っているのですし」
その無神経な言い草に思わず言い返してしまった後、キーレがヨーゼフの呼び方を変えていることに気づきました。以前はヨーゼフさぁ、ともっと親しげに呼んでいたはずです。
「そういえばそのヨーゼフどん、というのは?」
「ヨーゼフどんも、今はこの地の長じゃからの。敬意がいりもすな」
キーレも彼なりにヨーゼフの立場の辛さをわかっているのかもしれません。そしてその苦労を知っているからこそ、自分の務めを果たそうとしているのでしょうか。
「ああして倒れられては、部下も民も不安がりもす」
「それは、そうですが」
「何もかんも自分で背負う必要はなか」
「辺境伯の地位もあって、気負いすぎているのかもしれませんね」
「戦はおいに、事務は文官に任せて、でんと構えていればようごわす」
それは確かに一理あります。貴族たるもの、そう余裕ある振る舞いを見せるべきなのかもしれません。
「日新公様もそうであったと聞いておる」
「ジッシンコウ?」
「薩摩の大殿ぞ。おいが生まれる前にはもうお隠れになってごわしたが」
「それは、立派な方だったのでしょうね」
「うむ。いろは歌なるもんがあっての。薩摩武士ん子はこれを聞いて育ちもす」
しばらくキーレからサツマの話を聞いているうちに、ヨーゼフが戻ってきてしまいました。寝てきなさいと言ったのに、仕事が気になって戻ってきてしまったようです。
「ヨーゼフ、仕事はいいですから、もうお休みなさい」
「ですが、それでは--」
「ヨーゼフどん。はよ、い寝もんせ」
珍しく強い口調で、キーレがヨーゼフを叱りつけるように諭しました。
「武士の務めは、戦ぞ。そんために日々鍛錬しもす」
「……?」
「ヨーゼフどんは、こん地の主じゃ。民の前に立派な姿を見せることが、肝心でごわ」
「……俺は、そんなに頼りないのか」
「そうは言っておらん。仕事は、他のもんがやる。それでどうにもならん時ん出てくるのが、大将の仕事ぞ」
ヨーゼフはそれを聞いてじっと目を瞑って沈黙していました。
「すまない、姉さん、キーレ。心配をかけた。今日はもう休むことにするよ」
「そうしてください。雑務はわたしとキーレで引き継いでおきますから」
「おいも、でごわすか」
驚いた顔をしているキーレをよそに、わたしはヨーゼフを部屋の外へ押し出して、書類の山に向かうことにしました。あれだけの諫言を行ったのですから、キーレにも手伝ってもらうことにします。
「おいに、右筆働きは期待できんぞ」
「では、わたしの指示通りに動いてください。まずは書類の分別をしましょう」
「む、む。承知じゃ」
てっきり嫌がるかと思っていましたが、存外素直に従ってくれるようです。
「文字は読めますね? その書類を差出人ごとに分けてください。後の処理は、わたしが」
「読めはする、がの。達筆すぎてわからんのがありもすな」
「署名ではなく、その前に書いてある肩書きで判断すれば良いですよ」
「む。おるれんらんと、伯爵。これは、大将どんじゃな」
「その調子です。一緒にヨーゼフを助けてあげましょうね」
その日は遅くまで、明かりを灯しながら二人で作業を続けていました。キーレも不満一つ言わず、黙々と作業をしてくれていました。思えば、戦場以外で彼と共同作業をしたのはもしかすると初めてかもしれません。
キーレも少しはエンミュールに愛着を持ってくれているといいのですが。もうすぐ、彼の苦手な寒い冬がこのエンミュールにもやってきます。
まず、手をつけていたのは領内の兵力の充実でした。リガリアの侵攻以前に仕えていた兵たちも少しずつ戻ってきてはいるものの、防衛の戦力とするにはとにかく数が足りないのです。そもそも税収もおぼつかない現状で新たに兵士を雇うのは大変なことなのですが、わたしたちも身銭を切ってなんとか募兵をかけています。
集まった新兵の多くは農家の次男坊や三男坊といった、家業で跡取りになれない者たちです。働き口のない彼らの受け入れ先として、領内の兵士に志願することはよくあることでした。ですが戦闘経験もない者を鍛えることはたいへんで、訓練を行う人材にも不足している今のエンミュールは、とにかくなんとか形だけでも作ってしまおうという有様なのでした。
一部の傭兵団の方々とともに、キーレはエンミュールの地に残ってくれていました。ぜひエンミュールの将にとヨーゼフも推したのですが、傭兵団長が来るまでは受けられないとにべもなく断られてしまいました。こういった不思議と義理堅いところは彼の良さでもありますが、あまり強情なのも困りものです。
そういうわけで、キーレはエンミュール家の客将というなんとも微妙な立場です。この人手不足の中、彼は積極的に訓練を買って出てくれていました。あれからすっかり傷も癒えたのか、毎日演習と称して新兵たちと遠出を繰り返しています。どうやらキーレの訓練はとても苛烈なようで、新兵からも不平の声が上がっているようでした。
今日は実戦形式の訓練と称して、領内の平原で防具で固めた兵士同士がぶつかり合っています。武器は刃のない訓練用のものですが、おそらく負傷者が出てくるでしょう。それに備えて、わたしは医療部隊を率いて介護の準備にあたっていました。
訓練とはいってもその迫力は実戦さながらです。鎧と鎧のぶつかる金属音がそこかしこから聞こえてきます。あまりの迫力に怯えて逃げ出そうとする若い兵士を、キーレは馬上から槍を片手に怒鳴りつけていました。
「退くのは、よか。じゃっども、逃げるのは、ならん。おいに槍ば、振るわせっな!」
その迫力に恐れをなしたのか、逃げ出そうとした兵士は覚悟を決めたのか大声をあげて前線に突っ込んで行きました。
荒療治といえば聞こえはいいですが、この調子で兵士の心身が持つのかは心配です。キーレも人が変わったかのように厳しく兵たちを叱咤しており、新兵は上官のキーレを睨みつけながら必死にこの過酷な訓練に耐えていました。
そのうち、負傷者も出てきてしまったようで、わたしたち医療部隊も忙しくなってきました。打ち身に裂傷、ひどいものだと骨が折れてしまった者までいます。負傷した兵士の方には申し訳ないですが、同じく新米の多い医療部隊にとっては経験を積める良い機会でした。怪我の度合いを瞬時に判断し、治癒魔法のかけどころを間違わない。これはわたしも実戦で学んだことでもあります。
それにしても負傷者が多すぎました。訓練を取り仕切るとなって張り切っているのかもしれませんが、これはさすがにやりすぎです。実戦形式の調練を終えて帰ろうとするキーレを呼び止めて、一言注意しておこうと思います。
「キーレ、いくらなんでもこれはやりすぎです。もっと抑えてもらわないと」
「薩摩では、こいが普通でごわしたがの」
「サツマではどうか知りませんが、怪我人が多すぎます。訓練で兵を失ってしまっては、本末転倒ではないですか」
キーレは何か言いたげな目のまま、苦い顔をしています。
「とにかく、ヨーゼフには報告しておきます、キーレ。はやる気持ちもわかりますが、少し自重してください」
「自重、とな」
「はい、これ以上負傷者を出すような訓練は、わたしが認めません」
「む。……よう、ごわす」
存外に聞き分けのいい様子に驚きながら、わたしはヨーゼフの待つ城内の執務室へとキーレを連れていくことにしました。正直なところ、訓練内容を変更する権利はわたしにはありません。キーレはヨーゼフからその命を受けているので、何か物言いをつけられるとしたらそれは領主であるヨーゼフだけなのです。
「キーレ、何か張り切りすぎているのではないですか」
「張り切っては、おらん」
「ですが、新兵への訓練であれだけ熱気を帯びるのは、普通ではないですよ」
「新兵だからこそ、ぞ」
わたしが疑問符を浮かべたことに気づいたのか、キーレはさらに言葉を続けます。
「戦では、新兵から死ぬ。生きるためには、はよう、兵にならねばならん」
「……!」
「明日にも、また敵ば攻めてこんとも限らん」
「それはそう、かもしれませんが」
「その戦で、おいは兵児ば死なせとうなか」
「それは……」
唇を噛みながら一言一言を搾り出すキーレに、わたしはこれ以上何も言えませんでした。これまでの戦いでも、わたしの知らないところでキーレは戦友を、部下を何人も失ってきたに違いないのです。
いざ、人の命がかかっているとなると、彼が向こうみずな自己犠牲に走りたがるのはよく知っていました。今はそれが訓練というだけのこと、なのでしょう。
ですが新兵への配慮というもののもあります。脱走兵を出そうものなら士気が下がることに間違いなく、それはエンミュール軍の成立すら危うくします。
あれこれと堂々巡りの思考を繰り返しているうちに、わたしたちはいつの間にかヨーゼフの執務室まで着いてしまいました。衛兵の方に会釈をして中に入ると、幽鬼のような顔をしたヨーゼフが書類に囲まれて机に向かっています。
「ちょっと、ヨーゼフ? あなた、ちゃんと休みはとっているのですか?」
「ああ、姉さん。問題ないよ、これを片付けたら一休みするから」
「数刻前も同じことを言ったばかりでしょう。ダメです。早く水浴びでもして寝て来てください」
慌てて近習の者を呼んでヨーゼフを休みに行かせると、執務室にはキーレとわたしの二人っきりになってしまいました。
「ヨーゼフは、大丈夫でしょうか。かなり無理をしているようでしたし」
「ヨーゼフどんはよか領主かもしれんが、まだまだじゃの」
「そんな言い方をしなくてもいいでしょう、彼も頑張っているのですし」
その無神経な言い草に思わず言い返してしまった後、キーレがヨーゼフの呼び方を変えていることに気づきました。以前はヨーゼフさぁ、ともっと親しげに呼んでいたはずです。
「そういえばそのヨーゼフどん、というのは?」
「ヨーゼフどんも、今はこの地の長じゃからの。敬意がいりもすな」
キーレも彼なりにヨーゼフの立場の辛さをわかっているのかもしれません。そしてその苦労を知っているからこそ、自分の務めを果たそうとしているのでしょうか。
「ああして倒れられては、部下も民も不安がりもす」
「それは、そうですが」
「何もかんも自分で背負う必要はなか」
「辺境伯の地位もあって、気負いすぎているのかもしれませんね」
「戦はおいに、事務は文官に任せて、でんと構えていればようごわす」
それは確かに一理あります。貴族たるもの、そう余裕ある振る舞いを見せるべきなのかもしれません。
「日新公様もそうであったと聞いておる」
「ジッシンコウ?」
「薩摩の大殿ぞ。おいが生まれる前にはもうお隠れになってごわしたが」
「それは、立派な方だったのでしょうね」
「うむ。いろは歌なるもんがあっての。薩摩武士ん子はこれを聞いて育ちもす」
しばらくキーレからサツマの話を聞いているうちに、ヨーゼフが戻ってきてしまいました。寝てきなさいと言ったのに、仕事が気になって戻ってきてしまったようです。
「ヨーゼフ、仕事はいいですから、もうお休みなさい」
「ですが、それでは--」
「ヨーゼフどん。はよ、い寝もんせ」
珍しく強い口調で、キーレがヨーゼフを叱りつけるように諭しました。
「武士の務めは、戦ぞ。そんために日々鍛錬しもす」
「……?」
「ヨーゼフどんは、こん地の主じゃ。民の前に立派な姿を見せることが、肝心でごわ」
「……俺は、そんなに頼りないのか」
「そうは言っておらん。仕事は、他のもんがやる。それでどうにもならん時ん出てくるのが、大将の仕事ぞ」
ヨーゼフはそれを聞いてじっと目を瞑って沈黙していました。
「すまない、姉さん、キーレ。心配をかけた。今日はもう休むことにするよ」
「そうしてください。雑務はわたしとキーレで引き継いでおきますから」
「おいも、でごわすか」
驚いた顔をしているキーレをよそに、わたしはヨーゼフを部屋の外へ押し出して、書類の山に向かうことにしました。あれだけの諫言を行ったのですから、キーレにも手伝ってもらうことにします。
「おいに、右筆働きは期待できんぞ」
「では、わたしの指示通りに動いてください。まずは書類の分別をしましょう」
「む、む。承知じゃ」
てっきり嫌がるかと思っていましたが、存外素直に従ってくれるようです。
「文字は読めますね? その書類を差出人ごとに分けてください。後の処理は、わたしが」
「読めはする、がの。達筆すぎてわからんのがありもすな」
「署名ではなく、その前に書いてある肩書きで判断すれば良いですよ」
「む。おるれんらんと、伯爵。これは、大将どんじゃな」
「その調子です。一緒にヨーゼフを助けてあげましょうね」
その日は遅くまで、明かりを灯しながら二人で作業を続けていました。キーレも不満一つ言わず、黙々と作業をしてくれていました。思えば、戦場以外で彼と共同作業をしたのはもしかすると初めてかもしれません。
キーレも少しはエンミュールに愛着を持ってくれているといいのですが。もうすぐ、彼の苦手な寒い冬がこのエンミュールにもやってきます。
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