1 / 1
人生は何が起きるかわからない
しおりを挟む
人生に油断は大敵だ。
何が起きるかわからない。 折角、高位貴族に生まれても、美形に生まれても、王子様の婚約者に選ばれても、幸せとは限らない。
高位貴族にありがちな親は愛のない政略結婚で子育ては乳母任せ、あてがわれた婚約者からの好意も得られず、その内に、庇護者たる母が亡くなり、父が連れ子付きで後妻をすぐ連れてきて冷遇されるようになったりもする。
それで、その後妻の子がめっちゃ可愛くって愛想が良くって、自分の立場を脅かしてくる事だってある。
運命は残酷だ。 だけど、いつ、何が起きるかわからない。
どんなにどん底に落ちたと思っていても、起死回生のチャンスというのも稀に……稀にだが起きることだってあるかもしれないのだ。
突然、救いのヒーローが現れる。
突然、前世の記憶が蘇り、自分で人生を切り開く・・・。
そんなご都合主義な事もあるかもしれない。
あるかもしれないのだ。
++++++++
ドンッと背中に衝撃。
いや押された。
身体が傾き、ひらひらとウェーブのかかったピンクブロンドの髪が揺らぐ。
髪の間、視界に映るのは、紅い絨毯が敷かれた階段の一部と豪奢な細工がされた手すり。
それから視界は上に移り天井のシャンデリアを捉えた辺りで足が完全に床から離れ、身体が浮いた。 階段の上から突き飛ばされたと理解した。
義妹に……。
邪魔だと耳元で囁かれて、ぶつかられたのだ。
義妹がへなへなと倒れ込み
「お姉様が、私を……。」
なんて言ってさめざめと泣くのが見えた所で、身体が反応した。
周り、誰もいない。
巻き込み事故防止への安全確認OK。
着地場所も確認。
身体を丸めて、接地面積を大きく、身体も脱力させて、落ちることを受け入れる。
落ちるというよりも、回る。
肝心なのは頭を守ること。
首もそう。
先輩達の金言が頭を巡る。
守りつつも、とにかく脱力。
ぐるぐる回る。
ちゃんと見せ場も作るために、大きく回れたらその方が良い。
スピードで見せる人もいたけど、俺は回る派だった。
回れば回るほど、派手で栄えるし。
ただし、無理は禁物。
大けがしたら次の仕事に差し障りしまう。
とにかく、自分をボールに見立てる。
『ボールじゃリアルじゃない。 人体は長細い。 』
そんな事をいって、階段にペットボトルを落としてイメトレしてた人もいたな。
でも、俺はより、派手に落ちたかったから。 身体も丸めてボールみたいにして、踊り場とかで派手にバウンド出来る時はしたりもした。
そう、こんな感じ。
うまくタイミングを合わせて踊り場でバウンドすらしてみせる。
悲鳴があがる。
反応が気持ち良い。
バウンドした後は、接地面の意識が大事。
狙い通り、踊り場の端っこで着地できた。
勢いは死んでないから、このまま加速して最後まで落ちきる。
さり気なく、手足も使う。
これも無理しない。 下手に抗えば骨折する。 もう少しで階段が終わる。
よし、床まで辿り着いた。
ごろんごろんと回って止まる。
シーン。
沈黙。
落ち続けて何年。
ベテランの技の見せ場。 ここが、一番大事な所。
焦ってはいけない。
十分、間を取って引き寄せてから、ぁ・・とか、うぅ・・・とか唸って、顔を上げて。
一言。 なんて言ったら、爪痕残せるか。
周りの空気感から一瞬で判断。
普通なら身体を起こして片手を伸ばせるだけ伸ばして、呻くとかなんだろうけど、今はそうじゃない。
ギギギと軋んだ音がする機械みたいなぎこちない動きで、後ろを振り返って、見上げて妹を視野に入れてから息を飲んで、恐怖に顔を歪める。 苦痛と、恐怖を顔に張り付けて、そのまま顔を残した体勢でキープして、もがくようにズリズリと身体を少しでも遠ざけようとして身体が動かなくて上手くいかない様を表現する。
そして、敢えて嗄れた声で、
「た・・す・・け・・・・・・・て・・・。」
って絞り出すように言って、周りの視線を十分感じてからの糸が切れたようにパタリと倒れた。
うん。 なかなか良い。 良い仕事した。
って思ってから、はたと気づいた。
俺、異世界転生したって。
うわ~マジか。 って思った。
しかも、ドアマット令嬢か。
全然、そんな柄じゃないのに。
ちなみに、俺の前世は男で大部屋俳優だった。 得意なのは、階段落ち。
時代劇で落ち、 性別入れ替わり青春映画で落ちた。 ヤクザ映画でも落ちた。
あ、ちょっと異世界転生モノも流行りつつあったので、落ちる所のスタントもした。 (大抵記憶が戻るのが、馬とか木とか何かから落ちたり、池ポチャも含む・・・だったから落ち芸の一種として出てった) 危険な役だけど、やりがいがあったから好きだったんだ。 落ちるの。
だって、カメラ寄ってくれるから。
主役の代わりに落ちるとかじゃなかったら、俺をメインに映してくれる。 大部屋俳優だけど、カメラが寄ってくれる見せ場。
死に際なんて最高の瞬間だ。 主役を食わない程度に、カメラに顔写す。
素晴らしい、先人、レジェンドがいたから、技を盗んで生きてきた。 そんな事が、咄嗟に出ちゃった。 貴族のもやしっ子の身体で良くやったよ。 って自分で自分を褒めてから。
我に返りました。 あ・・これ・・・。
起きれないな。 って。
周りがざわついている。 今の倒れっぷりからすると大怪我してておかしくないよね。
でも、実は、大きな怪我は一切してない。 会心の落ち技を披露したんで全然大丈夫。 サポーターとかプロテクターしてないから、擦り傷とか軽い打ち身はありそうだけど。
仕方ないから、誰かが担架用意してくれて、搬送された気配を感じつつも、必死で脱力。 死体の演技。 あ、俺、死体も上手でした。 池に浮かぶとか、路上で倒れるとかやってました。 保健室に運ばれたっぽいけど、ベッドに寝かされたっぽいけど。 みんな、遠巻き。 そして誰もいなくなった。 誰も看護せんのかい! って突っ込みつつも、 いや、俺・・・っていうかこの子遠巻きにされてたから誰も面倒見たくないよね。 って悟って、ちょっと寂しいなって思いながら今がチャンスとばかりに、こっそり逃げた。 だって、俺、持てる技術を総動員して落ちたものですから。 記憶に残る、派手な立ち回りを心がけていたのが発揮されちゃったのですから。 全然、大きな怪我してないし、なんなら、嘘寝してるってバレたら困るものですから。 小心者なので、逃げました。
貴族令嬢らしくないけど、窓から出た。 ちなみに、俺、窓から逃げるのも上手だ。
盗賊の一味役も何十回としたから。
幸い、一階だったから、楽勝だった。
で、ここでも自分の技術が生きた。 色んな役をやってきたものですから。 主役と違って、同じ時代劇の作品でも、町人、魚屋、浪人・・と、何役もやってきたので、姿を変えるのは得意なのです。 まず、派手なピンクブロンドは編み込んでしまい。 (切りたかったけど、髪の始末が面倒。後、切った後がばれる。) 衣服もちょっとだけ、雰囲気を変える。 スカートの丈を少し短めにしたり、付けているリボンを変えたりとか。 で、皆、俺の事、怪我してるって思い込んでいるから逆に堂々と歩いた、 人間ってそうとう適当な記憶をしているもの。 後、見たい物を見たいようにしか見ない。 家でも冷遇されているし、帰っても碌な目に遭わないだろうし。 この学園に残っても良いことは無い。 そもそも、女として生きていく気が無い。 真っ直ぐに寮に戻って、寮母さんに見つからないように腐心した。 慌てて金目になりそうな物だけ引き出した。
学園の柵とかは余裕で飛び越えられた。 楽々、逃亡成功。 そのその後の話。 もとは大部屋俳優。 人とわちゃわちゃやるのは平気。 下町にもぐりこんで、派手なピンクブロンドは切って染めた。 で、酒場とかで給仕しつつ、お金を貯めて、情報を集めて、ちょっと王都から離れた演劇が盛んな地方に移動した。 そこの領主様が演劇に熱心だって噂は聞いていたからね。 で、そこでまた酒場に勤めて、信頼できる人に、劇場への紹介をしてもらって下働きで働き出した。 一応、この街に来た時には性別は男と偽った。 劇場の上の人には、家で虐待されて追われているから男として働きたいって言っておいた。 劇場って目立つと思うけどね、やっぱりね、前職を生かした方が生きやすいから。 それに、この空気感が好きなんだ。 皆で色々作り上げていくっていうことが好き。 で、数年、そこで過ごして、少しずつ少年の端役をもらって、ある程度口出せるようになってから、自分の特技を披露した。 階段落ち。 で、それが採用されて、それが受けて、劇場も賑わった。 俺も、良い気分。 給料も上がったし、生活も安定してきた。 身体だけは気をつけなくちゃって思ってたある日。
今日も、最高の落ち技を披露してやった。 と、思っていたところで、ファンからの会食のお誘いだ。 普段は、俺はそういうのは断ってもらっている。 身体のメンテナンスの時間も欲しいし、前世と違って偉い人とかに無礼を働いたら即死罪って分かっているからだ。 記憶が戻る前ならいざ知らず、今の自分はかなり前世の記憶、常識に引っ張られている。 絶対無礼を働いてしまう。 けど、支配人にちょっとだけだから。 とかって軽く言われて街一番のホテルの最上級の部屋に連れていかれて、そこで待っていたのは王子様と取り巻きだった。 うわ~。 って思った。 支配人、わざと軽いお誘いを装っていたんだって。 支配人は早々に逃げていった。 胸元が膨らんでいたから俺の事、売ったんだろうな。 で、そこから地獄のお食事会。
いや食事始まらなかった。 お茶が出ただけだった。 始まったのは、尋問タイムですよ。 王子様、世間話って言う体で昔々、学園から女の子が消えてね。 って話をしてくれた。 事故で、階段から落ちてそこから消えちゃった。 寮の部屋も荒らされていて、誰かに攫われてしまったのだと話題になった。 落ち方も寮の部屋の荒らされ方も酷くて、そこから調査の手が入った。 女の子は家で虐待されていた。 学園ではいじめに遭っていた。 その上、階段からは突き飛ばされた。 と、言うことが分かって、その女の子の家は評判を落としたらしい。 気づかなかった婚約者の評判も落ちた。 なんて聞かされて、あぁ、そういえば部屋からアシつくといけないと思って、わざと荒らしたんだった、って思い出した。 なんなら、イジメでぐちゃぐちゃ落書きされたノートを広げて、ペーパーナイフでぶっさしたり、唯一あった母の形見らしいクマのぬいぐるみも腹かっさばいて綿を出してきたんだった。 いや、あのクマの腹の中に宝石とか入れてあったからさ。出すしか無かったんだよね。 「それで・・・だ。僕はその子を探しているんだ。で、ちょっと前から面白い演出をしている劇団があるって聞いてね。」 「は・・はぁ。」 「凄く。上手に。派手に。階段を。上から落ちて。無事なんだってね。何か聞いたことあるなぁ~って思って。見に来たんだ。」
「はぁ・・・。」
「びっくりしたよ。あんなに綺麗に落ちるんだね。それで、死んで。フィナーレでまた舞台上に。あんな事出来る人。そうそういないよねって思うんだけど。どう思う?」
「さ・・さぁ、自分にはちょっとわかりかねます。」
「そっかぁ。わからないかぁ。」
「はいぃ。わからないですぅ。」
白けた空気が充満している。
「大変だったんだ。彼女がいなくなってね。」 「はい。」
「僕が婚約者だったんだけどね。」 「そっすか。」 あ、思わず雑な返事になっちゃった。
「僕まで犯人だって疑われた時もあってね。」 「そりゃ大変。」 「うん。大変だったよ。だからすごく頑張って仕事をしつつ彼女を探していたんだよ。そもそも、彼女も大変なら大変って相談してくれたら良かったのにって思うんだよね。」 「言いたくても言えなかったんじゃないですか?」
「え?」
「え・・・?」
「話しかけても黙っているし、手紙書いても返事は無いし、贈り物しても同じだし・・・。」 「届いてなかったんじゃないですか?」
「え?」
「あ、そう思っただけです。」
「じゃ、話しかけて黙っていたのは?」 「・・・・・何ででしょうね?」
そういえば、記憶戻る前の俺、凄い無気力さんだったわ。 ただ生きてるだけの悲観に身を委ねているだけの子。
「僕の立場だと、助けてって言われないと動けないんだよね。」
「そんな事言われても。」
「まぁ、今更だね。で、今の話なんだけど。階段落ちるの上手だね。」
「ありがとございます。」
「それで、君は知らないと思うんだけど、学園には監視カメラがついててね。彼女が落ちた時の映像が残っているんだ。」
「へっ・・・へぇ~~~~~凄いですね。」
出た!異世界転生モノのご都合主義技術! 馬車走ってんのに、監視カメラって何だよ! と、心の中で叫ぶ。
「君の落ち方にそっくりなんだぁ。」
王子様の目が凄い怖い。 取り巻き様の目も凄い怖い。
「どう思う?」
「へぇ~~。凄い偶然っすね。」
ダラダラ冷や汗かきながらシラを切る。
「そうだねぇ。偶然だねぇ。所で君、凄いお化粧してるよね。君の顔、化粧、落としたら彼女に似てるんじゃないかなぁって思うんだけど。これも偶然かな?」
「世の中は似た人が居るっていいますもんね。」 「・・・・・・頑張るね。」
「頑張らないと生きていけないので。」
「なるほど・・・では、次の話を。この世には便利なモノがあってね。もちろん使うのには制約があるんだけど、この水晶。」
知らんうちに、ティーカップが下げられてて、アタッシュケースみたいなバッグがドンと置かれて、パカってあいたらソコには立派な水晶。 「これ手を置いて、質問に答えて欲しいんだ。」 「えっ・・・えぇ・・・こんな立派なモノ。平民が触っちゃいけないんじゃ・・・。」
「僕が許可するから良いよ。って言うか置きなさい。僕が優しく言っている内に置きなさい。」 「こ・・これぇ、何の道具ですかぁ???」
「嘘ついてたら教えてくれる道具だよ!嘘ついたら激痛が手に走るよ。痛いの嫌なら今のうちに正直に答えようか?」
にっこり笑顔の王子様。
「えぇぇ・・・人間、隠したいことあるじゃないですか・・・。」
取り巻き君達が、立ちあがって俺を左右から寄ってくる。 あぁ、絶対絶命。 でも、あきらめない。 俺は、椅子の背もたれに体重をかけ、テーブルを軽く蹴って後ろに倒れた。 後ろでんぐり返しでグルグル回って壁際に、そこから窓へ。 華麗に外に出て、走って逃げようとして捕まりました。 そうですよね。 王子様がいらっしゃっているなら、外に警備がいない訳ないですよね。 って、事で、捕まって、水晶に手を置いて、自分が誰か白状させられて、念のため、化粧落とされて、面通しまでされました。 で、気楽な少年の恰好から貴族女子のドレスを着せられて(異世界転生モノのスタントした事もあったからドレスは割と平気)ガタゴト馬車で王都に戻りました。 王子様の横で、道中、どういう風にそんな技術を身につけたのかも洗いざらい尋問されて。隠そうとしても水晶を使われてね。 痛くって、白状させられちゃった。 ちなみに、使う方も結構精神力とか使うし、多少痛みが走るんですって。 で、心は男なんだけどって話をしたんだけど、身体は女だから問題ない、前より話しやすいから良いって言われて、王城に到着次第、無事につれて帰ったって王様に引き合わせられて、そのまま婚約続行ってなって、一年後には結婚式あげさせられた。
この先、どうするのか。 心は男だって言っても、 「君の前世では男同士でも結婚した人たちはいたんだよね。だから、君の常識ではそこまで嫌悪感はないはず。僕が努力するよ。好きになってもらうようにね。」 なんて言われて、えぇ、その後はご想像にお任せします。 そう、人生は油断大敵。 油断した時にほろりと転がされてしまうこともあるのだから。
何が起きるかわからない。 折角、高位貴族に生まれても、美形に生まれても、王子様の婚約者に選ばれても、幸せとは限らない。
高位貴族にありがちな親は愛のない政略結婚で子育ては乳母任せ、あてがわれた婚約者からの好意も得られず、その内に、庇護者たる母が亡くなり、父が連れ子付きで後妻をすぐ連れてきて冷遇されるようになったりもする。
それで、その後妻の子がめっちゃ可愛くって愛想が良くって、自分の立場を脅かしてくる事だってある。
運命は残酷だ。 だけど、いつ、何が起きるかわからない。
どんなにどん底に落ちたと思っていても、起死回生のチャンスというのも稀に……稀にだが起きることだってあるかもしれないのだ。
突然、救いのヒーローが現れる。
突然、前世の記憶が蘇り、自分で人生を切り開く・・・。
そんなご都合主義な事もあるかもしれない。
あるかもしれないのだ。
++++++++
ドンッと背中に衝撃。
いや押された。
身体が傾き、ひらひらとウェーブのかかったピンクブロンドの髪が揺らぐ。
髪の間、視界に映るのは、紅い絨毯が敷かれた階段の一部と豪奢な細工がされた手すり。
それから視界は上に移り天井のシャンデリアを捉えた辺りで足が完全に床から離れ、身体が浮いた。 階段の上から突き飛ばされたと理解した。
義妹に……。
邪魔だと耳元で囁かれて、ぶつかられたのだ。
義妹がへなへなと倒れ込み
「お姉様が、私を……。」
なんて言ってさめざめと泣くのが見えた所で、身体が反応した。
周り、誰もいない。
巻き込み事故防止への安全確認OK。
着地場所も確認。
身体を丸めて、接地面積を大きく、身体も脱力させて、落ちることを受け入れる。
落ちるというよりも、回る。
肝心なのは頭を守ること。
首もそう。
先輩達の金言が頭を巡る。
守りつつも、とにかく脱力。
ぐるぐる回る。
ちゃんと見せ場も作るために、大きく回れたらその方が良い。
スピードで見せる人もいたけど、俺は回る派だった。
回れば回るほど、派手で栄えるし。
ただし、無理は禁物。
大けがしたら次の仕事に差し障りしまう。
とにかく、自分をボールに見立てる。
『ボールじゃリアルじゃない。 人体は長細い。 』
そんな事をいって、階段にペットボトルを落としてイメトレしてた人もいたな。
でも、俺はより、派手に落ちたかったから。 身体も丸めてボールみたいにして、踊り場とかで派手にバウンド出来る時はしたりもした。
そう、こんな感じ。
うまくタイミングを合わせて踊り場でバウンドすらしてみせる。
悲鳴があがる。
反応が気持ち良い。
バウンドした後は、接地面の意識が大事。
狙い通り、踊り場の端っこで着地できた。
勢いは死んでないから、このまま加速して最後まで落ちきる。
さり気なく、手足も使う。
これも無理しない。 下手に抗えば骨折する。 もう少しで階段が終わる。
よし、床まで辿り着いた。
ごろんごろんと回って止まる。
シーン。
沈黙。
落ち続けて何年。
ベテランの技の見せ場。 ここが、一番大事な所。
焦ってはいけない。
十分、間を取って引き寄せてから、ぁ・・とか、うぅ・・・とか唸って、顔を上げて。
一言。 なんて言ったら、爪痕残せるか。
周りの空気感から一瞬で判断。
普通なら身体を起こして片手を伸ばせるだけ伸ばして、呻くとかなんだろうけど、今はそうじゃない。
ギギギと軋んだ音がする機械みたいなぎこちない動きで、後ろを振り返って、見上げて妹を視野に入れてから息を飲んで、恐怖に顔を歪める。 苦痛と、恐怖を顔に張り付けて、そのまま顔を残した体勢でキープして、もがくようにズリズリと身体を少しでも遠ざけようとして身体が動かなくて上手くいかない様を表現する。
そして、敢えて嗄れた声で、
「た・・す・・け・・・・・・・て・・・。」
って絞り出すように言って、周りの視線を十分感じてからの糸が切れたようにパタリと倒れた。
うん。 なかなか良い。 良い仕事した。
って思ってから、はたと気づいた。
俺、異世界転生したって。
うわ~マジか。 って思った。
しかも、ドアマット令嬢か。
全然、そんな柄じゃないのに。
ちなみに、俺の前世は男で大部屋俳優だった。 得意なのは、階段落ち。
時代劇で落ち、 性別入れ替わり青春映画で落ちた。 ヤクザ映画でも落ちた。
あ、ちょっと異世界転生モノも流行りつつあったので、落ちる所のスタントもした。 (大抵記憶が戻るのが、馬とか木とか何かから落ちたり、池ポチャも含む・・・だったから落ち芸の一種として出てった) 危険な役だけど、やりがいがあったから好きだったんだ。 落ちるの。
だって、カメラ寄ってくれるから。
主役の代わりに落ちるとかじゃなかったら、俺をメインに映してくれる。 大部屋俳優だけど、カメラが寄ってくれる見せ場。
死に際なんて最高の瞬間だ。 主役を食わない程度に、カメラに顔写す。
素晴らしい、先人、レジェンドがいたから、技を盗んで生きてきた。 そんな事が、咄嗟に出ちゃった。 貴族のもやしっ子の身体で良くやったよ。 って自分で自分を褒めてから。
我に返りました。 あ・・これ・・・。
起きれないな。 って。
周りがざわついている。 今の倒れっぷりからすると大怪我してておかしくないよね。
でも、実は、大きな怪我は一切してない。 会心の落ち技を披露したんで全然大丈夫。 サポーターとかプロテクターしてないから、擦り傷とか軽い打ち身はありそうだけど。
仕方ないから、誰かが担架用意してくれて、搬送された気配を感じつつも、必死で脱力。 死体の演技。 あ、俺、死体も上手でした。 池に浮かぶとか、路上で倒れるとかやってました。 保健室に運ばれたっぽいけど、ベッドに寝かされたっぽいけど。 みんな、遠巻き。 そして誰もいなくなった。 誰も看護せんのかい! って突っ込みつつも、 いや、俺・・・っていうかこの子遠巻きにされてたから誰も面倒見たくないよね。 って悟って、ちょっと寂しいなって思いながら今がチャンスとばかりに、こっそり逃げた。 だって、俺、持てる技術を総動員して落ちたものですから。 記憶に残る、派手な立ち回りを心がけていたのが発揮されちゃったのですから。 全然、大きな怪我してないし、なんなら、嘘寝してるってバレたら困るものですから。 小心者なので、逃げました。
貴族令嬢らしくないけど、窓から出た。 ちなみに、俺、窓から逃げるのも上手だ。
盗賊の一味役も何十回としたから。
幸い、一階だったから、楽勝だった。
で、ここでも自分の技術が生きた。 色んな役をやってきたものですから。 主役と違って、同じ時代劇の作品でも、町人、魚屋、浪人・・と、何役もやってきたので、姿を変えるのは得意なのです。 まず、派手なピンクブロンドは編み込んでしまい。 (切りたかったけど、髪の始末が面倒。後、切った後がばれる。) 衣服もちょっとだけ、雰囲気を変える。 スカートの丈を少し短めにしたり、付けているリボンを変えたりとか。 で、皆、俺の事、怪我してるって思い込んでいるから逆に堂々と歩いた、 人間ってそうとう適当な記憶をしているもの。 後、見たい物を見たいようにしか見ない。 家でも冷遇されているし、帰っても碌な目に遭わないだろうし。 この学園に残っても良いことは無い。 そもそも、女として生きていく気が無い。 真っ直ぐに寮に戻って、寮母さんに見つからないように腐心した。 慌てて金目になりそうな物だけ引き出した。
学園の柵とかは余裕で飛び越えられた。 楽々、逃亡成功。 そのその後の話。 もとは大部屋俳優。 人とわちゃわちゃやるのは平気。 下町にもぐりこんで、派手なピンクブロンドは切って染めた。 で、酒場とかで給仕しつつ、お金を貯めて、情報を集めて、ちょっと王都から離れた演劇が盛んな地方に移動した。 そこの領主様が演劇に熱心だって噂は聞いていたからね。 で、そこでまた酒場に勤めて、信頼できる人に、劇場への紹介をしてもらって下働きで働き出した。 一応、この街に来た時には性別は男と偽った。 劇場の上の人には、家で虐待されて追われているから男として働きたいって言っておいた。 劇場って目立つと思うけどね、やっぱりね、前職を生かした方が生きやすいから。 それに、この空気感が好きなんだ。 皆で色々作り上げていくっていうことが好き。 で、数年、そこで過ごして、少しずつ少年の端役をもらって、ある程度口出せるようになってから、自分の特技を披露した。 階段落ち。 で、それが採用されて、それが受けて、劇場も賑わった。 俺も、良い気分。 給料も上がったし、生活も安定してきた。 身体だけは気をつけなくちゃって思ってたある日。
今日も、最高の落ち技を披露してやった。 と、思っていたところで、ファンからの会食のお誘いだ。 普段は、俺はそういうのは断ってもらっている。 身体のメンテナンスの時間も欲しいし、前世と違って偉い人とかに無礼を働いたら即死罪って分かっているからだ。 記憶が戻る前ならいざ知らず、今の自分はかなり前世の記憶、常識に引っ張られている。 絶対無礼を働いてしまう。 けど、支配人にちょっとだけだから。 とかって軽く言われて街一番のホテルの最上級の部屋に連れていかれて、そこで待っていたのは王子様と取り巻きだった。 うわ~。 って思った。 支配人、わざと軽いお誘いを装っていたんだって。 支配人は早々に逃げていった。 胸元が膨らんでいたから俺の事、売ったんだろうな。 で、そこから地獄のお食事会。
いや食事始まらなかった。 お茶が出ただけだった。 始まったのは、尋問タイムですよ。 王子様、世間話って言う体で昔々、学園から女の子が消えてね。 って話をしてくれた。 事故で、階段から落ちてそこから消えちゃった。 寮の部屋も荒らされていて、誰かに攫われてしまったのだと話題になった。 落ち方も寮の部屋の荒らされ方も酷くて、そこから調査の手が入った。 女の子は家で虐待されていた。 学園ではいじめに遭っていた。 その上、階段からは突き飛ばされた。 と、言うことが分かって、その女の子の家は評判を落としたらしい。 気づかなかった婚約者の評判も落ちた。 なんて聞かされて、あぁ、そういえば部屋からアシつくといけないと思って、わざと荒らしたんだった、って思い出した。 なんなら、イジメでぐちゃぐちゃ落書きされたノートを広げて、ペーパーナイフでぶっさしたり、唯一あった母の形見らしいクマのぬいぐるみも腹かっさばいて綿を出してきたんだった。 いや、あのクマの腹の中に宝石とか入れてあったからさ。出すしか無かったんだよね。 「それで・・・だ。僕はその子を探しているんだ。で、ちょっと前から面白い演出をしている劇団があるって聞いてね。」 「は・・はぁ。」 「凄く。上手に。派手に。階段を。上から落ちて。無事なんだってね。何か聞いたことあるなぁ~って思って。見に来たんだ。」
「はぁ・・・。」
「びっくりしたよ。あんなに綺麗に落ちるんだね。それで、死んで。フィナーレでまた舞台上に。あんな事出来る人。そうそういないよねって思うんだけど。どう思う?」
「さ・・さぁ、自分にはちょっとわかりかねます。」
「そっかぁ。わからないかぁ。」
「はいぃ。わからないですぅ。」
白けた空気が充満している。
「大変だったんだ。彼女がいなくなってね。」 「はい。」
「僕が婚約者だったんだけどね。」 「そっすか。」 あ、思わず雑な返事になっちゃった。
「僕まで犯人だって疑われた時もあってね。」 「そりゃ大変。」 「うん。大変だったよ。だからすごく頑張って仕事をしつつ彼女を探していたんだよ。そもそも、彼女も大変なら大変って相談してくれたら良かったのにって思うんだよね。」 「言いたくても言えなかったんじゃないですか?」
「え?」
「え・・・?」
「話しかけても黙っているし、手紙書いても返事は無いし、贈り物しても同じだし・・・。」 「届いてなかったんじゃないですか?」
「え?」
「あ、そう思っただけです。」
「じゃ、話しかけて黙っていたのは?」 「・・・・・何ででしょうね?」
そういえば、記憶戻る前の俺、凄い無気力さんだったわ。 ただ生きてるだけの悲観に身を委ねているだけの子。
「僕の立場だと、助けてって言われないと動けないんだよね。」
「そんな事言われても。」
「まぁ、今更だね。で、今の話なんだけど。階段落ちるの上手だね。」
「ありがとございます。」
「それで、君は知らないと思うんだけど、学園には監視カメラがついててね。彼女が落ちた時の映像が残っているんだ。」
「へっ・・・へぇ~~~~~凄いですね。」
出た!異世界転生モノのご都合主義技術! 馬車走ってんのに、監視カメラって何だよ! と、心の中で叫ぶ。
「君の落ち方にそっくりなんだぁ。」
王子様の目が凄い怖い。 取り巻き様の目も凄い怖い。
「どう思う?」
「へぇ~~。凄い偶然っすね。」
ダラダラ冷や汗かきながらシラを切る。
「そうだねぇ。偶然だねぇ。所で君、凄いお化粧してるよね。君の顔、化粧、落としたら彼女に似てるんじゃないかなぁって思うんだけど。これも偶然かな?」
「世の中は似た人が居るっていいますもんね。」 「・・・・・・頑張るね。」
「頑張らないと生きていけないので。」
「なるほど・・・では、次の話を。この世には便利なモノがあってね。もちろん使うのには制約があるんだけど、この水晶。」
知らんうちに、ティーカップが下げられてて、アタッシュケースみたいなバッグがドンと置かれて、パカってあいたらソコには立派な水晶。 「これ手を置いて、質問に答えて欲しいんだ。」 「えっ・・・えぇ・・・こんな立派なモノ。平民が触っちゃいけないんじゃ・・・。」
「僕が許可するから良いよ。って言うか置きなさい。僕が優しく言っている内に置きなさい。」 「こ・・これぇ、何の道具ですかぁ???」
「嘘ついてたら教えてくれる道具だよ!嘘ついたら激痛が手に走るよ。痛いの嫌なら今のうちに正直に答えようか?」
にっこり笑顔の王子様。
「えぇぇ・・・人間、隠したいことあるじゃないですか・・・。」
取り巻き君達が、立ちあがって俺を左右から寄ってくる。 あぁ、絶対絶命。 でも、あきらめない。 俺は、椅子の背もたれに体重をかけ、テーブルを軽く蹴って後ろに倒れた。 後ろでんぐり返しでグルグル回って壁際に、そこから窓へ。 華麗に外に出て、走って逃げようとして捕まりました。 そうですよね。 王子様がいらっしゃっているなら、外に警備がいない訳ないですよね。 って、事で、捕まって、水晶に手を置いて、自分が誰か白状させられて、念のため、化粧落とされて、面通しまでされました。 で、気楽な少年の恰好から貴族女子のドレスを着せられて(異世界転生モノのスタントした事もあったからドレスは割と平気)ガタゴト馬車で王都に戻りました。 王子様の横で、道中、どういう風にそんな技術を身につけたのかも洗いざらい尋問されて。隠そうとしても水晶を使われてね。 痛くって、白状させられちゃった。 ちなみに、使う方も結構精神力とか使うし、多少痛みが走るんですって。 で、心は男なんだけどって話をしたんだけど、身体は女だから問題ない、前より話しやすいから良いって言われて、王城に到着次第、無事につれて帰ったって王様に引き合わせられて、そのまま婚約続行ってなって、一年後には結婚式あげさせられた。
この先、どうするのか。 心は男だって言っても、 「君の前世では男同士でも結婚した人たちはいたんだよね。だから、君の常識ではそこまで嫌悪感はないはず。僕が努力するよ。好きになってもらうようにね。」 なんて言われて、えぇ、その後はご想像にお任せします。 そう、人生は油断大敵。 油断した時にほろりと転がされてしまうこともあるのだから。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
灰の街の灯火と、名もなき英雄
にゃ-さん
ファンタジー
「英雄なんて、もういらない」
滅びかけた異世界〈グレンヘイム〉に転生した青年リオは、過去の記憶と引き換えに“世界の欠片”を託された。荒廃した街、心を失った住人たち、光を信じなくなった国。だが、灰の中でも灯は消えていなかった。
リオは仲間とともに、滅びの真実を探す旅へ出る。
守るためではなく――“誰かをもう一度信じるため”に。
運命に抗う者たちが紡ぐ、再生と希望のファンタジー。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる