聖女が婚約破棄されて処刑されてしまったら王国は滅びる?

鈴原ベル

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ブライト三戦士、明日への誓い

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「わたしって、正義のヒロイン失格よね」

 と切り出すと、

「わたし一人、舞い上がって暴走しちゃって、そのあげく、わたしの技は通用しないし、一方的にやられちゃって、惨めな姿を晒して……あ、あんなに惨めで恥ずかしい思いは、これまでしたことないわ……」

 学園の人気者、美少女アイドルは、ワーンワーンと大粒の涙を流して号泣し始めてしまったのだ。最後に勝ったといっても、それは仲間の助けを借りてのこと。長いあいだ憧れていた正義のヒロインとしてのデビュー戦で、こんな苦戦を強いられたことは、大変なショックだったのだ。

 常に陽のあたる場所にいて、何をやらせても優秀なカズサのこのような姿は、幼馴染で、彼女の姿を傍で見てきたユウキにとっても初めてだった。

「そんなことないって、カズサは結構頑張ってたよ。途中で有利になったこともあったじゃない」
「グスン……」

ユウキは泣きじゃくるカズサを、懸命に慰めた。リリアンも

「そうよ、敵の弱点を見抜いたのもカズサだし、そんなに落ち込むことはないわ。わたしだって、この前は危ない場面もあったわ。大事なのは、誰かがピンチになったら、他の誰かが助けるということ。それが、わたしたちの戦い方よ」

「誰かがピンチになったら、他の誰かが助ける……」

 カズサは、リリアンの言葉を復唱した。それを受けたユウキは

「そうだ、それだよ。リリアンがピンチだったら僕が助ける。カズサがピンチだったらリリアンが助ける。そして、僕がピンチだったら……どうなんだ?」

「はい! わたしが助けたらいいのね!」

 急に、カズサの声が明るくなった。彼女は早くもいつもの自分を取り戻していた。

「そういうこと。みんな弱いのよ。だから助け合っていかないとならないのよね」

 とリリアンが締めた。

「カッコつけようとしてたわたしが間違ってたわ。正義のヒロインとして、もう絶対に泣いたりしないから。みんなで助け合っていきましょう」


 その日の深夜だった。ユウキの部屋をノックしてリリアンが入ってきた。

「ユウキ、2人で反省会やろう」

 入ってきたリリアンは、いつものように、Tシャツ一枚、ショーツ一枚のセクシースタイルだった。ユウキは、大胆過ぎる美少女に苦言を呈した。

「もうリリアン、そのエッチな格好やめろって」

だが、リリアンはユウキの言葉など歯牙にもかけなかった。

「ほんとは嬉しいくせに。ユウキったらわたしのパンツばっかり見てるじゃない」

 自分のスケベ視線を見抜かれたユウキは、ゴホッゴホッと咳払いするフリをしてごまかした。リリアンは反省会などをしに来たのではなく、ユウキとおしゃべりしに来たのだ。いきなり切り出す。

「ユウキって、カズサの事好きなんでしょ」

 いきなりの直球勝負に、またまた、ユウキは動揺した。

「そ、そりゃまあ、好きというか、ま、まあ、幼馴染だから。でもどうして?」
「だって、ユウキってカズサにすごく優しいもの」
「ええっ!」

「アリエスがピンチになった時の心配ぶりとかね」
「ま、まあ仲間だからね」
「うらやましいわね。幼馴染って」

 だが、リリアンがカズサの事をライバル視しているかと言えば、そうではないのだった。リリアンもカズサの事は評価しているし、好感も持っていた。

 ユウキは、2人の美少女に囲まれての、奇妙な三角関係の真ん中に位置してしまったことを認識した。これからこの関係がどうなっていくのであろうか。

 リリアン、ユウキ、カズサ、この三人が正義のヒロイントリオ、ブライト三戦士を結成したのも何かの運命で
あったのだろう。彼女達と悪の戦いは今後も続いていくのだった。










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