青の時間

高宮 摩如(たかみや まこと)

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ー最終部ー 本当の繋がりと想いを共に

ー間話ー あたしの思うところ

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正直なところって奴かな。クソ親とクソ姉から逃げた頃のあたしに今の状況を想像出来たか、いや、無理だね。
バイトでどれだけ稼いでもクソ母親とクソ姉に搾取される。そしてクソ父親は無関心。
流石にクソ父親を怒らせたらヤバいという事でクソ父親の無関心を利用していたクソ女共。
尤も、無関心だった事で父親(あんた)も十分クソだと思うけどね。
そんな連中からなけなしの小銭だけであたしは逃げた。ああ、無謀だって分かってたよ。
けど幸運にもすぐに今やっている仕事に就く事が出来た。でもそれで一安心とはいかなかった。やれやれだね。
金蔓を失いたくない為に電話を使って私を追ってくるクソ女共。
でも更に幸運だったのは会社側の対応が早く、徹底してくれた事。
弁護士を付けてくれたり、携帯の機種変更の補助を手厚くしてくれたり。
お蔭で呆れる位に呆気なくクソ連中と絶縁出来た。で、今になる。
現在あたしは子持ちだ。勿論実子じゃない。男の子と女の子の二人。
一応男の子の方は血縁関係にある。クソ姉の子。つまり甥っ子だ。
正直自分の環境もあって結婚する気は完全に失せていた。
クソ連中とは絶縁出来たものの、また追われる事になるのではという懸念があった。
実際社長からそれらしい話が届いた事もあった。だから各地を転々とする事を選び結婚も諦めた。
だから成り行きとはいえ、子持ちになるなんて、一ヶ所に根を張る事になるなんて正直青天の霹靂だった。
そして子育ての大変さを思い知るなんてねぇ。二人共高校生だからわりと楽なのではと思っていたけど、
全然そんな事はなかった。
二人共毒親によって普通の子ならあり得ないと言っていい環境の中にいた。
彼女の方はまだマシだったけど。甥っ子のコミュニケーション能力は絶望的だった。
誰かとあまり関わった事がない。それがこうも厄介なものだとは・・・だった。
しかし甥っ子はリハビリやあたしの根強いコミュニケーションの訓練の甲斐もあって少しずつ人と話す事に慣れていった。
ただその時の状態はあまり良いものではなかった。度重なるイジメによって体はポロポロ。
挙げ句の果てにまともな食事も出来てなく、より最悪なものだった。
で、そんな時クソ姉は行方不明で、その少し後に甥っ子の父親と連絡が取れた。
それで会う事になったんだけど。そいつもまたクソ野郎だった。
あたし父親そっくりの無関心野郎。甥っ子は父親も怖いと口にしていたけど。
どうも甥っ子を主に叱り付けていたのはクソ姉で、しかも自分のうっぷん晴らしの為のものが多かったと。
その時に父親(こいつ)も一緒にいる事が多かったのでそういうイメージが付いたのではという事だった。
しかし・・・。
「俺は子供なんて欲しくはなかった。あいつが産みたいというから好きにさせただけだ。
 だから俺は息子(あいつ)を引き取る気は無い。そっちで好きにしてくれ。」
なんとも腹立たしい言葉だったね。そして無責任だ。
なんとも・・・私も子供に愛情なんてあるのかねぇ?。だったけどその場の勢いみたいな感じで甥っ子を引き取った。
勿論、先に言った様に大変だった。けど驚く事もあった。
あたしが思っていたよりもずっと早く甥っ子は友達を作った。ほんとに驚いたね。
一見すると遊んでる感じのイメージが浮かぶ子だった。
けど実は割りと真面目な感じで、甥っ子との相性も良いように感じた。うん、良い奴を見つけたね。
そしてもう一人の子彼女。甥っ子の思いを汲んで、勢いで養子にした子。
て、いま考えてみたら勢いでってばかりだねぇ。少し反省。
それでこの子場合、甥っ子に比べると女の子というのもあってコミュニケーション能力があって少しは楽出来るかと思った。
けどそれは大いに間違いだった。何故ならこの子も甥っ子に負けず劣らずの浮世離れした子だったから。
はっきり言って彼女の場合。女の子としての認識、意識が致命的に欠落していた。
簡単に言えば、年頃の女の子としては無防備過ぎる。というところだった。
甥っ子の話しでは地味な服装で、ロングスカートを好む子だったそうだけど。
今のこの子は其れなりに派手な服装で、と言っても一般的に見れば割りと普通の感じ。
そして短かめのスカートを好んでいる。そんな感じだ。
が、この子甥っ子の前で、しかもリビングとかで平気で下着だけになろうとするし、
下手すれば裸になる事も、他人に見られる事にもたいして抵抗が無いようで、もう何度注意したか・・・・でも。
「彼だから良いの、他の人に見せる気はないから・・・・。」
ああ、そうかい、それなら良く・・・ねぇだろうがあぁぁぁぁーっ!。
はぁ、ほんとに頭が痛くなるよ・・・・・・。もう少し羞恥心ってのを覚えて欲しいよ。
で、とある日も。
あたしは仕事が休みで、リビングでのんびりと。
そしてその近くで椅子に座って本を読む彼女。本来ならそれで良い。それで良いはずなんだけど。
よく見ると彼女は椅子の上で器用に胡座を掻いていたって、ちょっと待てやあぁぁぁーっ!。
「こらあぁぁぁーっ!、そんな短いスカートで胡座を掻かないのっ!。パンツ見えてるじゃないのっ!。」
思わず咄嗟の事でつい怒鳴っていた。一応それで彼女は足を直しはした。
あぁぁぁ・・・・。ほんとに頭が痛いよ・・・・。
で、まだ問題はあったんだよねぇ。
彼女と一緒に暮らしたい、そう言った甥っ子がどうしてか彼女に対してよそよそしくしている。
もしかして戸惑ってる?。少し前の事を考えれば何故かってのは理解出来る。
そしてそんな甥っ子に彼女の方も戸惑っている様に見える。
マズイねぇ。少しばかり良くない状態だ。尤も、健全な関係とは言えるけど。
でもそんな懸念も大して長く続かなかった。どうしてか二人の距離的なものが近くなっているとすぐに気付いた。
そして最近ではより仲良く・・・いや、それは間違いだね。
度が過ぎていると思える程イチャイチャしていると最近は見える。そうなると別の懸念が出て来る。
そりゃそうだろ?。年頃の男の子と女の子だし。その・・・体の関係とかになったら一大事だしね。
なんて、思っているだけで済めば、懸念してるだけで済めばどれだけ良かったか・・・はぁ・・・。
あの子達の親になって、私自身にも変化があった。
情けない話しだけど、あたしは掃除を全くしない人間だった。
それを甥っ子を引き取るタイミングで変えた。流石に最初は甥っ子に手伝ってもらったけど。
それからは家の中は綺麗な時間が長くなった。まぁ、こまめに掃除してるからねぇ。
で、その日もいつもの掃除・・・に、なるはずだった。
甥っ子の部屋。あまり勉強には使われない机の上に無造作に置いてある箱が目に入る。
それを見て絶句した・・・いや、凍り付いたでもいいね。はぁ・・・・。
箱には避妊用のゴムである事が明記されてる。しかも大数量のセット物。
マジか・・・・。一応を中身を確認する。やっぱり避妊ゴムだぁ・・・・・・。一気に頭が痛くなる。
しかもよく見ると何個かすでに使用したと見える、つまり数が減っている訳だ。嘘・・・・だろ。
これは注意すべきだろうね。しかし、強く言い過ぎるのも良くないんだろうね多分・・・。
とは言え、これを放置すれば高校在学中に妊娠なんて目も当てられない事態もありえる。
あの子達の年齢を考えれば歯止めが効かなくなる可能性もある。そうなる前になんとかしないと。
で、その日。学校から帰って来た二人を呼び止めて、そして話し合う事にした。うん、一応ね。
その事に意義があったのか、正直微妙だ。しかし監視の目がある。それを知らせた意味があると思いたい。
まさかこの子達を引き取って一年も経たずにあたしがお婆ちゃんなんて流石に洒落にならないしねぇ。
また甥っ子、彼女、彼の三人でいる事が多い事も知る事が出来た。それに関しては少し安心だね。
兎に角だ、あたしが適切なタイミングでお婆ちゃんになるように目を光らせないとねぇ。ヤバいよ・・・これ。
まぁ、甥っ子と彼女がそもそも結婚するかもまだ未知数だ。でもしそうだと思えるんだよなぁ、あの二人。
それまではあたしが親として頑張らないとねぇ。はぁ・・・大変だぁ・・・。そして疲れるよ。
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