【完結】おはよう、僕のクラリス〜祝福という名の呪いと共に〜

おもち。

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本編

それはあまりに突然に④

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「クラリス、僕は納得が出来ない。一度二人で話し合う時間が欲しい」
「殿下が話したいと思っても私にはありません」
「僕達は話す事すら出来ないのか?」
「ではこの場ではっきりさせていただきますが、私は殿下との婚約を解消したく思います。ですが殿下が解消ではなく破棄を希望されるならそれでも構いません。その辺りは全てお任せいたします」

 僕は先程からクラリスの話に納得がいかなかった。少し前の彼女ならこんな理不尽で一方的な話し方は絶対にしなかった筈だ。それに例え、僕への愛情がなくなったからと言ってクラリスは事前に相談する事も、正式な手順も踏まないで自分勝手に行動する人物ではなかった筈だ。少なくとも僕の知る彼女はそんな無責任な行動を取る人ではなかった。明らかに昨日までのクラリスとは様子が違う。

 第一、王家が決めたこの婚約を他に好きな人間が出来たからと簡単に反故に出来るわけがない。
 聡明な彼女がその事を理解していない筈がないのに……。
 先程から堂々巡りで一向に埒が明かない事に焦りを覚えていると、ふいに後ろから聞きなれた人物の声が聞こえてきた。

「お話し中申し訳ございません。殿下、エイブリー様、ここは一旦場を改めた方がよろしいかと思いますわ。先程から学園の生徒達が皆困惑していますもの」
 
 後ろを振り返ると、クラリスの友人であるバルセル侯爵令嬢が僕達へ申し訳なさそうに声を掛けてきた。その言葉にはっと辺りを見渡すと、先程よりもギャラリーが増え、皆一様に不安な顔をしこちらを伺っていた。こんな公衆の面前で私的な話をしていたのかとようやく気付いた僕は、後日クラリスと話をする事で一旦この場を収めようとした。
 しかしその事を彼女に提案するもこちらと話をする気がないのか、嫌がる素振りを見せた。

 (そこまでしても、その子息を愛しているのか?)

 昨日まで確かにあった想いがたった一日でここまで跡形もなく消えてしまうものなのだろうか。
 相手に対して確かに存在していた想いは、一目惚れなどという言葉ひとつでこんなにも簡単になくなるものなのだろうか。僕にはもう何を信じていいのか分からなかった。

「エイブリー様も一度場所を改めましょう?このままでは堂々巡りですわ」

 クラリスもバルセル侯爵令嬢の言葉を聞き、一瞬考えるような素振りを見せたが同意した方がいいと考えたのか、素直に頷いたので僕達は学園の授業が終わった後空き教室で話をする事を約束しその場を一旦離れた。
 いつもの癖でクラリスをエスコートしようと手を差し出すと、彼女は横にいる子息の手に自信の腕を絡め一度もこちらを振り返る事なく教室へと行ってしまった。
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