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1章 4月~5月 新米怪盗は1歩を進む

3話 悪魔の罰はメイド奉仕?

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 朝 6時30分。 
 少し空が明るくなっており、後1時間位で日が完全に昇り、人々が活動を開始してしまう。
 ベージュ色のトレンチコートに身を包み、中折れ帽をかぶり如何にも男らしさ溢れるハードボイルド風
 の男がとある雑居ビルに入っていった。

 この雑居ビルは上3階建てで地下2階建ての少し、特殊な建物となっておる。
 1階は車庫代わりとなっており、シャッターが閉じていた。2階3階はこの雑居ビルの持ち主達の生活空間
 となっており、俺が用事あるのは2階にある会議室

 (段々、階段昇るのにも少しきつくなってきたな......これは、本格的に運動やるべきか.......)
 そんなことを思いながら、俺は、ドアをノックして入っていった。

「入るよ!先生!! 姫いるか?」

「これは、零冶様。いらっしゃいませ」

俺に話しかけたのはここでメイドをしている女性。名前はクロ。ロング丈のクラシカルなメイド服を着ている。
年齢不詳。今日はロングストレートの銀髪に、170cmと女性の中ではかなり高身長で全ての人間を魅了してしまう程の翠の眼、モデル顔負けのプロモーション。100人いえば100人が彼女のことを美人と表現すること間違えない。人間では到底、追いつけないであろう美貌を有していた。彼女の美しさには誰もが目を奪われても仕方がないと感じてしまう。俺も初めて会った時は最愛の妻が霞んで見えてしまった。まぁ、速攻でバレて修羅場になったことは言うまでもない。

「やぁ! クロ。 おはよう!! 2人は?」

璃子りこ先生はまた、研究室で作業しております。あかりお嬢様は昨夜までお仕事でしておりましたので、まだ寝ております」

 俺、坂本零冶さかもとれいじは壁一面本棚に設置されており、白を基調とした内装に、ナチュラルな木目調と透明なガラスが合わさって清楚さが印象になっている部屋を見渡していた。
 家具もダークブラウンで統一させており、シックで落ち着いた雰囲気のある。社長室を連想される上質な空間になっている。

 (相変わらず、この部屋はすごいなーーさすが、先生ってところか)

 数分が経ち、部屋の右奥の本棚が開き、そこから、ヒールをカツンカツンカツンと音を立てながら、
 白衣を羽織った女性が俺を通り過ぎて椅子に座り、クロが持ってきた紅茶を一口飲んだ。
 この白衣を着ている女性は天織璃子(あまおりりこ)。
 自称天才科学者である。俺は『先生』と呼んでいるが本人はあまり言われたくないらしい。
 こっちもクロに負けず劣らずのプロモーションを持っている女性。クロと同じくらいの身長。髪色は黒色に見えるが目を凝らすと極めて黒に近い深い赤紫色となっている。

「これ、ア―ルグレイね! いい香りだわ!」

「はい! 遅くまで作業されており、寝不足と考えましたので、頭も気分もスッキリできる紅茶を選びました」

「ありがとう! 今日は、英国式のメイド服なのね?」
 170㎝で腰まで伸びている銀髪に服の上からでもわかる胸、クラシカルなロング丈・長袖、王道の黒と白カラーのメイド服を着こなしており、よく似合っている。

「昨夜、灯お嬢様との賭けに負けましたので.......」

『灯』あかりと言うのは俺が『姫』と呼んでいる女の子でもある天織灯あまおりあかり。今年で高校2年生になる。俺がここにきた目的はその灯にを渡すようにと頼まれたのだ。

「あぁ......たしか、敵が出してきた蔦の攻撃を全部、回避できるかだっけ??」

「なるほどね——あなたが勝ったら、灯に何しようとしたの?」

「1週間、日常で『ですわ』の高飛車お嬢様口調で話すです」

「うわぁ.....あの子が日常で絶対にやらないことをやられるなんて......それで、灯は?」

「まだ、寝ております」

「灯は朝が弱いからね。怪盗活動関係なしで......悪いんだけど、起こしてきてくれる」

「かしこまりました」

「お願いね」
 クロが一礼し、部屋から退出した。

「姫様は朝、弱いから仕方ないんじゃないか?」

「今日から新学期よ——さすがに、初日から遅刻はまずいわ」

「まぁ~~な。でもただでさえ、怪盗と高校の2重生活はしてるんだ。少しくらいいいんじゃないのか? さすがに、キツイだろ?」
はとある理由から高校生でありながら怪盗活動に勤しんでいる。昨日の夜も目的の物を手に入れたと報告を受けている。



「私はね——灯には良い人生を送ってもらいたいの。目的を果たしたら、多分、灯は——この世からいなくなると思うから」
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