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能力

逃避

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クラスメイト達は、部屋へと戻っていった。

「はは、なんでこうなったんだろうな……」

誰もいない中、俺は一人で呟く。

「何が固有能力だ……何が勇者様だよ」

ひょっとしたら、俺はこのゲームのような世界で、勝手に何とかなると思っていたのかもしれない。

「はは……俺、どうなっちまうんだか」

―――――――――

部屋へと戻り、ベッドに倒れる。

この状態で寝れるわけもなく。しかし、早くこの現実から逃避をしたいわけで。

その中、ある考えを思い付いた。

「はは、魔力を放出するのだけはうまくなったな。」

俺の手から、魔力がどんどん出ていく。

「魔力少ないって便利だな」

まもなく俺は激痛に襲われ、気を失った。

―――――――――――

目が覚めると、外は大分明るくなっていた。

昼から今までずっと気を失っていたらしい。

それにしても腹へったな……食堂行くか。

――――――――――――

食堂で俺を出迎えたのは、クラスメイト達の視線だった。

軽蔑、同情、嘲笑。

どれもが、忘れようとした現実に引き戻してくれる。

食欲は消え去り、吐き気が俺を襲う。

俺、こんな脆かったかね……


部屋へ帰り嘔吐。ただでさえ空の胃が、もっと空
になってしまった。

これからのことは、考えたくない。

魔力を放出していく。

またしても、俺は現実から逃げるのだった。
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