増幅使いは支援ができない

aaa

文字の大きさ
20 / 100
能力

異変

しおりを挟む
そういや、今は外灯りはついてるのか?

こんな時間に出歩いたことないからな、危なかった。

灯りがなくて、帰れなかったなんて恥ずかしいです、はい。

というわけで、一応灯りになるものを持っていたほうがいいか……

そんなことを思い、親父の形見である、ライターをかばんから手に取る。


……煙草を吸ってる時の親父は、凄く様になっており、小さい時はそれがとてもカッコ良く感じていた。

そんな時使っていたのが、このライターだ。詰め替え式で、いかにも高そうな代物。


俺が死んだら、祐介がこれを使っていいからな、なんて不意に言い出した時は、まさか親父がこんな早死にするなんて思ってもなかったけな……

その言葉通り、形見としてこのライターを貰い受けたというわけだ。


こんな形で使うなんて思わなかったが、使わせてもらおう。

ライターを、ポケットに落とさないようしまっておく。

あとは……もうないか。

また、荷物の確認もしとかないとな。

―――――――――

灯りはついていたようで。

訓練場には、簡単に行くことができた。

王女様との出来事ぶりだったか、ここへ来るのは。

結局、最後の王女様のアレの理由も分からないままだ。


なぜ王女様が苦しがっていたのか。俺は一体何をしてしまったんだろう。



……試すか。

本では俺には効果がないとあったが、もしかすると何かあるかもしれない。

そんな期待をして、王女様と同じ事を自分にしてみることにした。

とりあえず、深呼吸。

よし。

まず胸に手を当てる。

その後魔力を流し込んでいくイメージで放出していく。

「増幅」

イメージを口にした、その瞬間。

「……っ!!!」


胸に広がる魔力の感覚。同時に襲う全身への痛み、胸の動悸。

魔力を流し込むのを止め、うずくまる。

そして耐えること三十秒程度、魔力がごっそりとられた感覚になり、言い様のない気持ち悪さが俺を襲う。

「これは……」

俺の体に何が起こったかは、何となくわかった。

まず魔力量が増え、その後に元々あった魔力量よりかなりの魔力量が消えたこと。

増えた魔力量が、どう考えても俺の魔力量の上限より多いということも、感覚で分かった。

一瞬だけ魔力を上限以上まで増やすのはすごいと思うが、あとの副作用はごめんだな。

それにその後の魔力量が、元の魔力量よりごっそり減っていたのも考えると、正直使えないと思う。


「まあ魔法使えないから関係ないけどな」


吐き捨てるように自嘲する。


……


「よし!走るか!」

俺は、スイッチを切り替えトレーニングに勤しむのだった。


――――――――――――――

ランニングを場内50週、いつもの筋トレの5倍増し。

この体で強くなると決めたんだ、少ないぐらいでもある。

へろへろになり、ストレッチを始めた所で周りの灯りは消えたようで。

帰りにはライター、使わないとな。

辺りはもう真っ暗だ。

―――――――――――

ストレッチも終わり、帰ろうとしたところで異変は起きた。


「……ライターって、こんな火だったか?」


今の俺の手には、十cm程の火を出しているライターがある。

普通はこれよりかなり小さい火のはずだ。

そんなことを考えていると、次第に火は小さくなっていく。

「なんなんだ、一体……」

異世界だと物もおかしくなるのかね?


まあいい……今日は疲れた、早く帰ろう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

処理中です...