オネェな東宮に襲われるなんて聞いてないっ!

鳩子

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28.わたくし、バカでしたわ

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 アタシなら、今狙うわ………と仰有られても。

 だいたい、わたくしは、誰かの命を狙うことはないだろうし、命を狙う機会なんて、絶対にない。

「それで、わたくしは何をすれば宜しいのですか?」

「うん。アンタは、アタシと、こうやって、いちゃいちゃしてれば良いのよ。そうすれば、東宮殿下を狙う不届き者だって、狙いやすいから、すぐ狙ってくれるわ。だからまず……」

 この方の言葉を信用した、わたくしがバカでした。

「ご冗談は大概になさいませ」

 わたくしは、香散見さんの言葉を遮って、言いましたわ。そうしたら、香散見さんたら、上機嫌にしゃべっていたのが、一気に不機嫌モードにおなり遊ばした。

「なーにが『ご冗談』よ!」

「だって、そうですわよ。……おかしいですもの。なぜ、わたくしと、香散見さんが、いちゃいちゃしていると、狙われるのか、合点が行きませんわ。ええ、因果がないことですから、私、納得出来ませんの」

「まあ、別にアンタに『納得』して貰わなくたって良いわよ。……アンタは、黙って、アタシといちゃいちゃしてれば良いのよ」

 急に香散見さんが私の手を取って、ぐい、とひっぱっる。

「きゃあっ! 痛いですわ」

 抗議の声を上げるけれど、全く聞いて下さらない。まったく、もう! その上、私をご自分の胸にぎゅっと抱き寄せてしまうので、私も、息が出来ずに苦しくってたまらない。

「か、香散見さんっ! 苦しいですわっ!」

 存外逞しい胸に抱きしめられて、わたくしは、不覚にもドキドキしてしまう。本当に、この方ったら、わたくしのことなんて、全く考えて下さらないのだ。

「放さないわよ。……とにかく、あとは、引っ掛かるのを待たなきゃなのよ。絶対に、引っ掛かるわ」

 なんだか、よく解らないけれど、もはや、わたくしには逆らうことなんて出来ないのだから、仕方がないので、されるがままになって居た。それにしても、断定的な物言いだったから……きっと香散見さんには、ご自分を狙う人が誰なのか、ご存じなんだろうと思う。


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