ずっと親友だと思っていたのに(康哉編)

カム

文字の大きさ
11 / 20

11

しおりを挟む
 結局その後康哉とは喫茶店で別れた。
 電車に乗ってアパートに帰るのに、二駅も乗り過ごしてしまった。

 なんだか呆然としてる。
 康哉が何を言ってたか、半分も理解出来なかった。結局康哉は俺が好きなのか嫌いなのかも分からない。本人にも分かってないんだろうか。

 携帯のデータを消去した? 康哉はそんな奴じゃないと思ってたのに。それともあの、アニキのハメ撮り動画を見られたとか……まさかな。

 帰宅してからも何も手につかず、ベッドでぼんやりと康哉の事を考える。
 一方的な告白に腹が立っていたけど、夜が来るにつれて悲しくなってきた。一体どこで間違えたんだ? 何で付き合ってもないのに振られてるんだろう。ずっと親友だと思っていたのに、いつの間にか親友はいなくなっていた。


***

 康哉に一方的に別れを告げられてから、二カ月近く経った。結局あれから康哉に連絡出来なくて、それでも毎日同じような生活をして過ごしてる。

 別の友達と遊んだり、動物園に行ったり、バイトや大学の勉強で忙しく過ごしていたけど、忘れられるのはそのときだけで、康哉の事は心の奥にずっとくすぶっていた。
 腹が立ったり、悲しくなったり、落ち込んだり、ちょっとした人間不信になったりした。
 やっぱり寂しい、という結論に達したけど、じゃあどうしたらこの寂しさが無くなるのかは分からなかった。

「弁当食いたいなー……」

 康哉の作った弁当。
 今も母さんが亡くなった時くらい落ち込んでるから、康哉の弁当食べて元気になりたい。でも、相手が俺を拒絶してるんだからどうする事も出来ない。


「修平、お前最近元気ないな」

 佐々木が俺の元気の無さを察してかは不明だが、カラオケに誘ってくれた。カラオケなんてかなり久しぶりだ。
 佐々木の友人がひたすら歌っている間に、スマホを眺めていた佐々木が俺に話しかけてくる。

「うん、まぁ……俺にもあるの。寂しいとか」
「そんな修平ちゃんの為に! 心優しい俺が楽しい飲み会を用意してやったぞ!」
「え?」
「見ろ!」

 佐々木が見せてくれたのは、スマホの画面に写った佐々木と女の子の写真。髪が長くて明るい雰囲気の女の子は佐々木とよく似合ってる。

「え? 彼女?」

「まだ違うけどな、俺のこと好きらしい。可愛いだろ!」
「何だよー自慢かよ。いいなー! ずるいぞ佐々木!」
「彼女がさ、友達紹介してくれるってさ。今週の土曜日にお洒落な店予約してるんだ。お前も参加するだろ?」

 彼女が出来たら、この寂しさは無くなるんだろうか。でもきっと今よりずっと、気持ちは楽になるはずだ。

「する」
「それでこそ修平!」

 女の子にいいところを見せるために練習しようと、佐々木がマイクを向けてきたので、俺はヤケになって歌いまくった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

とあるΩ達の試練

如月圭
BL
 吉住クレハは私立成城学園に通う中学三年生の男のオメガだった。同じ学園に通う男のオメガの月城真とは、転校して初めてできた同じオメガの友達だった。そんな真には、番のアルファが居て、クレハはうらやましいと思う。しかし、ベータの女子にとある事で目をつけられてしまい……。  この話はフィクションです。更新は、不定期です。

路地裏の王子様と秘密のカフェ ―10年ぶりに再会した親友はトップアイドルでした―

たら昆布
BL
大学生の千秋がバイト帰りの路地裏で助けたのは、今をときめくアイドル『GALAXY』のセンター、レオだった。 以来、レオは変装して千秋の働くカフェへ毎日通い詰めるようになる。 ​「千秋に会うと疲れなんて全部消えちゃうんだ」 トップアイドルとは思えないほど素直に懐いてくるレオに、千秋は戸惑いながらも多忙な彼を支えたいと願うようになる。 ​しかし、千秋はまだ知らない。 レオが10年前に「また絶対会おう」と約束して別れた泣き虫な親友の玲央本人だということに。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

【完結】重ねた手

ivy
BL
とても短いお話です。

処理中です...