好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

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王妃様に弟子入り(婚約旅行編)

13 ヤクザの親分

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「王子、申し訳ありませんがそろそろ……」

 あんまり俺とルーシェンがイチャイチャしているので、空気のように気配を消していたアークさんが申し訳なさそうに口を挟んできた。

『すみません、アークさん』
「いえ」
「父上は気が短いからな」

 ルーシェンが手を差し出したので、妖精さんがモヤモヤと纏わり付いていない方の手を繋いだ。
 キスした時少し心配だったけど、妖精さんはルーシェンに飛びかかって取り憑いたりはしないみたいだ。俺にずっとくっついて来てるけど。

 アークさんに促されて、21階フロアの王様の住む建物へ移動する。王様の住居は金ピカだ。
 同じフロアなのにほとんど入ったことがない。王妃様の食事会の時みたいに龍を連れて現れたりしないよな。龍がいなくても、ヤクザの親分みたいで緊張するけど。

 王様の居住区には、専属の緑色の服を着た兵士たちがずらりと待ち構えていた。
 食事会場は広い宴会場のようで、屋外だけどキラキラして眩しい。おそらく椅子が金色のせいだな。

「遅かったではないか。先にはじめているぞ」

 おそらく定刻にやってきたルーシェンだけど、ラキ王国の王様は先にテーブルについて飲み食いをしていた。
 自由だな。
 王宮立ち居振る舞い研修で、みんなたくさんのマナーを必死に身体に叩き込んでいるのに、実際の王族は相手のマナーなんておかまいなしだな。王様だから許されるのかな?

「父上、お酒はほどほどにと申し上げたはずですが」
「固いことをいうな」

 ルーシェンが王様の向かいの席に座ると、俺に隣に座るように椅子を引いてくれた。

『王様、ご無沙汰してます。今日はお招きありがとうございます』

 かろうじて挨拶するタイミングを見失わずにすんだぞ。
 頭を下げて椅子に座ると、王様が突然、ドンッと酒の入った器をテーブルに置いた。

 うわ……!

 その瞬間、王様の金のオーラが突風のように周囲に広がり、俺は思わず目を見開いた。
 腕が軽くなり、頭の痛みが消える。
 すげえ……。
 俺に取り憑いていた妖精さんが、王様の行動一つでどこかに吹っ飛ばされた。魔法なのか?それとも別の何か?

 王様は俺を見てニカッと笑い
「ワシ好みの男だったのに、息子と婚約するとは実に残念だ。息子の恋人でなければ、こちらに住まわせようかと思っておったのに」
と言った。

「父上、いくら父上でもシュウヘイに手を出したら容赦はしないつもりです」
「分かっている。お前は妻に似て恐ろしい」

 そう言って国王は豪快に笑った。
 ルーシェンは父親にも似ていると思ってたけど、やっぱりどっちかというとお母さん似だな。

 王様の使用人達が俺やルーシェンの器にお酒や料理を取り分けてくれる。親子の会話を聞きながら俺は食べることに専念した。二人の会話を聞いているのも楽しい。王様は荒っぽい口調だけどどこか憎めない人だし、敬語を使ってるルーシェンは新鮮だ。
 それに妖精さんがいないと身体が楽だから、食事も美味しい。妖精さん、さっきので成仏してくれたらいいけど。

「母上がいないからと遊びまわるのはおやめください。護衛が嘆いていますよ」
「まったくお前は堅苦しい奴だ。ワシはさっさと国王の座を退いて、諸国を放浪して回りたいのだ。国王など性に合わん。それなのに、お前はまだ王位を継いでくれぬし、ワシの代わりに各都市に出向いて遊びまわるとは……全く羨ましい奴め」
「遊びまわるわけではありません」
「一緒ではないか!」
「父上、魔物討伐依頼の半分以上を私が処理しているというのに、まだ政務を押し付けるおつもりですか?」
「魔物討伐はお前の趣味だろう。国王など真面目な奴がやればいいのだ。ワシはもう飽きた。お前も婚約前は王位継承に乗り気だったのに、婚約したせいでやる気が失せたのか」
「父上はまだお元気なのだから、私が継承する理由がありません」

 国王と王子になると、親子の会話も変わってくるな。
 俺が父親と日本で会話した内容ってなんだったかな。たしか、仕事頑張れとか、男なら逃げるなとかそんな話だった。やっぱり一緒なのか?スケールが違うだけで。
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