好きになったのは異世界の王子様でした(ルーシェン編)

カム

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結婚式

2 俺が悪かった

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 夕食を食べ終わって簡単な入浴と着替えをすませると、パーティーからルーシェンが戻ってきてくれた。ポリムと譲二さんが退出すると、ルーシェンは部屋を見まわしソファーに腰をおろす。

『宴会は楽しそうですね。もう仕事は終わりですか?』
「そうでもない。母上の部屋は落ち着かないな……」
『キラキラしてますよね』
「母上は美しいものが好きなんだ。兵士たちは喜んでいるが……部屋を変えてもらうか」

 正直に言うと俺も落ち着かない。義理の母親、それも王妃様の使っていた部屋ってところが。同じベッドとか難易度高すぎる。でも、黒オバケが入って来られないといっていたし、エルヴィンに対しては効果ありそうなんだよな。

『まだ眠らないんですか?』
「まだ仕事はあるが、ほとんどアークが代わってくれた。シュウヘイをあまり一人にするなと怒られたよ」

 アークさん優しいな。ソファーのルーシェンの隣に座って、上着を脱ぐのを手伝う。隣だと難しい。

「寒気は治まったのか?」
『もう大丈夫です』
「母上との話は……」
『王妃様は見える人なので、いろいろ相談にのってもらいました』
「そうだな。母上は、昔から不思議な物を見ていた。俺や父上には分かってあげられないが、シュウヘイには分かるんだな。あの母上がエルヴィンをプライベートエリアに住まわせるなら、何か考えがあるのかも知れない。シュウヘイは嫌だと思うが」

 上着をようやく完全に脱がせると、ルーシェンが俺の頬を撫で、そのまま髪を掬うようにしておでこに触れる。熱がないか確認してるらしい。

『ルーシェンは妃候補が増えて嬉しそうですね』

 嫌味を言うとムッとした顔になった。でもこのくらいは言わせてもらいたい。すごく辛かったんだ。今でも辛い。

「嬉しくはない」
『美形だし、魔力だってあるから本当は少しぐらいは嬉しいんじゃないですか?』
「美形で魔力のある者などいくらでもいる」
『でも、私が雲の谷に避難している間、ルーシェンの、その……夜の相手をしてたって』
「何だそれは」
『本人がそう言ってました』
「まさかそれを信じたのか? シュウヘイが雲の谷にいる時、こっそり隠れて転移魔法陣で会いに行った恋人にそんなことを言うのか?」
『一日しか会いに来てくれませんでした。それに、砦に戻ってようやく会えたのに眠ってるルーシェンのそばにあいつがいて、ベタベタ触っていて私は王太子妃として役立たずだって……』

「そういうシュウヘイは、雲の谷に行く間、ずっと飛竜でロベルトと二人乗りをしていたと聞いたが。浮島が墜落してからは夜は皆で寄り添って寝ていたとも」

『飛竜が少ないから交代で二人乗りしてたんです。譲二さんにだって乗せてもらいました。ロベルトさんの飛竜はゴツゴツしててかっこいいし……』

 ルーシェンからは前ほどじゃないけど、少しの苛立ちみたいなものを感じる。またケンカになるかもしれないと思ったけど、黙って我慢するのは嫌だったから言い返してしまった。エルヴィンが言ってたことはずっと引っかかっていたし、今は少し体力が戻ったからケンカするならとことんしてやろうと思って。だけどルーシェンが息を吐いて、いつの間にか滲んでいた俺の涙を拭った。

「やめよう。俺が悪かった。だから泣くな。シュウヘイのことは出会った時からずっと信じている。あの夜も攻撃魔法を当てるつもりはなかった。シュウヘイにひどい怪我を負わせてしまって恐ろしかったし反省もしてる。だから機嫌をなおしてくれ」

 そう言ってぎゅっと抱きしめられる。これは反則だ。ポロポロ涙が出た。

『私だって……あんなやつの言うことなんて信じてません。でも、もしも本当にこのままあいつが妃になったら、私は役立たずだから元の世界に帰ります』

「駄目だ。帰るなんて言うな。エルヴィンを妃にはしない。少しの間プライベートエリアに滞在してもらうだけだ」
『それだって本当は嫌です』

 泣きながら訴えると、ルーシェンが子供をあやすみたいに背中を撫でてくれた。


 

 


 

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