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成長
5 魔法
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袋の中で揺さぶられて、ひさひざに卵の中にいた時のことを思い出した。目を閉じて周囲の状況を確認する。エリオットは階段を降りて一階に向かっているみたいだ。みんなが集まっている客間に行くんだろうな。
「飼ってたペットがバラバラになったら、ヒースのやつ泣くだろうな、あははっ」
嬉しそうに独り言を言うエリオットの声を聞いて、つくづく呆れる。そんな生き方をしていて、将来魚や鳥に生まれ変わって後悔してもしらないぞ。
それにしてもバラバラになったら、か。攻撃魔法の練習台にするつもりだな。それならこっちも準備しておかないと。こんなところで死にたくないし、ヒースが悲しむのは嫌だ。
「エリオット、何をやってたの? 遅かったわね。このような古い城に住んだことがないから、興味が湧くのも分かるけど」
「すみません、母上。ネズミが出たので捕まえていました」
「まあ嫌だ。汚らしい。掃除も行き届いていないのね」
「申し訳ありません」
謝っているのはジェイソンだな。
「国王陛下に頼まれていなければ、こんな古びた城には出入りするのも嫌だわ。寒いし虫は多いし召使いは少ないし、病気になりそうよ」
「まあまあ、母上。ネズミを捕まえたのも、出来の悪い弟に魔法を教えるためですよ。俺が見本を見せてやろうかと」
「そうね。次に国王陛下に会う時にヒースの魔法が上達していないと、私まで責められるのよ。最低限の魔法くらい使えないと王族の恥さらしになるわ。ヒース、エリオットにお礼くらい言ったらどう?」
「ありがとうございます……エリオット兄様」
「ふん、可愛げのないやつ。まあいいや、俺のお手本、よく見とけよ」
「エリオット、あなたここで魔法を使うつもりなの? 不味いお茶がますます不味くなるじゃないの」
「大丈夫です。母上、袋に入れてありますから」
エリオットが俺の入っていた袋をどこかへ放り投げた。
「ギュイ!」
床にぶつかって思わず声が出る。いてて。
「カル⁉︎」
ヒースのびっくりした声。同時にエリオットの魔法を唱える声が聞こえた。
魔法にはいろいろと種類がある。これは魔法学で習ったことのある、初歩的な風の魔法だな。エリオットのやつ、どんなすごい攻撃をしてくるかと思ったら、大したことないな。
頭の中に防御の魔法を思い浮かべる。そして吐く息に魔力を乗せた。
「兄様! やめて!」
風に飛ばされて、バリバリと袋が破れる音がする。粉々に裂けた袋から飛び出ると、羽を使って床へ着地した。
「カル!」
ヒースが飛んできて俺を抱きしめる。大丈夫。どこも怪我してないよ。防御魔法を使ったんだ。初めてだけどけっこう上手くできた。
「キューキュー」
泣いているヒースの涙をペロペロ舐めると、甘い味がした。
「飼ってたペットがバラバラになったら、ヒースのやつ泣くだろうな、あははっ」
嬉しそうに独り言を言うエリオットの声を聞いて、つくづく呆れる。そんな生き方をしていて、将来魚や鳥に生まれ変わって後悔してもしらないぞ。
それにしてもバラバラになったら、か。攻撃魔法の練習台にするつもりだな。それならこっちも準備しておかないと。こんなところで死にたくないし、ヒースが悲しむのは嫌だ。
「エリオット、何をやってたの? 遅かったわね。このような古い城に住んだことがないから、興味が湧くのも分かるけど」
「すみません、母上。ネズミが出たので捕まえていました」
「まあ嫌だ。汚らしい。掃除も行き届いていないのね」
「申し訳ありません」
謝っているのはジェイソンだな。
「国王陛下に頼まれていなければ、こんな古びた城には出入りするのも嫌だわ。寒いし虫は多いし召使いは少ないし、病気になりそうよ」
「まあまあ、母上。ネズミを捕まえたのも、出来の悪い弟に魔法を教えるためですよ。俺が見本を見せてやろうかと」
「そうね。次に国王陛下に会う時にヒースの魔法が上達していないと、私まで責められるのよ。最低限の魔法くらい使えないと王族の恥さらしになるわ。ヒース、エリオットにお礼くらい言ったらどう?」
「ありがとうございます……エリオット兄様」
「ふん、可愛げのないやつ。まあいいや、俺のお手本、よく見とけよ」
「エリオット、あなたここで魔法を使うつもりなの? 不味いお茶がますます不味くなるじゃないの」
「大丈夫です。母上、袋に入れてありますから」
エリオットが俺の入っていた袋をどこかへ放り投げた。
「ギュイ!」
床にぶつかって思わず声が出る。いてて。
「カル⁉︎」
ヒースのびっくりした声。同時にエリオットの魔法を唱える声が聞こえた。
魔法にはいろいろと種類がある。これは魔法学で習ったことのある、初歩的な風の魔法だな。エリオットのやつ、どんなすごい攻撃をしてくるかと思ったら、大したことないな。
頭の中に防御の魔法を思い浮かべる。そして吐く息に魔力を乗せた。
「兄様! やめて!」
風に飛ばされて、バリバリと袋が破れる音がする。粉々に裂けた袋から飛び出ると、羽を使って床へ着地した。
「カル!」
ヒースが飛んできて俺を抱きしめる。大丈夫。どこも怪我してないよ。防御魔法を使ったんだ。初めてだけどけっこう上手くできた。
「キューキュー」
泣いているヒースの涙をペロペロ舐めると、甘い味がした。
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