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山小屋の主
5 弟子入り
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ジークが料理を作るのを、暖炉の前でうとうとしながら眺めた。暖かいし美味しい匂いがするし最高だ。それに初めて自分と同じ種族に出会った。こんなに安心していられるのは久々だ。
ジークは斧みたいな刃物で何かの肉を切り分け、乾燥させた植物をまぶしている。かまどには大きな鍋がかけられ、ぐつぐつとお湯の沸く音がする。
じゅうっと音がして、肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。目を閉じ、尻尾をパタパタさせてご飯ができるのを待つ。お金を持ってないけど、ジークはどうして俺に良くしてくれるんだろう。同族だからかな。それとも良い人だから?
「出来たぞ、チビ助」
チビ助じゃなくてカルって名乗ったのに、と思ったけど目の前に置かれた料理を見て跳ね起きた。
手頃な大きさにカットされたお肉とスープ、それに野菜の付け合わせ。すごく美味しそうだ。
「好きなだけ食え」
ジークの許可が出たので思い切りお肉にかぶりついた。ずっと石を食べて回復魔法でしのいでいたから料理がお腹にしみわたる。美味しい。ハフハフ言いながら食べてる俺をジークが椅子に座って眺めていた。
「キュッキュ~」
「そうか。美味いか」
ぺろっと食べてしまうと、眠くなってきた。ヒースの服を探す。ジークが洗おうとしていたけど、俺が探していることを知って暖炉の前に木箱でベッドを作り、ヒースの服も入れてくれた。
(ありがとう、ジーク)
眠くなったので服の中に潜り込んで眠る。ヒースの夢を見られたら嬉しいな。
***
起きたら暖炉の火は小さくなっていて、外は朝になっていた。
「クァ~」
良く寝た。ジークの姿はない。目を閉じて探ると、倉庫にいることが分かったので箱を出る。鍵はかかっていなかったので小屋を出てジークの所に行く。
(おーい、ジーク。起きたぞ)
倉庫は薪の束や色とりどりの鉱石、乾いた植物や袋入りの何か、多種多様な道具でいっぱいだった。ジークは倉庫の真ん中の椅子に座って鉱石を種類別に分けている。ジークはずっと人の姿だけど、ドラゴンの姿にはならないのだろうか。
「おお、チビ助、起きたか。何か食うか?」
(ジークは竜の姿にはならないの?)
「必要な時以外はな。竜の姿だと腹が減る」
(俺も人の姿になりたい)
振り返ったジークは真面目な表情で、俺の目を見た。
「お前、あの大事にしている服の持ち主に会いたいのか」
(うん)
「あれは人間の持ち物だろう。火竜の仲間と一緒に暮らしたいとは思わないのか?」
仲間か。竜の仲間……。たしかに楽しそうだけど。
(やっぱりヒースに会いたいよ。俺を卵から孵してくれた人なんだ)
「そうか」
ジークは少し考えてるみたいだった。
「どうしてもヒースって奴に会いたいなら、お前はまず人の姿になる術を学んだ方がいい。竜は本来の姿では人間の世界では暮らせない」
そうだよな。それは痛感した。王城に行っただけで牢屋に繋がれたし、ヒース達を助けたのに矢で攻撃されたし。
「人間は保守的だ。他の種族に心を許さない。人間社会で暮らしたいなら、人の姿になり、人間社会のルールを学ぶ必要がある。同時に竜の社会のルールもある。竜の仲間の掟に従いながら、人間社会に紛れ込む必要がある。それをしなければ、お前は人間からも竜からも見放されるだろう。分かるな?」
(なんとなく)
「カル、お前俺の弟子にならないか? 俺がお前を一人前の竜になれるまで鍛えてやる。どうだ?」
(ジークみたいに人の姿になれる?)
「もちろん。やり方は教えてやろう」
(なら弟子になる!)
こうして俺は地竜のジークに弟子入りすることになった。
ジークは斧みたいな刃物で何かの肉を切り分け、乾燥させた植物をまぶしている。かまどには大きな鍋がかけられ、ぐつぐつとお湯の沸く音がする。
じゅうっと音がして、肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。目を閉じ、尻尾をパタパタさせてご飯ができるのを待つ。お金を持ってないけど、ジークはどうして俺に良くしてくれるんだろう。同族だからかな。それとも良い人だから?
「出来たぞ、チビ助」
チビ助じゃなくてカルって名乗ったのに、と思ったけど目の前に置かれた料理を見て跳ね起きた。
手頃な大きさにカットされたお肉とスープ、それに野菜の付け合わせ。すごく美味しそうだ。
「好きなだけ食え」
ジークの許可が出たので思い切りお肉にかぶりついた。ずっと石を食べて回復魔法でしのいでいたから料理がお腹にしみわたる。美味しい。ハフハフ言いながら食べてる俺をジークが椅子に座って眺めていた。
「キュッキュ~」
「そうか。美味いか」
ぺろっと食べてしまうと、眠くなってきた。ヒースの服を探す。ジークが洗おうとしていたけど、俺が探していることを知って暖炉の前に木箱でベッドを作り、ヒースの服も入れてくれた。
(ありがとう、ジーク)
眠くなったので服の中に潜り込んで眠る。ヒースの夢を見られたら嬉しいな。
***
起きたら暖炉の火は小さくなっていて、外は朝になっていた。
「クァ~」
良く寝た。ジークの姿はない。目を閉じて探ると、倉庫にいることが分かったので箱を出る。鍵はかかっていなかったので小屋を出てジークの所に行く。
(おーい、ジーク。起きたぞ)
倉庫は薪の束や色とりどりの鉱石、乾いた植物や袋入りの何か、多種多様な道具でいっぱいだった。ジークは倉庫の真ん中の椅子に座って鉱石を種類別に分けている。ジークはずっと人の姿だけど、ドラゴンの姿にはならないのだろうか。
「おお、チビ助、起きたか。何か食うか?」
(ジークは竜の姿にはならないの?)
「必要な時以外はな。竜の姿だと腹が減る」
(俺も人の姿になりたい)
振り返ったジークは真面目な表情で、俺の目を見た。
「お前、あの大事にしている服の持ち主に会いたいのか」
(うん)
「あれは人間の持ち物だろう。火竜の仲間と一緒に暮らしたいとは思わないのか?」
仲間か。竜の仲間……。たしかに楽しそうだけど。
(やっぱりヒースに会いたいよ。俺を卵から孵してくれた人なんだ)
「そうか」
ジークは少し考えてるみたいだった。
「どうしてもヒースって奴に会いたいなら、お前はまず人の姿になる術を学んだ方がいい。竜は本来の姿では人間の世界では暮らせない」
そうだよな。それは痛感した。王城に行っただけで牢屋に繋がれたし、ヒース達を助けたのに矢で攻撃されたし。
「人間は保守的だ。他の種族に心を許さない。人間社会で暮らしたいなら、人の姿になり、人間社会のルールを学ぶ必要がある。同時に竜の社会のルールもある。竜の仲間の掟に従いながら、人間社会に紛れ込む必要がある。それをしなければ、お前は人間からも竜からも見放されるだろう。分かるな?」
(なんとなく)
「カル、お前俺の弟子にならないか? 俺がお前を一人前の竜になれるまで鍛えてやる。どうだ?」
(ジークみたいに人の姿になれる?)
「もちろん。やり方は教えてやろう」
(なら弟子になる!)
こうして俺は地竜のジークに弟子入りすることになった。
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