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学園潜入
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町の人に学園の場所を聞いて、お昼前にはたどり着いた。
学園も町の外壁のようなしっかりした壁で囲まれてる。これじゃ中が見えないな。青い門の横には小屋がくっついていて、小窓から守衛のようなおじさんが外を見ていた。
「こんにちは。ここはケセルジュの魔法学園ですか?」
「そうだが、何だお前は」
「中に入りたいけどいいですか」
「知り合いでもいるのか?」
「はい。ヒース王子と知り合いです」
そういうと、おじさんはじろじろと俺の格好を上から下まで眺めた。
「帰れ帰れ。ここは庶民には縁のない所だ」
「ちょっと入るだけでいいんですけど」
「子供だから最初は勘弁してやるが、しつこくするなら警備兵に引き渡すぞ」
冷たくあしらわれたので、諦めて門の前から撤退する。警備兵には捕まりたくない。前回も牢屋から出るのには苦労したし。何か他の方法を探そう。
作戦を練るため、学園の前にある小さなお店『喫茶ねこの手』に入ると、パン生地にお肉が挟まれた料理を注文した。それからトロッとしたミルク風味のスープも。ジークさんには大きくなれないと言われたけど、赤ちゃんの頃からご飯としてもらっていたパンやミルクがいまだに大好きでやめられない。
ゆっくりパンを食べ、お店の窓から学園の門を眺める。誰も出てくる気配がない。門はかたく閉ざされ、馬車の一台も通らなかった。
「この町は初めてかい?」
ぼんやりしていると猫の刺繍のエプロンをした店員さんに話しかけられた。
「あ、はい」
「そうか。ここはいい町だよ。王都には近いし、北の方ほど雪が降るわけでもない。商売が盛んで治安も悪くない。大きな建物がたくさんあるだろう? 豪華だから見てまわるだけで楽しいと思うよ」
「あの、あそこに見える建物は」
「あれはケセルジュの魔法学園さ。学園といっても王族や貴族の御子息や御令嬢が通う特別な学校だ。庶民は一握りの金持ちしか通えない」
店員さんはこの小さな店のマスターらしく、お店に俺しかお客がいないからいろいろなことを教えてくれた。
「知り合いがいるんだけど、入れてもらえないんだ。どうしたらいいかな」
「知り合いって、従業員かい? それなら住み込みで働いているから休みの日しか外には出られないと思うよ。仕事によっては半年に一度しか休みがないというから、どうしても会いたいなら、職業斡旋所に行ってみたらどうかな。学園内で働く人を募集していると思うよ」
そうか、学生として入るのが無理なら従業員として入ればいいのか。
「そうします! ありがとう」
お礼を言うと、マスターの表情が少しくもった。
「ただ、聞いた話だけど、せっかく仕事が決まってもすぐに辞める人が多いらしいよ。仕事内容が過酷なのかも。斡旋所の人に詳しく聞いてごらん」
「分かったよ」
俺は火竜だから、過酷な仕事内容なんてヒースに会えることを考えたらなんてことないな。
マスターにお礼を言って職業斡旋所に向かう事にした。
学園も町の外壁のようなしっかりした壁で囲まれてる。これじゃ中が見えないな。青い門の横には小屋がくっついていて、小窓から守衛のようなおじさんが外を見ていた。
「こんにちは。ここはケセルジュの魔法学園ですか?」
「そうだが、何だお前は」
「中に入りたいけどいいですか」
「知り合いでもいるのか?」
「はい。ヒース王子と知り合いです」
そういうと、おじさんはじろじろと俺の格好を上から下まで眺めた。
「帰れ帰れ。ここは庶民には縁のない所だ」
「ちょっと入るだけでいいんですけど」
「子供だから最初は勘弁してやるが、しつこくするなら警備兵に引き渡すぞ」
冷たくあしらわれたので、諦めて門の前から撤退する。警備兵には捕まりたくない。前回も牢屋から出るのには苦労したし。何か他の方法を探そう。
作戦を練るため、学園の前にある小さなお店『喫茶ねこの手』に入ると、パン生地にお肉が挟まれた料理を注文した。それからトロッとしたミルク風味のスープも。ジークさんには大きくなれないと言われたけど、赤ちゃんの頃からご飯としてもらっていたパンやミルクがいまだに大好きでやめられない。
ゆっくりパンを食べ、お店の窓から学園の門を眺める。誰も出てくる気配がない。門はかたく閉ざされ、馬車の一台も通らなかった。
「この町は初めてかい?」
ぼんやりしていると猫の刺繍のエプロンをした店員さんに話しかけられた。
「あ、はい」
「そうか。ここはいい町だよ。王都には近いし、北の方ほど雪が降るわけでもない。商売が盛んで治安も悪くない。大きな建物がたくさんあるだろう? 豪華だから見てまわるだけで楽しいと思うよ」
「あの、あそこに見える建物は」
「あれはケセルジュの魔法学園さ。学園といっても王族や貴族の御子息や御令嬢が通う特別な学校だ。庶民は一握りの金持ちしか通えない」
店員さんはこの小さな店のマスターらしく、お店に俺しかお客がいないからいろいろなことを教えてくれた。
「知り合いがいるんだけど、入れてもらえないんだ。どうしたらいいかな」
「知り合いって、従業員かい? それなら住み込みで働いているから休みの日しか外には出られないと思うよ。仕事によっては半年に一度しか休みがないというから、どうしても会いたいなら、職業斡旋所に行ってみたらどうかな。学園内で働く人を募集していると思うよ」
そうか、学生として入るのが無理なら従業員として入ればいいのか。
「そうします! ありがとう」
お礼を言うと、マスターの表情が少しくもった。
「ただ、聞いた話だけど、せっかく仕事が決まってもすぐに辞める人が多いらしいよ。仕事内容が過酷なのかも。斡旋所の人に詳しく聞いてごらん」
「分かったよ」
俺は火竜だから、過酷な仕事内容なんてヒースに会えることを考えたらなんてことないな。
マスターにお礼を言って職業斡旋所に向かう事にした。
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