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学園潜入
17 俺は子供
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洗濯物を取りこむ時間になんとか間に合った。倉庫に行って塗り薬を取って戻ったからギリギリにはなったけど。
洗濯物を大量に取り込んで仕分け。綺麗になった衣類や布を決められた位置に配り、洗い物を回収する箱を設置。明日の洗濯の準備と洗い場の片付けをすれば今日の仕事は終わり。
大部屋に戻るとトムが待っていた。
「トム、仕事どうだった?」
「うんまあ、庭園の作業よりずっと楽だったよ。でも階段を拭いてるとやっぱり腰が痛くてさ」
「そっか」
「ごめん、お前は洗濯場だったから俺よりキツイよな」
「全然そんなことなかった。半分くらい遊んでたし」
「えっ、本当か? もしかして洗濯場の方が楽だったのか……」
ぶつぶつ言ってるけど、トムはそもそも力仕事向いてなさそうだよな。
「ご飯食べてお風呂に行こう」
食堂で豆と野菜の料理をどっさり食べていると、トムが俺の顔を見ながら思い出したように言った。
「そういえばさ、ヒース王子が」
「え?」
「仕事中に来たんだ。俺、監督官に呼ばれて行ったら王子がいてさ、お前のこと聞かれたから、代わってもらったって話したんだけど」
「ヒース、何か言ってた?」
「何も。今日は洗濯場に行ってるって話したら、何か考えてたよ。話して良かったか?」
「そっか。分かった」
ヒース、俺のこと気にしてくれてたんだな。
「明日は俺、ちゃんと決まった場所に行くからお前は掃除の方にいけよ。俺のこと考えなくていいからさ」
「トムはそれでいいの?」
「ああ」
二人でお風呂に行き、一日の疲れを洗い流す。身体を拭く布は俺が今日干していた物だ。着ていた作業服は、回収箱に入れておけば明日誰かが洗ってくれるんだろうな。
身体を洗いながら、自分の人間の身体をマジマジと眺める。つるんとしていて、どこにもあまり毛が生えていない。近くにいる熊みたいなおじさんは、胸にも腕にも足にもお腹にも毛がはえてるけど、それとは全然違う。俺の顔は童顔で、肌は日焼けしていて髪は赤茶色。目が大きくて、口も大きくて男らしさも、もちろん女らしさもない。ジェイソンやジークさんみたいに筋肉も渋さもないし、ヒースみたいな美しさもない。
今日エリオットに襲われそうになった時、前世の性に関する記憶が稲妻のように頭の中を駆け抜けた。でも駆け抜けたのは知識だけで、それがどんな感覚だったのかは覚えていない。何かとても気持ちのいい体験だった気がする。知識はあっても何も覚えていないし、そもそも前世の自分の顔も、男か女かすらも分からない。頭では分かってるのに、体験は忘れてるって、もう完全に童貞と同じだな。今なら、昨日トムが俺を見て子供だって言っていた理由もわかる。俺は子供だ。別に子供でもいいんだけど、俺のどこに魅力を感じてエリオットは襲おうと思ったんだろう。誰でも良かったのかな。
「はぁぁ……」
ため息がでる。卵から育ててくれたから親や家族としてヒースが好きなんだと思っていたけど、違うみたいだ。気持ちいいことをするなら相手はヒースがいい。育ての親だとか恩があるからとか、そんな言葉ではこの気持ちを現すのに全然足りない。ヒースは俺の全てなんだ。
洗濯物を大量に取り込んで仕分け。綺麗になった衣類や布を決められた位置に配り、洗い物を回収する箱を設置。明日の洗濯の準備と洗い場の片付けをすれば今日の仕事は終わり。
大部屋に戻るとトムが待っていた。
「トム、仕事どうだった?」
「うんまあ、庭園の作業よりずっと楽だったよ。でも階段を拭いてるとやっぱり腰が痛くてさ」
「そっか」
「ごめん、お前は洗濯場だったから俺よりキツイよな」
「全然そんなことなかった。半分くらい遊んでたし」
「えっ、本当か? もしかして洗濯場の方が楽だったのか……」
ぶつぶつ言ってるけど、トムはそもそも力仕事向いてなさそうだよな。
「ご飯食べてお風呂に行こう」
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「そういえばさ、ヒース王子が」
「え?」
「仕事中に来たんだ。俺、監督官に呼ばれて行ったら王子がいてさ、お前のこと聞かれたから、代わってもらったって話したんだけど」
「ヒース、何か言ってた?」
「何も。今日は洗濯場に行ってるって話したら、何か考えてたよ。話して良かったか?」
「そっか。分かった」
ヒース、俺のこと気にしてくれてたんだな。
「明日は俺、ちゃんと決まった場所に行くからお前は掃除の方にいけよ。俺のこと考えなくていいからさ」
「トムはそれでいいの?」
「ああ」
二人でお風呂に行き、一日の疲れを洗い流す。身体を拭く布は俺が今日干していた物だ。着ていた作業服は、回収箱に入れておけば明日誰かが洗ってくれるんだろうな。
身体を洗いながら、自分の人間の身体をマジマジと眺める。つるんとしていて、どこにもあまり毛が生えていない。近くにいる熊みたいなおじさんは、胸にも腕にも足にもお腹にも毛がはえてるけど、それとは全然違う。俺の顔は童顔で、肌は日焼けしていて髪は赤茶色。目が大きくて、口も大きくて男らしさも、もちろん女らしさもない。ジェイソンやジークさんみたいに筋肉も渋さもないし、ヒースみたいな美しさもない。
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「はぁぁ……」
ため息がでる。卵から育ててくれたから親や家族としてヒースが好きなんだと思っていたけど、違うみたいだ。気持ちいいことをするなら相手はヒースがいい。育ての親だとか恩があるからとか、そんな言葉ではこの気持ちを現すのに全然足りない。ヒースは俺の全てなんだ。
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