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三人の王子
3 手紙、どこにやったっけ?
エリオットは驚いた顔で俺を見ていたけど、いきなり笑い出した。何がおかしいんだろう。こっちはせっかくの服をボロボロにされて泣きそうなのに。
「……想像以上に強いな。ますます気に入った」
土の上に落ちた服の残骸を拾い集めて途方に暮れる。これじゃあ着られない。どうしよう。
「おい、傷より服の心配か。俺に背を向けて随分と余裕だな」
「ヒースの兄さんだから今回は許してやるけど、また酷いことをするんなら俺だって容赦しないからな」
振り向いて睨むとエリオットは口をつぐんだ。
とりあえずここから逃げよう。エリオットが面倒くさい。服を抱えて裏庭から出る。幸い追いかけてはこないみたいだ。来たらもう一度投げ飛ばすけどな。
そして歩いているうちに閃いた。洗濯場のおばちゃん達なら服を直してもらえるかも。
そのまま従業員棟の洗濯場に直行する。洗濯場では今日も大きな布や作業服がたくさん干されて風にはためいていた。おばちゃん達は座っておしゃべりしながら休憩していたけど、俺を見て慌てて立ち上がる。覚えていてくれたみたいだ。
「まあまあ、カル君じゃないの……! どうしたのよ、その傷」
「こんにちは」
「はやくこっちへ来て。ここに座りなさい、薬を塗るわ」
「傷なら後でどうにかするから大丈夫だよ」
「嘘おっしゃい。血がこびりついてるわ」
何故かよってたかって顔や身体を拭かれ、薬を塗られて包帯を巻かれた。後で回復魔法で治そうと思ってたけど、せっかく塗ってくれるからそのままにする。
「誰にやられたの?」
一人のおばちゃんが心配そうに聞いてきたけど、仲間のおばちゃんが止める。
「よしなさいよ。カル君にもいろいろあるのよ」
「そうね、いきなり王族の付き人になったから……」
「あの人たちは身分の低い者達をいじめて鬱憤をはらしているのよ」
「カル君、辛かったらやめてもいいのよ」
「また洗濯場にいらっしゃい」
「大丈夫だよ。今はとても楽しいんだ。嫌がらせする人もたまにいるけど。ところでこの服なんだけど、元に戻るかな」
おばちゃん達は俺の持っていた服の残骸を見て、あらぁとかまぁとかいろいろ声を上げていたけど、みんな首を振った。
「こんな上等な仕立ての服を切り刻むなんて酷いことをするもんだね。残念だけどこれはもう直らないわ。無事なところを使って別のものに仕立て直すくらいしか。でも無事なところも少ないわね」
「そっか……」
おばちゃん達でも無理なのか。
「ごめんなさいね。作業服と違うからつぎはぎにするわけにもいかないのよ」
「分かったよ。ありがとう」
服のことは正直にヒースに言って謝ろう。それより手紙を出しに行かないと。お昼までに戻らないとヒースの昼食の準備ができない。
手紙……どこにしまってたっけ。
確か上着のポケットに。
ボロボロになった上着のポケットに手紙は入っていなかった。裏庭に落としたのか? まさか、上着と一緒に切られたとか。
さあっと血の気がひく音が聞こえたような気がした。手紙をなくすなんて最悪だ。
「おばちゃん、ありがとう! また来る」
出て行こうとしたら作業服を渡された。ここで一番上等な作業服らしい。包帯姿だと痛々しいみたいだ。もうぜんぜん痛くないけど。
作業服を着て再び裏庭に戻る。裏庭はあらためて見ると、壁には亀裂が走って一部が崩れているし、大木の枝や葉っぱが切り刻まれてあちこちに散乱してる。これを従業員のみんながまた修復することになるんだろうな。つくづく迷惑なエリオットだ。
枝をかき分け、石ころをどかして手紙を探す。どうしよう、どこにもない。
「……想像以上に強いな。ますます気に入った」
土の上に落ちた服の残骸を拾い集めて途方に暮れる。これじゃあ着られない。どうしよう。
「おい、傷より服の心配か。俺に背を向けて随分と余裕だな」
「ヒースの兄さんだから今回は許してやるけど、また酷いことをするんなら俺だって容赦しないからな」
振り向いて睨むとエリオットは口をつぐんだ。
とりあえずここから逃げよう。エリオットが面倒くさい。服を抱えて裏庭から出る。幸い追いかけてはこないみたいだ。来たらもう一度投げ飛ばすけどな。
そして歩いているうちに閃いた。洗濯場のおばちゃん達なら服を直してもらえるかも。
そのまま従業員棟の洗濯場に直行する。洗濯場では今日も大きな布や作業服がたくさん干されて風にはためいていた。おばちゃん達は座っておしゃべりしながら休憩していたけど、俺を見て慌てて立ち上がる。覚えていてくれたみたいだ。
「まあまあ、カル君じゃないの……! どうしたのよ、その傷」
「こんにちは」
「はやくこっちへ来て。ここに座りなさい、薬を塗るわ」
「傷なら後でどうにかするから大丈夫だよ」
「嘘おっしゃい。血がこびりついてるわ」
何故かよってたかって顔や身体を拭かれ、薬を塗られて包帯を巻かれた。後で回復魔法で治そうと思ってたけど、せっかく塗ってくれるからそのままにする。
「誰にやられたの?」
一人のおばちゃんが心配そうに聞いてきたけど、仲間のおばちゃんが止める。
「よしなさいよ。カル君にもいろいろあるのよ」
「そうね、いきなり王族の付き人になったから……」
「あの人たちは身分の低い者達をいじめて鬱憤をはらしているのよ」
「カル君、辛かったらやめてもいいのよ」
「また洗濯場にいらっしゃい」
「大丈夫だよ。今はとても楽しいんだ。嫌がらせする人もたまにいるけど。ところでこの服なんだけど、元に戻るかな」
おばちゃん達は俺の持っていた服の残骸を見て、あらぁとかまぁとかいろいろ声を上げていたけど、みんな首を振った。
「こんな上等な仕立ての服を切り刻むなんて酷いことをするもんだね。残念だけどこれはもう直らないわ。無事なところを使って別のものに仕立て直すくらいしか。でも無事なところも少ないわね」
「そっか……」
おばちゃん達でも無理なのか。
「ごめんなさいね。作業服と違うからつぎはぎにするわけにもいかないのよ」
「分かったよ。ありがとう」
服のことは正直にヒースに言って謝ろう。それより手紙を出しに行かないと。お昼までに戻らないとヒースの昼食の準備ができない。
手紙……どこにしまってたっけ。
確か上着のポケットに。
ボロボロになった上着のポケットに手紙は入っていなかった。裏庭に落としたのか? まさか、上着と一緒に切られたとか。
さあっと血の気がひく音が聞こえたような気がした。手紙をなくすなんて最悪だ。
「おばちゃん、ありがとう! また来る」
出て行こうとしたら作業服を渡された。ここで一番上等な作業服らしい。包帯姿だと痛々しいみたいだ。もうぜんぜん痛くないけど。
作業服を着て再び裏庭に戻る。裏庭はあらためて見ると、壁には亀裂が走って一部が崩れているし、大木の枝や葉っぱが切り刻まれてあちこちに散乱してる。これを従業員のみんながまた修復することになるんだろうな。つくづく迷惑なエリオットだ。
枝をかき分け、石ころをどかして手紙を探す。どうしよう、どこにもない。
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