ポメラニアン魔王

カム

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三 タケルの話

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「それほど邪魔をされたら、君も魔王の仲間と見なさなければならなくなる。だからはやくそこをどいてくれ。君を傷つけたくない」

「勇者様、私が足止めいたしますわ」

 美人の賢者さんがそう言って長い杖をこちらに向けた。杖の先からいつか見たような光がほとばしる。
 覚悟を決めて目を閉じたけど、誰かの腕に抱き寄せられて衝撃は襲って来なかった。

「あ、あれ……?」

 気がついたらポメの腕の中だった。賢者さんが怖い顔をして睨んでいる。ポメはふんと鼻を鳴らした。

「勇者よ、大人しく消滅するからタケルには手を出すな。それから最期に一つだけ頼みがある。タケルはお前のことが好きだと言っているから、私を倒した後は、タケルをお前の特別にしてやってくれないか?」

 特別……。
 そうか、俺が誰かの特別になりたいって言ってたことを、ポメは今も叶えてくれようとしてるんだな。

「嫌だ。ポメ、そんなことよりポメが死ぬ方が嫌なんだ」
「いつまでも甘えたことを言うな」

 ポメはよしよしと俺の頭を撫でてくれた。いつも子犬の時に俺が撫でてやってたのに。

 俺は春樹さんと、それからポメの顔を見比べた。二人とも何故か吹っ切れたような笑顔で、泣いているのは俺だけだ。

 「了解した。魔王の最期の望みだ。聞いてやろう」

「春樹さん! やめてください!」

 春樹さんは俺の静止に耳を貸すことなく、勇者の剣を振り下ろした。
 凄まじい光量と、竜巻のような突風が巻き起こり、俺はなすすべもなく意識を失った。
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