魔王降臨!勇者を討伐に行ってきます!

韋駄天

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魔王の回想

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現在、魔王達は砂漠の真っ只中で立ち往生していた。
「もう何回目だが分からんが何故にこうなった!!!」
「他にネタはないんですかウオマさん。語彙力が足りません」
「いや冷静に突っ込んでる所悪いけど今ちょっとガチな非常事態なんでしっかりしましょうよ!?リーナちゃんが心細そうに涙流してますよ!?」
「何ぃ!?それは一大事だ!リーナちゃん心配するな!俺達がついてる!」
「リーナさん。泣かないでください。ここはウオマさんが何とかしますので」
「そこをもうちょっと自分でなんかしようよクレイ!」
「脱線しないでくれません!?」
只今絶賛漫才中の魔王一味。
若干状況に対してそんなに慌てた素振りは見せていないが、愉快で少々というか多少、いや、かなり頭に問題がある面子だが、いつも以上に獣人の少女を可愛がっている所を見ると、やはりというか、流石の歴戦の戦士達も少々緊張していると伺える。
恒例の回想シーン、行きます!

新・魔王一行は街道に沿って移動していた。
「いやー、やっぱ平和だな!」
「そんなのウオマさんが放っている威圧の効果で近隣の魔物が全て委縮しちゃって出てこないだけでしょう」
「違いねぇ!」
「そ、そうなんですか?てっきり外の世界は血で血を洗うどす黒い穢れ荒廃しきって常に戦争をしている魔物の溢れる世界だと聞いていたのですが。。。」
「どんだけ過保護だったんだ犬人族!」
「そんだけ昔の森の外の環境が悪かったのか。。。」
「余程今の世代には辛い思いをさせずに森で幸せに暮らしていて欲しかったんですね」
「テンション違いすぎて自分が空気読めてない奴みたいな雰囲気にするのやめてくんない!?」

魔王が快晴の大空を仰ぎながら平和を噛みしめる発言をすると、クレイが至極まともな指摘を入れそれにアランが同意する。
しかしそんな平和そうな三人を見た新人リーナが今まで教えられてきた外の世界についての常識を口にし三者三様の突っ込みを入れられたじろぐ。
そして自分だけ陽気な反応をしたことに多少罪悪感を感じながら魔王が相棒二人に文句を言う。

「あの、森の外って常日頃から敵と戦って四六時中魔物を相手取って命がいつふいに消されたとしても不思議じゃない所じゃないんですか?」
生まれも育ちも故郷の森であって一度も村から出たことすらないリーナが無邪気な質問をする。

「実はな、リーナちゃん、それはあくまで二十年前一時的にそういう国際情勢の危うい時代があっただけでその戦争では人族が勝ちやがって大陸全土を統一したから平和になったんだよ。だから今の時代もうそんなものに怯えて暮らす日々はもう心配しなくてもいいんだよ。勿論、魔物は出現するが、そこまで危険はない!何せ俺らがいるからな!俺たちの倒せない相手なんていねぇ!」
「正しくはウオマさんに倒せない相手はいない、ですね。僕らはまだ未熟です。特にアランさんは」
「俺の方がお前より強いじゃんか!」
「いや、アラン。よく考えろ。クレイが強い。」
「畜生!」
魔王が少々世間知らずな箱入り娘に最近の世間常識を伝えると、最後の意見を少しばかり修正するクレイ。
そのセリフの最後の事実という名の嫌味を聞くとアランが憤慨する。
しかし、やはりアランはいじられキャラなのか、というか本当に弱いのか、魔王からのクレイへの援護射撃に悪態を吐く。

実際、アランとクレイが正面戦闘をしたとしたら、白旗を上げるのはアランとなるだろう。
何故なら、そもそもクレイがウオマについてきた理由は強くなる為である。
不死身の魔王に訓練をつけられ、更には日頃の鍛錬の褒美として短刀型の魔剣を授かった日には戦闘力が大幅に強化された。
今のクレイの単独の戦闘能力は旧魔王軍の参謀シュムトに僅かに劣る程のレベルまで達している。
自分では倒せない敵が数多くいると公言しているが、今や人類でも上位に属する強者である。
未だその力を試すに値する強敵が出現してない為無自覚だが、旅の当初とは比べ物にならない程の覇気を纏っている。

そのクレイも今は猛者であるが、アランも引けを取らない。
アランは元が既にかなり強かったので、ウオマは特に稽古をつけなかったが、もし魔王が彼も直々に鍛えたらアランも魔力保有量以外は魔王軍の幹部級の実力を身に着けるだろう。

「ま、結局は俺が最強って話で全部丸く収まるんだけどね!」
「結論が尖り切ってんだろうが!」
「否定はしません」
「う、ウオマさんはお強いんですね!」
最終的な満場一致の結論で場を結ぼうとすると、仲間三人がそれぞれの反応をする。
そしてその中でも一つ魔王的にとても気に入った意見があったのでそれに返答する。

「おう、俺は強いぞ?多分お前ら全員が思っているよりずっとな!」
「そんな方についていけて光栄です!」
「……よし!その意気気に入った!お前にも修行つけてやろう!」

そして、意図せずに犬人の少女は地獄の鍛錬への道を切り開いてしまった。


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