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序章 予選
その3 ものぐさ三銃士
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「簡単に言うとね。あたしたちのプロモーションビデオを撮って、それを公式HPの専用ページにアップするの。そして、それを閲覧数と”うまいね”の数の上位から出場する枠なの」
あれ、嫌な予感が外れた。意外とまともだった。
「ねえ、なでちゃん。その上位って一番じゃないとだめなの?」
蘭子が部長に尋ねる。
「一番なら確実だろうけど、公式には枠数は明記されていないわ」
「ああ、出場を打診している料理人が出てくれるかどうかで変わるって事か。世知辛いな」
「なるほどね~、りっくんかしこい!」
「まあ、東京DXテレビや番組スポンサーの懐事情は別にして、私たちは出来る事をするわよ!」
「でも、具体的にどんな内容を撮るんだ? 自己紹介でもするのか?」
「簡単な自己紹介は最初の1分に入れるけど、内容は私たちの模擬戦をアップするわ。陸! 蘭子ちゃん! あなたたち二人で★超絶! 悶絶! 料理バトル!★のルールで対決しなさい!」
カメラを覗きながら、俺達ふたりを指さし、部長が命令する。
「いいよ~、でも、あたしが勝っちゃうと思うな~」
「ほほう、蘭子さんや、俺では相手にならないと?」
「他の事ならあたしが負けちゃうけど、料理なら負けないよ~。だって旦那さんより料理が下手な奥さんなんて恥ずかしいじゃない」
さらりとアプローチしてくるのは置いといて、蘭子の自信は分かる。
俺の分析では単純な料理勝負なら話にならない。俺の惨敗だ。
だが、この★超絶! 悶絶! 料理バトル!★のルールならば!
俺は部長を見つめる。
部長も分かったように頷く。
「そう、それじゃ蘭子ちゃん、陸にちょっとハンデを与えても良い?」
「いいよ~、どんなハンデ?」
「普通は『食材』『料理』『テーマ』から互いにひとつ選ぶのだけれど、蘭子ちゃんの分は代わりに私が選んでもいい?」
さすが部長、わかってるぅ!
「いいよ~」
「よし! じゃあ陸、じゃんけんで先攻と後攻を決めましょうか」
「部長が先攻か後攻か好きな方を選んで良いですよ。ハンデは少しでも減らさないとね」
「そう、じゃあ先攻で『料理』を選ぶわ」
そう言って、部長はメモを取り出し何かを書き始めた。 きっと料理名を書いているのだろう。
「じゃあ、俺は『テーマ』を選びますね」
俺もメモを一枚拝借し、テーマを書き込む。
「じゃあ、オープンするよ~」
折りたたまれた二枚の紙を手に取り、蘭子がそれを開く。
「じゃーん、勝負は『料理:おかゆ』と『テーマ:ものぐささんのための超絶! 手抜き料理!』でした~」
よし! 俺は心の中でガッツポーズを取る。
普通なら勝ち目は無いが、これなら勝負になる。勝利も見える。
「じゃあ、私は映像研に声かけて、審査員を連れて来るから、あんた達は食材の買い出しとかの準備をしといて。一時間後に勝負開始ね」
そう言って部長は廊下へ駆けて行った。
さてと、晩御飯の食材の調達と勝負の食材を買いに行くか。
「蘭子、俺はとくとくマートに買い物に行くが、一緒に行くか?」
とくとくマートは学園から自転車で十分の所にある特売スーパーである。
いつもなら帰り道に寄る所だ。
「うん、一緒にいこっ」
蘭子が嬉しそうに腕を組んでくる。うん、でかいな、腕に当たる胸が。
◇◇◇◇◇
スーパーで俺は買い物かごに食材を入れる、ひき肉、人参、卵、さつま揚げ、ショウガ、玉ねぎ、ジャガイモ。
ひき肉はキロで買う、もちろん無料のドライアイスも忘れずに入れてもらう。
今日は家に戻るまでに時間が掛かるからな。
蘭子はめんつゆとチューブ生姜だけを買っている。
「珍しいな蘭子がチューブ生姜を買うなんて」
「手抜き料理だからね。いつもなら、りっくんと同じ生で買うよ」
そうか、勝負用なのか。
「りっくんは、いっぱい買ったね。手抜き料理じゃなかったの?」
「これはガキどもの晩御飯さ、勝負用はこれだけさ」
そう言って俺はさつま揚げだけのレシートをひらひらさせる。
これは部費で払うのだ。だからレシートは別にしている。
そして余った食材をもらって家計の足しにするのだ。
もちろん部長の許可は取るし、金額的にも大した事はない、だけど少ない材料はちょっとした一品を作るのに非常に役立つのだ。
一日三十品目とまではいかないが、バランスの良い食事をガキどもには取らせてやりたい。
だから好き嫌いせずに残さないでくれよ。兄ちゃんの愛情なんだから。
◇◇◇◇◇
部室の隣の家庭科室に帰ると、映像研の部員が撮影の準備をしていた。
「よっ、花屋敷、準備は万端だぜ」
こいつはクラスメイトの江戸川、アイドルオタクで俺にいつも無駄な知識を授けてくれる。
「よう、江戸川、お前も難儀だな。部長に無理をいわれたんだろ」
「なーに蘭子ちゃんを撮れるなら、光の速さで明日へダッシュさ」
「うん、そのまま事象の地平から帰ってこないでね」
蘭子が冷たい目をして言う。
「あちゃー、相変わらず手厳しい」
こんなやりとりも毎度の事だ。
ガラッ
扉が開き、部長が帰ってきた。三人の女生徒を連れて、彼女たちが審査員なのだろう。
「ものぐさ三銃士を連れて来たわよ!」
「ものぐさ三銃士!?」
「ミニマリストの勇優」
「家具を無くせば、全部ゴミにして捨てれるじゃない」
「二日目の実子」
「ああ~、つらーい、だるーい、おなかいたーい、息をするのもめんどくさーい」
「三度の飯と昼寝が大好き子の康乃」
「寝て、起きて、食べて寝る、それがあたしの生き様よ」
うん、間違いない、部長の友人だ。
あれ、嫌な予感が外れた。意外とまともだった。
「ねえ、なでちゃん。その上位って一番じゃないとだめなの?」
蘭子が部長に尋ねる。
「一番なら確実だろうけど、公式には枠数は明記されていないわ」
「ああ、出場を打診している料理人が出てくれるかどうかで変わるって事か。世知辛いな」
「なるほどね~、りっくんかしこい!」
「まあ、東京DXテレビや番組スポンサーの懐事情は別にして、私たちは出来る事をするわよ!」
「でも、具体的にどんな内容を撮るんだ? 自己紹介でもするのか?」
「簡単な自己紹介は最初の1分に入れるけど、内容は私たちの模擬戦をアップするわ。陸! 蘭子ちゃん! あなたたち二人で★超絶! 悶絶! 料理バトル!★のルールで対決しなさい!」
カメラを覗きながら、俺達ふたりを指さし、部長が命令する。
「いいよ~、でも、あたしが勝っちゃうと思うな~」
「ほほう、蘭子さんや、俺では相手にならないと?」
「他の事ならあたしが負けちゃうけど、料理なら負けないよ~。だって旦那さんより料理が下手な奥さんなんて恥ずかしいじゃない」
さらりとアプローチしてくるのは置いといて、蘭子の自信は分かる。
俺の分析では単純な料理勝負なら話にならない。俺の惨敗だ。
だが、この★超絶! 悶絶! 料理バトル!★のルールならば!
俺は部長を見つめる。
部長も分かったように頷く。
「そう、それじゃ蘭子ちゃん、陸にちょっとハンデを与えても良い?」
「いいよ~、どんなハンデ?」
「普通は『食材』『料理』『テーマ』から互いにひとつ選ぶのだけれど、蘭子ちゃんの分は代わりに私が選んでもいい?」
さすが部長、わかってるぅ!
「いいよ~」
「よし! じゃあ陸、じゃんけんで先攻と後攻を決めましょうか」
「部長が先攻か後攻か好きな方を選んで良いですよ。ハンデは少しでも減らさないとね」
「そう、じゃあ先攻で『料理』を選ぶわ」
そう言って、部長はメモを取り出し何かを書き始めた。 きっと料理名を書いているのだろう。
「じゃあ、俺は『テーマ』を選びますね」
俺もメモを一枚拝借し、テーマを書き込む。
「じゃあ、オープンするよ~」
折りたたまれた二枚の紙を手に取り、蘭子がそれを開く。
「じゃーん、勝負は『料理:おかゆ』と『テーマ:ものぐささんのための超絶! 手抜き料理!』でした~」
よし! 俺は心の中でガッツポーズを取る。
普通なら勝ち目は無いが、これなら勝負になる。勝利も見える。
「じゃあ、私は映像研に声かけて、審査員を連れて来るから、あんた達は食材の買い出しとかの準備をしといて。一時間後に勝負開始ね」
そう言って部長は廊下へ駆けて行った。
さてと、晩御飯の食材の調達と勝負の食材を買いに行くか。
「蘭子、俺はとくとくマートに買い物に行くが、一緒に行くか?」
とくとくマートは学園から自転車で十分の所にある特売スーパーである。
いつもなら帰り道に寄る所だ。
「うん、一緒にいこっ」
蘭子が嬉しそうに腕を組んでくる。うん、でかいな、腕に当たる胸が。
◇◇◇◇◇
スーパーで俺は買い物かごに食材を入れる、ひき肉、人参、卵、さつま揚げ、ショウガ、玉ねぎ、ジャガイモ。
ひき肉はキロで買う、もちろん無料のドライアイスも忘れずに入れてもらう。
今日は家に戻るまでに時間が掛かるからな。
蘭子はめんつゆとチューブ生姜だけを買っている。
「珍しいな蘭子がチューブ生姜を買うなんて」
「手抜き料理だからね。いつもなら、りっくんと同じ生で買うよ」
そうか、勝負用なのか。
「りっくんは、いっぱい買ったね。手抜き料理じゃなかったの?」
「これはガキどもの晩御飯さ、勝負用はこれだけさ」
そう言って俺はさつま揚げだけのレシートをひらひらさせる。
これは部費で払うのだ。だからレシートは別にしている。
そして余った食材をもらって家計の足しにするのだ。
もちろん部長の許可は取るし、金額的にも大した事はない、だけど少ない材料はちょっとした一品を作るのに非常に役立つのだ。
一日三十品目とまではいかないが、バランスの良い食事をガキどもには取らせてやりたい。
だから好き嫌いせずに残さないでくれよ。兄ちゃんの愛情なんだから。
◇◇◇◇◇
部室の隣の家庭科室に帰ると、映像研の部員が撮影の準備をしていた。
「よっ、花屋敷、準備は万端だぜ」
こいつはクラスメイトの江戸川、アイドルオタクで俺にいつも無駄な知識を授けてくれる。
「よう、江戸川、お前も難儀だな。部長に無理をいわれたんだろ」
「なーに蘭子ちゃんを撮れるなら、光の速さで明日へダッシュさ」
「うん、そのまま事象の地平から帰ってこないでね」
蘭子が冷たい目をして言う。
「あちゃー、相変わらず手厳しい」
こんなやりとりも毎度の事だ。
ガラッ
扉が開き、部長が帰ってきた。三人の女生徒を連れて、彼女たちが審査員なのだろう。
「ものぐさ三銃士を連れて来たわよ!」
「ものぐさ三銃士!?」
「ミニマリストの勇優」
「家具を無くせば、全部ゴミにして捨てれるじゃない」
「二日目の実子」
「ああ~、つらーい、だるーい、おなかいたーい、息をするのもめんどくさーい」
「三度の飯と昼寝が大好き子の康乃」
「寝て、起きて、食べて寝る、それがあたしの生き様よ」
うん、間違いない、部長の友人だ。
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