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第1章 夢のおわり
1-16.観覧のパレート 鈴成 凛悟
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パレードに盛り上がる周囲をよそに凛悟は思案を巡らせる。
落ち着け、落ち着け、個人的な感情を抜きに。
まず……、俺はキング様を愛している。
んなわけあるかい! と凛悟は心でツッコミを入れたい衝動にかられるが、同時にそうだと考えてしまう自分を認識する。
幸いなことは、彼の心の中の”愛している”とは敬愛に近いもので、劣情ではないという所か。
数度の深呼吸の後、凛悟は再び記憶と情報の整理を始める。
「みてみてセンパイ! キング様のカイザー号到着まであと6時間ですって! あー、もう、待ちきれない! キング様になら今すぐにでも抱かれてもいいのに!」
「ワイもや! というかここにおる全員が同じ気持ちやで。ワイにはわかるんや。あ、お姉さんトロピカルピザおかわり」
パレードの会場ではキングの好物、パイン入りのトロピカルピザが無料で振る舞われている。
「うまかー! さすがはキング様や! 食べ物のセンスも愛おしか!」
「おいしーですね、センパイもおかわり食べます? はい、あーん、なんちゃって」
蜜子と藤堂の声に心乱されそうになるが、凛悟は今度こそはと再び分析に入る。
凛悟は考える、明かにこの状況はおかしいと。
道行く人、すれちがう住人、路上で生活している人、みんなが口をそろえて『キング様を愛している』と言う。
キング様が”祝福”を使ったのは間違いない。
最初は熱にうなされたような熱狂があったから気付けなかったが、こうやって時間をおいて冷静に情報を分析すれば今の状況に納得が出来る。
おそらく『世界中の人から愛される偶像になりたい』とでも願ったのだろう。
”祝福”で残りの祝福者の思考を縛る。
こんな手があったとは。
凛悟は今更ながら自分の認識と想像力の甘さを痛感していた。
「見てセンパイ! パレードの先頭! 全長100kmの超パレードの先頭が来たよ!」
空前絶後の超パレード。
その中心は当然キングだが、キング登場までに観客を飽きさせないよう、前座として各国のアイドルがパフォーマンスを繰り広げている。
その先頭、日本のアイドル集団が近づいて来た。
「ワイのイチ推しアイドル”逸果実”ちゃんの登場や! これで場末のアイドルなんて言わせへんで! い・つ・か・ちゃーん!!」
「みんなー! 今日はありがとー! 愛してるー! 結婚してー!」
「いーよー!」
サイリウムと団扇を取り出しオタ芸を始める藤堂に凛悟は頭を抱える。
「あっれー! 声が小さいなー! もう一回言うよー! 愛してるー! マリッジーミー!」
「「「オゥ! イエース!!」」」
そして雰囲気に流される人々にも頭を抱えた。
「凛悟はんはやらんの?」
「今はそんな場合じゃないだろ。それに可愛い後輩の前で他の女の子に目移りするのもどうかと思う。キング様ならともかく」
「やだもー、センパイったら。でも、あたしもキング様になら許しちゃう」
他愛ないやりとり、そう凛悟は認識する。
だが凛悟はこれに違和感を覚えずにはいられなかった。
「藤堂! おまえわかってるのか!? このままじゃ……」
「わかってるのか、ってのはキング様が”祝福”を使ったってことかいな?」
「あー、それそれ、けっこうヤバイよね」
「えっ」
心の中で”わかってない”と断じたふたりからの意外な返事に凛悟は言葉を詰まらせる。
「わかって……いるのか?」
「そりゃ気付くやろ。ワイが実ちゃん以外に心を奪われるなんて、お天道様がひっくり返ってもあらへん」
「あたしも。センパイならともかく、これちょっとおかしいかなーなんて思ったりして。でもね、キング様を愛している気持ちは確かにあるのよ。んもう、まいっちゃう」
「んもう、まいっちんぐや。アメリカだけに」
時代錯誤な藤堂のギャグに凛悟は再び頭を抱える。
「で、どうするんだ?」
「どうするも何も、なりゆきまかせや。正しくは何もしない、考えないやな。”祝福”のことを考えると『キング様のために”祝福”を使いたい』って考えちゃうやろ」
「あー、あたしも」
「だから、今は逆転の発想や。心のリピドーに身を任せて”祝福”のことは忘れるんや! い・つ・か! い・つ・か!」
藤堂の案に凛悟は少し感心する。
同時に意外と頼りになるやつだと。
確かに”祝福”のことを考えるのはマズイ。
何か普通に出来ることでそれを忘れなくては。
「そうだな、ここは逆転の発想といくか。キング様への愛を体で表現しよう。その団扇、ひとつ貸してくれるか」
頭を使わなければ”祝福”を使うという発想に到らない。
凛悟はそう考えて、まずはこの場のノリに身を任せることにした。
「あたしもやるー」
「ええで、みんなでキング様が来た時の練習や。せーのっ!」
「「「「キ・ン・グ・さ・まー!!!」」」
凛悟はオタ芸を身につけた。
落ち着け、落ち着け、個人的な感情を抜きに。
まず……、俺はキング様を愛している。
んなわけあるかい! と凛悟は心でツッコミを入れたい衝動にかられるが、同時にそうだと考えてしまう自分を認識する。
幸いなことは、彼の心の中の”愛している”とは敬愛に近いもので、劣情ではないという所か。
数度の深呼吸の後、凛悟は再び記憶と情報の整理を始める。
「みてみてセンパイ! キング様のカイザー号到着まであと6時間ですって! あー、もう、待ちきれない! キング様になら今すぐにでも抱かれてもいいのに!」
「ワイもや! というかここにおる全員が同じ気持ちやで。ワイにはわかるんや。あ、お姉さんトロピカルピザおかわり」
パレードの会場ではキングの好物、パイン入りのトロピカルピザが無料で振る舞われている。
「うまかー! さすがはキング様や! 食べ物のセンスも愛おしか!」
「おいしーですね、センパイもおかわり食べます? はい、あーん、なんちゃって」
蜜子と藤堂の声に心乱されそうになるが、凛悟は今度こそはと再び分析に入る。
凛悟は考える、明かにこの状況はおかしいと。
道行く人、すれちがう住人、路上で生活している人、みんなが口をそろえて『キング様を愛している』と言う。
キング様が”祝福”を使ったのは間違いない。
最初は熱にうなされたような熱狂があったから気付けなかったが、こうやって時間をおいて冷静に情報を分析すれば今の状況に納得が出来る。
おそらく『世界中の人から愛される偶像になりたい』とでも願ったのだろう。
”祝福”で残りの祝福者の思考を縛る。
こんな手があったとは。
凛悟は今更ながら自分の認識と想像力の甘さを痛感していた。
「見てセンパイ! パレードの先頭! 全長100kmの超パレードの先頭が来たよ!」
空前絶後の超パレード。
その中心は当然キングだが、キング登場までに観客を飽きさせないよう、前座として各国のアイドルがパフォーマンスを繰り広げている。
その先頭、日本のアイドル集団が近づいて来た。
「ワイのイチ推しアイドル”逸果実”ちゃんの登場や! これで場末のアイドルなんて言わせへんで! い・つ・か・ちゃーん!!」
「みんなー! 今日はありがとー! 愛してるー! 結婚してー!」
「いーよー!」
サイリウムと団扇を取り出しオタ芸を始める藤堂に凛悟は頭を抱える。
「あっれー! 声が小さいなー! もう一回言うよー! 愛してるー! マリッジーミー!」
「「「オゥ! イエース!!」」」
そして雰囲気に流される人々にも頭を抱えた。
「凛悟はんはやらんの?」
「今はそんな場合じゃないだろ。それに可愛い後輩の前で他の女の子に目移りするのもどうかと思う。キング様ならともかく」
「やだもー、センパイったら。でも、あたしもキング様になら許しちゃう」
他愛ないやりとり、そう凛悟は認識する。
だが凛悟はこれに違和感を覚えずにはいられなかった。
「藤堂! おまえわかってるのか!? このままじゃ……」
「わかってるのか、ってのはキング様が”祝福”を使ったってことかいな?」
「あー、それそれ、けっこうヤバイよね」
「えっ」
心の中で”わかってない”と断じたふたりからの意外な返事に凛悟は言葉を詰まらせる。
「わかって……いるのか?」
「そりゃ気付くやろ。ワイが実ちゃん以外に心を奪われるなんて、お天道様がひっくり返ってもあらへん」
「あたしも。センパイならともかく、これちょっとおかしいかなーなんて思ったりして。でもね、キング様を愛している気持ちは確かにあるのよ。んもう、まいっちゃう」
「んもう、まいっちんぐや。アメリカだけに」
時代錯誤な藤堂のギャグに凛悟は再び頭を抱える。
「で、どうするんだ?」
「どうするも何も、なりゆきまかせや。正しくは何もしない、考えないやな。”祝福”のことを考えると『キング様のために”祝福”を使いたい』って考えちゃうやろ」
「あー、あたしも」
「だから、今は逆転の発想や。心のリピドーに身を任せて”祝福”のことは忘れるんや! い・つ・か! い・つ・か!」
藤堂の案に凛悟は少し感心する。
同時に意外と頼りになるやつだと。
確かに”祝福”のことを考えるのはマズイ。
何か普通に出来ることでそれを忘れなくては。
「そうだな、ここは逆転の発想といくか。キング様への愛を体で表現しよう。その団扇、ひとつ貸してくれるか」
頭を使わなければ”祝福”を使うという発想に到らない。
凛悟はそう考えて、まずはこの場のノリに身を任せることにした。
「あたしもやるー」
「ええで、みんなでキング様が来た時の練習や。せーのっ!」
「「「「キ・ン・グ・さ・まー!!!」」」
凛悟はオタ芸を身につけた。
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