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第2章 夢からさめても
2-22.後悔の航海 クリストファー・グッドマン
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なんてことだ、言い訳のしようがない。
でも、こうするしかなかったじゃないか。
後悔はない、だが未練はある。
そんなグジャグジャの感情のまま、グッドマンは首都高をレンタカーで走る。
助手席に座っているのはホテルから半ば拉致のような形で救出した女性、ティターニア。
「大丈夫か? 意識はハッキリしているか?」
「ええ、少し頭がボォっとするけど平気よ」
「そうか、それならよかった」
「でも、あれ何だったのかしら? 変な匂いはしなかったけど、意識を失いそうになったわ」
ホテルでの出来事を思い出しながらティターニアが言う。
「彼女と、レイニィと会話している時に何か気づいたことは?」
「特になにも。彼女の香水がフルーツ系だったことくらい」
「甘い匂いがしたと」
「ええ」
「ならそれはセボフルランかもしれないな。病院で吸引麻酔薬として使用されている薬だ。さほど害はない」
「詳しいのね。お医者さん?」
「いや、私はただの警備員だ」
「そう、ガタイがいいのにインテリなのね」
「知ってしまったのさ。出来れば一生縁遠い知識であって欲しかった」
何度も何度も何年も病院に通いつめれば自然と知識が増える。
グッドマンは少し自虐的な口調でそう言った。
「さっき助けて欲しいって言ったけど、目的はこれ?」
ティターニアが手の甲の聖痕を見せると、グッドマンはその通りだと頷く。
「私の娘が病気で死んでしまった。娘を生き返らせたい。だから協力して欲しい。私に出来ることなら何でもする、君の奴隷になってもいい」
「奴隷なんて欲しくないわ。でも、娘さんが亡くなったのには少し同情するわ」
「頼む、お願いだ」
「ダメよ。これはわたしの願いを叶えるために使うの。そう兄さんと約束したの」
「どうしてもだめか……」
「それに死んだ人間は生き返らないってルールがあったでしょ。どうしようもなくてだめよ」
少しすまなそうにティターニアは言う。
「その問題は解決している。”祝福”がふたつあればいい。ひとつの願いでそのルールを撤廃して、もうひとつの願いで生き返らせればいい」
「そんなこと出来るの?」
「出来るかわからない。だけど私はそれに賭けるしかないんだ」
「そう、ところでどこへ向かっているの?」
「君の兄さんの所だ」
その答えにティターニアは納得すると同時に安心した。
賭けに必要なふたつの”祝福”、彼はそれを自分と兄に求めていることがわかったから。
少なくとも、すぐに敵になることはないだろうし、兄との合流に力を貸してくれるだろう。
「兄さんはどこにいるか知ってるの?」
「知っている。さっきスマホに協力者から連絡があった。君の兄さんは糸魚川駅に現れると」
グッドマンはハンドルを切ると用賀のPAに入る。
「このまま車でそのイトイガワへ行くんじゃないの?」
「追手の目をくらます。そのくらまし方も協力者から連絡があった。降りるぞ」
PAに車を止めふたりは車から降りる。
グッドマンは懐からスマホを取り出すと、あたりを見回しながら一台のトラックへと近づいていった。
「そのトラックに乗り換えるの?」
「違う、これはだな……」
グッドマンがそう言った時、スマホの画面が明るくなりメッセージが表示された。
──君には失望した。約束は反故だ。エゴルト・エボルト──
そのメッセージをティターニアは見逃さなかった。
「ねえ、今のメッセージってエゴルトのよね。さっきの女の人もエゴルトの使いって言ってたわ。あなた、エゴルトの部下なの? イトイガワを指定した協力者もそうなの? ひょっとしてわたしと兄さんを騙そうとしている!? ねぇってば!」
ティターニアの問いかけにグッドマンは少し焦った顔をして彼女の口を塞いだ。
「少し静かにしてくれ。ちゃんと説明する」
ティターニアが口を閉じたのを見て、グッドマンはスマホをトラックの荷台にこっそりと入れ、彼女の手を取って歩き出す。
「いったい何をしたの?」
「ただの時間稼ぎだ。あのスマホはエゴルトから渡されたものだ。おそらくGPSで追跡されている。協力者からの連絡はこっちに来るようになっている。レンタル品だ。これが一番捕捉されない」
さらにグッドマンは2枚の紙を取り出す。
それは今朝方、凛悟と蜜子を迎えに行った時、ホテルの部屋に置いてあった紙。
「見てもいい?」
「ああ、そして納得したなら私に付いて来てくれ。君を兄さんの所へ送り届けたい」
紙は日本語で書かれていたがスマホの文字認識と翻訳機能を使ってティターニアはそれを読む。
1枚目の内容は単純だった。
──ゴメンナサイ。あなたのことは信じられるけど、やっぱりエゴルトは信頼できません──
2枚目の内容は衝撃だった。
──あなたのことは信じられる。だから俺達に協力してくれ。俺は”祝福者”の願いや個人情報が自動更新される”本”を”祝福”で手に入れた。エゴルトの願いも知っている。ヤツは”祝福者”が死んだらランダムではなく自分へ権利が移るように願った。ヤツに協力しない”祝福者”はきっと殺される。そんなヤツに”祝福”を集めさせるわけにはいかない。俺達の目的は死んだ人たちを生き返らせ幸せになること。これに賛同したなら俺達に協力して欲しい。”本”が本物だという証拠は追って連絡する──
「この話って本当なの!? わたしの個人情報まで載っている本って!?」
「本当だ。この手紙を手に入れた後、私はこのスマホをレンタルした。そうしたら間もなく手紙の主、蜜子と凛悟から連絡が入った。私の個人情報が自動更新される”本”でも持っていなければこんなことは出来ない。そして君の居場所も彼から連絡があった」
グッドマンがスマホの画面を操作するとティターニアのチェックインしたホテル”シャラン・ラ東京”が表示された。
「それでも私はまだ迷っていた。エゴルトに従い続けるべきか、凛悟たちに協力すべきか。だけど、君が殺されそうになっているのを見て心を決めた。これは見過ごせないと」
「それであの時、わたしを助けてくれたのね」
ゲートを抜け、ふたりは一般道へと足を進める。
「ここ用賀PAからは用賀駅へ徒歩で移動が出来る。これで私たちは新幹線で糸魚川へ移動して、凛悟たちと君の兄さんに合流しよう。説明は以上だ。お願いだ、信じて付いて来てくれ」
「時間稼ぎの意味がわかったわ。トラックに乗せたスマホをエゴルトに追跡させるつもりなのね。スパイ映画みたい」
「ああ。エゴルトは私に『僕に従いたまえ。そうすれば誰も死んだりはしない』と言った。だが嘘だった。エゴルトの部下は君を殺そうとした」
「つまりあなたは娘さんが生き返る可能性のひとつを失っても、わたしを助けたかったのね」
「その通りだが君だけじゃない。他の誰であっても私は同じことをしただろう。キャロルのためなら何でもする。だが、他の人を不幸にしないでそれが出来るのなら、私はその道を選ぶ。ちょっとだけ迷いはしたがね」
ホテルから脱出した時のグッドマンのしかめっ面を思い出し、ティターニアの心が少し温かくなった。
少なくとも、彼の言う事を信じられるくらいには。
「わかったわ、兄さんと合流するまではあなたと一緒にいたげる。でも、わたしの”祝福”はあくまで私のものだからね」
「何度でも懇願するさ。私を少しでも憐れんでもらえるまで」
歩きながら再び頭を下げる見て、ティターニアに少し同情の心が生まれる。
自分の”祝福”を使う気はさらさらなかったが、彼の娘が助かる方法を考えるくらいには。
「あれ? ふと思ったのだけど、エゴルトは『僕に従いたまえ。そうすれば誰も死んだりはしない』って言ったのよね」
「その通りだが」
「それって、もしわたしが殺されて”祝福”を奪われたとしても、最後にみんなまとめて生き返らせるって可能性はないかしら?」
ティターニアの問いかけにグッドマンは『しまった』という表情を浮かべる。
「君はかしこいな」
「あなたってお人好しね」
ふたりは軽く笑い合うと駅の改札を抜けていった。
でも、こうするしかなかったじゃないか。
後悔はない、だが未練はある。
そんなグジャグジャの感情のまま、グッドマンは首都高をレンタカーで走る。
助手席に座っているのはホテルから半ば拉致のような形で救出した女性、ティターニア。
「大丈夫か? 意識はハッキリしているか?」
「ええ、少し頭がボォっとするけど平気よ」
「そうか、それならよかった」
「でも、あれ何だったのかしら? 変な匂いはしなかったけど、意識を失いそうになったわ」
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「彼女と、レイニィと会話している時に何か気づいたことは?」
「特になにも。彼女の香水がフルーツ系だったことくらい」
「甘い匂いがしたと」
「ええ」
「ならそれはセボフルランかもしれないな。病院で吸引麻酔薬として使用されている薬だ。さほど害はない」
「詳しいのね。お医者さん?」
「いや、私はただの警備員だ」
「そう、ガタイがいいのにインテリなのね」
「知ってしまったのさ。出来れば一生縁遠い知識であって欲しかった」
何度も何度も何年も病院に通いつめれば自然と知識が増える。
グッドマンは少し自虐的な口調でそう言った。
「さっき助けて欲しいって言ったけど、目的はこれ?」
ティターニアが手の甲の聖痕を見せると、グッドマンはその通りだと頷く。
「私の娘が病気で死んでしまった。娘を生き返らせたい。だから協力して欲しい。私に出来ることなら何でもする、君の奴隷になってもいい」
「奴隷なんて欲しくないわ。でも、娘さんが亡くなったのには少し同情するわ」
「頼む、お願いだ」
「ダメよ。これはわたしの願いを叶えるために使うの。そう兄さんと約束したの」
「どうしてもだめか……」
「それに死んだ人間は生き返らないってルールがあったでしょ。どうしようもなくてだめよ」
少しすまなそうにティターニアは言う。
「その問題は解決している。”祝福”がふたつあればいい。ひとつの願いでそのルールを撤廃して、もうひとつの願いで生き返らせればいい」
「そんなこと出来るの?」
「出来るかわからない。だけど私はそれに賭けるしかないんだ」
「そう、ところでどこへ向かっているの?」
「君の兄さんの所だ」
その答えにティターニアは納得すると同時に安心した。
賭けに必要なふたつの”祝福”、彼はそれを自分と兄に求めていることがわかったから。
少なくとも、すぐに敵になることはないだろうし、兄との合流に力を貸してくれるだろう。
「兄さんはどこにいるか知ってるの?」
「知っている。さっきスマホに協力者から連絡があった。君の兄さんは糸魚川駅に現れると」
グッドマンはハンドルを切ると用賀のPAに入る。
「このまま車でそのイトイガワへ行くんじゃないの?」
「追手の目をくらます。そのくらまし方も協力者から連絡があった。降りるぞ」
PAに車を止めふたりは車から降りる。
グッドマンは懐からスマホを取り出すと、あたりを見回しながら一台のトラックへと近づいていった。
「そのトラックに乗り換えるの?」
「違う、これはだな……」
グッドマンがそう言った時、スマホの画面が明るくなりメッセージが表示された。
──君には失望した。約束は反故だ。エゴルト・エボルト──
そのメッセージをティターニアは見逃さなかった。
「ねえ、今のメッセージってエゴルトのよね。さっきの女の人もエゴルトの使いって言ってたわ。あなた、エゴルトの部下なの? イトイガワを指定した協力者もそうなの? ひょっとしてわたしと兄さんを騙そうとしている!? ねぇってば!」
ティターニアの問いかけにグッドマンは少し焦った顔をして彼女の口を塞いだ。
「少し静かにしてくれ。ちゃんと説明する」
ティターニアが口を閉じたのを見て、グッドマンはスマホをトラックの荷台にこっそりと入れ、彼女の手を取って歩き出す。
「いったい何をしたの?」
「ただの時間稼ぎだ。あのスマホはエゴルトから渡されたものだ。おそらくGPSで追跡されている。協力者からの連絡はこっちに来るようになっている。レンタル品だ。これが一番捕捉されない」
さらにグッドマンは2枚の紙を取り出す。
それは今朝方、凛悟と蜜子を迎えに行った時、ホテルの部屋に置いてあった紙。
「見てもいい?」
「ああ、そして納得したなら私に付いて来てくれ。君を兄さんの所へ送り届けたい」
紙は日本語で書かれていたがスマホの文字認識と翻訳機能を使ってティターニアはそれを読む。
1枚目の内容は単純だった。
──ゴメンナサイ。あなたのことは信じられるけど、やっぱりエゴルトは信頼できません──
2枚目の内容は衝撃だった。
──あなたのことは信じられる。だから俺達に協力してくれ。俺は”祝福者”の願いや個人情報が自動更新される”本”を”祝福”で手に入れた。エゴルトの願いも知っている。ヤツは”祝福者”が死んだらランダムではなく自分へ権利が移るように願った。ヤツに協力しない”祝福者”はきっと殺される。そんなヤツに”祝福”を集めさせるわけにはいかない。俺達の目的は死んだ人たちを生き返らせ幸せになること。これに賛同したなら俺達に協力して欲しい。”本”が本物だという証拠は追って連絡する──
「この話って本当なの!? わたしの個人情報まで載っている本って!?」
「本当だ。この手紙を手に入れた後、私はこのスマホをレンタルした。そうしたら間もなく手紙の主、蜜子と凛悟から連絡が入った。私の個人情報が自動更新される”本”でも持っていなければこんなことは出来ない。そして君の居場所も彼から連絡があった」
グッドマンがスマホの画面を操作するとティターニアのチェックインしたホテル”シャラン・ラ東京”が表示された。
「それでも私はまだ迷っていた。エゴルトに従い続けるべきか、凛悟たちに協力すべきか。だけど、君が殺されそうになっているのを見て心を決めた。これは見過ごせないと」
「それであの時、わたしを助けてくれたのね」
ゲートを抜け、ふたりは一般道へと足を進める。
「ここ用賀PAからは用賀駅へ徒歩で移動が出来る。これで私たちは新幹線で糸魚川へ移動して、凛悟たちと君の兄さんに合流しよう。説明は以上だ。お願いだ、信じて付いて来てくれ」
「時間稼ぎの意味がわかったわ。トラックに乗せたスマホをエゴルトに追跡させるつもりなのね。スパイ映画みたい」
「ああ。エゴルトは私に『僕に従いたまえ。そうすれば誰も死んだりはしない』と言った。だが嘘だった。エゴルトの部下は君を殺そうとした」
「つまりあなたは娘さんが生き返る可能性のひとつを失っても、わたしを助けたかったのね」
「その通りだが君だけじゃない。他の誰であっても私は同じことをしただろう。キャロルのためなら何でもする。だが、他の人を不幸にしないでそれが出来るのなら、私はその道を選ぶ。ちょっとだけ迷いはしたがね」
ホテルから脱出した時のグッドマンのしかめっ面を思い出し、ティターニアの心が少し温かくなった。
少なくとも、彼の言う事を信じられるくらいには。
「わかったわ、兄さんと合流するまではあなたと一緒にいたげる。でも、わたしの”祝福”はあくまで私のものだからね」
「何度でも懇願するさ。私を少しでも憐れんでもらえるまで」
歩きながら再び頭を下げる見て、ティターニアに少し同情の心が生まれる。
自分の”祝福”を使う気はさらさらなかったが、彼の娘が助かる方法を考えるくらいには。
「あれ? ふと思ったのだけど、エゴルトは『僕に従いたまえ。そうすれば誰も死んだりはしない』って言ったのよね」
「その通りだが」
「それって、もしわたしが殺されて”祝福”を奪われたとしても、最後にみんなまとめて生き返らせるって可能性はないかしら?」
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