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山中の廃屋
7
「早かったですね」
部屋へ戻ると、藤原はカーペットに座り込みカメラをいじっていた手を止めこちらへ振り返った。
見慣れた俺の部屋にこんなイケメンがいるなんて信じられない。ミスマッチすぎる。
「大丈夫でした?」
「うん、なんとか。今日は藤原が居てくれたから平気だったけど、明日以降まじでどうしよう」
「だんだん記憶も薄れてきて怖くなくなるんじゃないですかね」
「だと良いんだけど……」
言いながら、俺は冷蔵庫を開けて藤原が買ってきてくれた酒とつまみ類を取り出した。
「飲みながらデータ整理しようぜ」
「そうですね。せっかくですし」
そう言いながら酒やつまみをテーブルに並べた俺たちだったが、結局飲みながらのデータ整理が捗るわけもなくただの飲み会の様相となった。そこまで酒に強くない俺は心霊現象に遭ったことなどすっかり忘れて上機嫌になり、聞き上手の藤原に気をよくしてペラペラと好きな映画や本の話をしまくった。
「あー喋った! 普段こんなに映画の話聞いてもらえないから楽しい」
「先輩ってもっと静かな人だと思ってました。結構喋るんですね」
「うーん。藤原は特別話しやすいかも。仲良くなれて良かったぁ」
俺は机に突っ伏し、ふふふ、と笑いながら答えた。藤原とは話が合うし、純粋に一緒にいて楽しい。普通に友達になることができれば良い関係が築けそうだ。
「俺、先輩と仲良くなれました?」
がさがさとツマミの袋を片付けながら藤原が尋ねる。
「俺はそう思ってる! 今まであんまり関わらなかったの勿体なかったな」
顔を上げると、すぐそばに藤原の顔があり俺を覗き込んでいた。いつの間に横に来たんだ。……というか、改めて見ると本当に整った顔をしている。男らしいのに暑苦しくなくてちょっと色っぽい。本当に年下か? と疑いたくなる。
ぽかんとしながら藤原の顔を眺めていると、俺の視界がにわかに暗くなった。藤原の顔が近づいてきている。
「ん?」と声を発したのと、唇にやわらかい感触があったのはほぼ同時だった。
驚きのあまり身動きが取れないでいる俺の後頭部に藤原の右手が添えられ、こちらへ乗り出してくる重みに勝てず背中からカーペットに倒れ込む。
ゆるく閉じた唇に藤原の舌が侵入しようとしたところでやっと我に返り、彼の肩口を押し返した。
「ふ、藤原!?」
「先輩、もっと仲良くなれることしましょう」
「ちょっと待って……んんっ」
抗議しようと開いた口に再度噛み付くように食いつかれ、そのまま藤原の舌が俺の口内に差し込まれた。
「んッ、あっ」
上唇を撫でられたと思えば舌を絡め取られ、ゾクゾクとした感覚が背中へ抜けていく。童貞処女どころかそもそもキスすらしたことが無かった俺には強すぎる刺激だった。
こんなのダメすぎる。藤原が一体どういうつもりなのか分からないし、いくら藤原が格好良くても、俺は恋人以外とこういう事はしたくないタイプだ。
体勢を整えるためか押し倒す力が弱まった一瞬をついて、俺は藤原の身体を思い切り突き飛ばした。
部屋へ戻ると、藤原はカーペットに座り込みカメラをいじっていた手を止めこちらへ振り返った。
見慣れた俺の部屋にこんなイケメンがいるなんて信じられない。ミスマッチすぎる。
「大丈夫でした?」
「うん、なんとか。今日は藤原が居てくれたから平気だったけど、明日以降まじでどうしよう」
「だんだん記憶も薄れてきて怖くなくなるんじゃないですかね」
「だと良いんだけど……」
言いながら、俺は冷蔵庫を開けて藤原が買ってきてくれた酒とつまみ類を取り出した。
「飲みながらデータ整理しようぜ」
「そうですね。せっかくですし」
そう言いながら酒やつまみをテーブルに並べた俺たちだったが、結局飲みながらのデータ整理が捗るわけもなくただの飲み会の様相となった。そこまで酒に強くない俺は心霊現象に遭ったことなどすっかり忘れて上機嫌になり、聞き上手の藤原に気をよくしてペラペラと好きな映画や本の話をしまくった。
「あー喋った! 普段こんなに映画の話聞いてもらえないから楽しい」
「先輩ってもっと静かな人だと思ってました。結構喋るんですね」
「うーん。藤原は特別話しやすいかも。仲良くなれて良かったぁ」
俺は机に突っ伏し、ふふふ、と笑いながら答えた。藤原とは話が合うし、純粋に一緒にいて楽しい。普通に友達になることができれば良い関係が築けそうだ。
「俺、先輩と仲良くなれました?」
がさがさとツマミの袋を片付けながら藤原が尋ねる。
「俺はそう思ってる! 今まであんまり関わらなかったの勿体なかったな」
顔を上げると、すぐそばに藤原の顔があり俺を覗き込んでいた。いつの間に横に来たんだ。……というか、改めて見ると本当に整った顔をしている。男らしいのに暑苦しくなくてちょっと色っぽい。本当に年下か? と疑いたくなる。
ぽかんとしながら藤原の顔を眺めていると、俺の視界がにわかに暗くなった。藤原の顔が近づいてきている。
「ん?」と声を発したのと、唇にやわらかい感触があったのはほぼ同時だった。
驚きのあまり身動きが取れないでいる俺の後頭部に藤原の右手が添えられ、こちらへ乗り出してくる重みに勝てず背中からカーペットに倒れ込む。
ゆるく閉じた唇に藤原の舌が侵入しようとしたところでやっと我に返り、彼の肩口を押し返した。
「ふ、藤原!?」
「先輩、もっと仲良くなれることしましょう」
「ちょっと待って……んんっ」
抗議しようと開いた口に再度噛み付くように食いつかれ、そのまま藤原の舌が俺の口内に差し込まれた。
「んッ、あっ」
上唇を撫でられたと思えば舌を絡め取られ、ゾクゾクとした感覚が背中へ抜けていく。童貞処女どころかそもそもキスすらしたことが無かった俺には強すぎる刺激だった。
こんなのダメすぎる。藤原が一体どういうつもりなのか分からないし、いくら藤原が格好良くても、俺は恋人以外とこういう事はしたくないタイプだ。
体勢を整えるためか押し倒す力が弱まった一瞬をついて、俺は藤原の身体を思い切り突き飛ばした。
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