終末前夜

思慮ゾンビ

文字の大きさ
1 / 1

終末前夜

しおりを挟む
太陽が猛威を振るい、蝉の鳴き声で埋め尽くされていた学校の帰り道、
「ねえ、市川君」と僕は知らない女の子に声をかけられた。 
誰かわからず僕が困惑していると
「覚えてない?同じクラスの柳よ」と彼女に言われ、僕は更に困惑してしまった。
いくら何でも八ヶ月も一緒にいたクラスメイトを覚えていないなんて…自分の記憶力のなさに絶望的になる
そんな僕にはお構いなく柳さんは話を続ける
「ねえ市川君、明日はクリスマスらしいわね」
「そうだね」と僕は答える「明日は冬だといいね」
「でもね市川君、世界は明日終わるのよ」
と柳さんは唐突にそして少し悲しそうに言った。
「だって明日あなたは死ぬもの」
「………」
僕は、完全に不意を突かれてしまいなんと言えば良いのかわからなかったので黙って柳さんの次の言葉を待っていた。
「ねえ市川君、高木君って覚えてる?」
柳さんはまた唐突に話を変た。
「ああ、一年の2学期に行方不明になった…」
「ねえ市川君彼は今、夜を取り戻すために戦っているわ」
確かに、今、この世界に夜はない。 
いや夜だけではない、他にも沢山の物がこの世界からは無くなってしまった。
無くなり、そして狂ってしまった。
「高木君が?」
「高木君だけじゃないわ、他にもいろんな人がこの世界を正常に戻そうと戦っているわ」
「でもそれももう終わりよ」
「なぜだかわかる?」
「…世界が終わるから?」と僕が答えると柳さんは少し怒ったような顔した。
「違うわ」 「明日あなたが死ぬからよ」
「だから世界が終わるの」「正確には明日の午後11時24分に」
「僕が、死ぬから?」
「ええそうよ、だから彼らの努力は全て無駄になるの」
「それは、凄く理不尽な事のように僕には聞こえるけど」
「しょうがないじゃない」「私はあなたが好きだったのよ 」
柳さんは泣いていた
「あなたがいないなら、こんな世界はいらないわ」彼女はしばらく泣いた後そう言ってベンチから立ち上がった。「じゃあね市川君、最後に話せて良かったわ」
そう言った時の彼女の笑顔はとても綺麗だった
気づけば蝉の声はもうしていなかった
明日はきっと冬になるだろう、だって明日はクリスマスなのだ
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

卒業パーティーのその後は

あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。  だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。   そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。

真実の愛ならこれくらいできますわよね?

かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの でもそれは裏切られてしまったわ・・・ 夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。 ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...