野菜士リーン

longshu

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第1章

1-130 イスティファルド王宮の決戦 その1 ラルフの奇策

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「私達の元に戻ってきてよ!あんな無差別な攻撃は金輪際止めて!!!」

「しつこいわね、リーン。私はもう使命は終えてしまったって言っているの。」

《ジョンリージョアンホァン》(重力転換)

リーンとレーネが戦いを繰り広げている。と言ってもリーンはレーネの時空魔法を躱しながら、ラルフの忠言に従い真心による必死の説得を試みているのみではあったが。

(軽石の指輪は、直接的な時空魔法には効き目がほとんど無いみたいね。。。)

「きゃっ!!」

地下世界のノームの魔道士長ノーレルンからもらった時空魔法解呪の指輪は、索敵くらいの薄い魔法なら防げようが、レーネの強力な攻撃魔法を防ぐには力不足であった。彼女の魔法でリーンの周りの重力場が反転し、遙か上方にある天井へ落下し打ち付けられそうになる。

《ショウフージュィダーマンツァオ!》(守護巨大蔦!)

植物のない王宮最上階に、なぜか突如として巨大な蔦がリーンの意志を持って生えだし、彼女を包み込む。どうやら彼女のポシェットに入れた地下世界『ムスペッルスヘイム』から持ってきた、巨大蔦の種のようであった。

ガラハド達のいる床面に不時着するリーン。

ここは、『イスティファルド』王宮の最上階、王政の間である。7年前かつて『ウェールズ』最後の狂王『エアハルト』とレーネの父『革命軍』代表のマキシムやその片腕カーン達が『英雄戦争』最後の激闘を繰り広げた場所である。まさか7年後、戦勝国『革命軍』のメンバー同士がここで戦うことになろうとは誰も予測できなかった。

王宮『イスティファルド』1Fでカーンをなんとか撃破したリーン達は、所々に無目的に動いていた無人魔装兵の他は、何故か『レボルテ』の何の抵抗もないまま、ストレートに最上階の王政の間まで辿り着いたのであった。

そしてリーン、ガラハド、メル、ロックの四人は、乱心したと思われるレーネを正気に戻すために挑んでいるのであった。

「何も、あなた達を好き好んで殺そうなんて思わないわ、後味悪いものね。でも過ぎ去ってしまったものはすでにどうしようもないのよ。」

「な、なら、ど、どうして『ルーアン』の後も、いろんな都市に無差別爆撃なんかしたの?それに『時空水晶』が無いのにどうやって???」

「自然オタクのあなたに言ってもしようのない事よ、爆撃は『時空水晶』を使って異世界の物を召喚して、やり方を覚えたのよ。一旦覚えてしまえば造作の無いこと。さぁ、刃向かうのなら仕方ないわ、終わらせましょう。苦しまないようにしてあげるわ。」

乱心したとばかり思っていたレーネは、不思議な程に至って冷静であった。『時空水晶』を破壊したリーンに対する明確な殺意は既にない。ただ、この世界における関係性自体を終わらせようと考えているばかりのように見えた。

「ちょっとまった~!!(決まった!)」

「おい!」

リーンの少し後ろで戦闘を見守っていたメルが、話に割って入る。ガラハドが驚いて止める。ガラハドはレーネの狂ってしまった後も未だ美しいその姿を、真意を探るように忍び見ていた。

「メル、あなたもリーンの熱意にほだされてご苦労な事ね。リーンとガラハドはここでケジメを付ける必要があるかもしれないけど、あなたは逃がしてあげてもいいのよ。まぁ、どこに逃げようが遅かれ早かれかもしれないけれど。。。」

「わ、私をサブキャラ扱いしようったってそうはいかないわよ(怒)!、『土の賢者』ラルフ秘伝アイテムの効果を見よ!!!」

どこか視点がずれている叫びを上げながら、メルは、ラルフがメルに託した3つの小瓶の1つめをレーネとリーンの間の床に投げつけた。小気味よく小瓶が割れると、中から勢いよく吹き出る粉末状の煙。どのようにラルフが魔法を編んだのであろう、その様は間欠泉のようだった。

「あ、あああ~!!!」

「おおお~!!!」

叫ぶリーン、メル、ガラハドの3人。なんと、ガラハドの服が溶けて、元々軽装だったガラハドの身体が露わになる、女達の手前さすがに決まり悪く下半身を隠すガラハド。

「な、何やってんのよ!!」

「し、知らねーよ、お前のおじいちゃんが用意したんだろうが!!」

あまりの突拍子もなさに、混乱に陥る3人。

「『土の賢者』か?何を考えているのやら???」

ノームのロックは眼を白黒させている。

「ちゃ、茶番はこれまでよ!!」

頬を真っ赤にして、あさっての方向を向いているレーネが吐き捨てるように言った。

(あっ、頬を赤らめたわ?)
(リーン?、レーネ、頬を赤らめたわね?)

目ざとくレーネの変化を見抜いたリーンとメル、狂った独裁者か、危うい宗教の狂信者のようになってしまっていると思っていたレーネに、ガラハドの裸身が人間としての感情を思い起こさせたのか?ラルフの狙っていたのはこれか、と気がついたのであった。
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