野菜士リーン

longshu

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第1章

1-135 神意降臨

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、、、 5分後 、、、

放心状態でレーネが落ちていった抜け殻のような大窓を見るリーン達。すると、大きく開け放たれたその窓の遙か上空から、大きく光る物が静かに舞い降りてくる。それは、霜の巨人ほどの身長を持ち、ブロンドの長い髪を無造作になびかせ、鎧兜と短槍に身を固めた清らかな女戦士であった。

真に勇気ある者が命を落としたときのみに姿を現すという『アースガルズ』からの使者『ヴァルキリー』であった。

ヴァルキリーは大広間で放心しているリーン達を見るともなく見ると、静かにまた下を見て『イスティファルド』王宮の麓まで降り立っていった。

「ねぇ、あれって、なに?なにか神々しい雰囲気を感じるのだけど。。。。」

憔悴しきったリーンが独りごちる。

「あ、あれは、神話に名高い『ヴァルキリー』じゃ。真の英雄が身罷った時に降臨して、彼を天界『アースガルズ』の『ヴァルハラ』王宮へいざなうと言う伝説の女戦士、神々の一員じゃわい!ワシも長い人生見たことはなかったが、レーネとやら、一度はとち狂ったかもしれんが、『天界』が見捨てなんだわ!!!『ラグナロク』が起こるその時まで、彼女は『ヴァルハラ』にて幸せに暮らすじゃろうて!!」

ロックが正確な解説を加える。そしてしばらくして、ロックの言ったとおり神話そのものの霊験が、皆の眼前で行われるのであった。

リーン達が、開け放たれた大きな窓から下を食い入るように見つめていると、麓の方から、レーネがヴァルキリーにいざなわれるまま、まるで天国への階段を登っていくかのように、ゆっくりと浮かんでくる。これまでの想像を絶する苦悩や圧迫からは開放され、ヴァルキリーと静かに微笑んで会話している様子が見て取れる。リーン達との戦いに汚れた黒いドレスや、乱れた髪、すすけた頬などは最早無く、白いローブに身を包み、ヴァルキリーと同じく薄く光り輝く後光に彩られているのであった。

レーネは『イスティファルド』最上階まで浮き上がると、静かに中を見回し、リーン、ガラハド、メル、マサムネ、そしてロックに微笑んで会釈する。そして、ちょっと困ったような顔をして、再びヴァルキリーの手に導かれるまま、そのまた遙か上空へとゆっくり消えていった。

「ほ、ホントにはるか『天界』の彼方まで消えていったわね。。。。」

「ロックさんの言うとおり、『アースガルズ』で幸せに暮らせる。と、いいわね。。。」

想像を超えた出来事の中で、メルとリーンは不思議とその神話の中の一幕をごく自然に受け止め、レーネの幸福を静かに願うのであった。
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