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生徒は激怒した。
必ず、かの邪知暴虐の教師陣を除かねばならぬと決意した。
生徒には、勉強が分からぬ。
彼らは、ただの学生である。
歌を歌い、友達と遊んで暮らしてきた。
けれども課題に対しては、人一倍に敏感で会った。
家から、睡魔や、だるさから逃れ、わざわざ此の日本東中学校の校舎にやってきた。
彼らには、息子も娘もない。
女房もない。
社会科担当の女性教師に社会を教えてもらっている。
この女は、同じ学校の理科担当教師を、近々、花婿として迎えることになっていた。
まず、彼らに出会い、校舎内をぶらぶら歩いた。
彼らには、信頼なる教師が居た。
吉田太郎であった。
今は此の日本東中学校で、音楽教師をしている。
その教師をこれからたずねてみるつもりなのだ。
久しく逢わなかった(1週間ぶり)のだから、たずねて行くのが憂鬱である。
歩いているうちに、生徒の一人、吉本劉生は、校舎内の様子を怪しく思った。
ひっそりしている。
もう既に給食も食べて、眠たいのも当たり前だが、けれども、なんだか、睡魔のせいばかりではなく、校舎全体が、やけに寂しい。
のんきな劉生も、だんだん不安になってきた。
道で逢った陰キャ集団をつかまえて、何かあったのか、昨日此の学校に来た時は、授業中でも、生徒が騒いで、校舎内は賑やかであったはずだが、と質問した。
陰キャ集団は、首を振ってこたえなかった。
しばらく歩いて、違う陰キャに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。
陰キャは答えなかった。
劉生は両手で陰キャの体をゆすぶって質問を重ねた。
陰キャは、あたりをはばかる訂正で、わずか答えた。
「あの教師陣は、課題を出します。」
「なぜ出すのだ。」
「やらなければ、身にならないというのですが、誰も身になってはおりませぬ。」
「たくさんの宿題を出したのか。」
「はい、始めは漢字のワークを。それから国語のワークを。それから、英語のワークを。それから、追加の英語のワークを。」
「おどろいた。教師陣は乱心か。」
「いえ、乱心ではございませぬ。課題を出さなければ、成績が落ちるというのです。このごろは、課題の頻度もあがり、課題を出さなければ、すぐにでも、成績を下げるというのです。ご命令を拒めば、居残りにさせられ、課題をやらされます。今日も6人が被害にあいました。」
聞いて、劉生は激怒した。
「呆れた教師共だ。生かしておけぬ。」
劉生は、単純な男であった。
リュックを、背負ったままで、のそのそ職員室に入っていった。
たちまち、彼は職員室に居た教師に捕縛された。
調べられて、劉生の懐中からはスマホが出てきたので、騒ぎが大きくなってしまった。
劉生は、教師陣の前に引き出された。
必ず、かの邪知暴虐の教師陣を除かねばならぬと決意した。
生徒には、勉強が分からぬ。
彼らは、ただの学生である。
歌を歌い、友達と遊んで暮らしてきた。
けれども課題に対しては、人一倍に敏感で会った。
家から、睡魔や、だるさから逃れ、わざわざ此の日本東中学校の校舎にやってきた。
彼らには、息子も娘もない。
女房もない。
社会科担当の女性教師に社会を教えてもらっている。
この女は、同じ学校の理科担当教師を、近々、花婿として迎えることになっていた。
まず、彼らに出会い、校舎内をぶらぶら歩いた。
彼らには、信頼なる教師が居た。
吉田太郎であった。
今は此の日本東中学校で、音楽教師をしている。
その教師をこれからたずねてみるつもりなのだ。
久しく逢わなかった(1週間ぶり)のだから、たずねて行くのが憂鬱である。
歩いているうちに、生徒の一人、吉本劉生は、校舎内の様子を怪しく思った。
ひっそりしている。
もう既に給食も食べて、眠たいのも当たり前だが、けれども、なんだか、睡魔のせいばかりではなく、校舎全体が、やけに寂しい。
のんきな劉生も、だんだん不安になってきた。
道で逢った陰キャ集団をつかまえて、何かあったのか、昨日此の学校に来た時は、授業中でも、生徒が騒いで、校舎内は賑やかであったはずだが、と質問した。
陰キャ集団は、首を振ってこたえなかった。
しばらく歩いて、違う陰キャに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。
陰キャは答えなかった。
劉生は両手で陰キャの体をゆすぶって質問を重ねた。
陰キャは、あたりをはばかる訂正で、わずか答えた。
「あの教師陣は、課題を出します。」
「なぜ出すのだ。」
「やらなければ、身にならないというのですが、誰も身になってはおりませぬ。」
「たくさんの宿題を出したのか。」
「はい、始めは漢字のワークを。それから国語のワークを。それから、英語のワークを。それから、追加の英語のワークを。」
「おどろいた。教師陣は乱心か。」
「いえ、乱心ではございませぬ。課題を出さなければ、成績が落ちるというのです。このごろは、課題の頻度もあがり、課題を出さなければ、すぐにでも、成績を下げるというのです。ご命令を拒めば、居残りにさせられ、課題をやらされます。今日も6人が被害にあいました。」
聞いて、劉生は激怒した。
「呆れた教師共だ。生かしておけぬ。」
劉生は、単純な男であった。
リュックを、背負ったままで、のそのそ職員室に入っていった。
たちまち、彼は職員室に居た教師に捕縛された。
調べられて、劉生の懐中からはスマホが出てきたので、騒ぎが大きくなってしまった。
劉生は、教師陣の前に引き出された。
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